はじめに・ご挨拶

「T.OCUL」は伝統が生活の一部に溶け込む独自のライフスタイルを提案、発信出来るショップ作りを目指し、高岡で培われた伝統工芸の技術を生かし洗練された現代工芸品を取り揃えとともに、工芸品に関するインフォメーション機能も兼ね、様々な情報を広く発信しています。また、実際に使っていただく事で魅力を感じていただけるよう、商品を使ったおもてなしを行うなど、他では体験できない催し・イベントも行っています。
しかし、コロナ禍での外出自粛・消費行動の減退によりお客様が激減。規制が撤廃されても社会的な閉塞感が続く中で、高岡の魅力を発信し続けるT.OCULが職人の皆様、事業者の皆様、地域の皆様と一丸となって新たな1歩を踏み出すため、クラウドファンディングプロジェクトを実施することとしました。

プロジェクトを立ち上げた背景

私たち「T.OCUL」は高岡地域の伝統工芸を受け継ぐ事業者が集まって発足し、伝統工芸を生活の一部に溶け込ませる独自のライフスタイルを提案、発信するショップとして2019年9月に事業を開始しました。
この合同会社設立には伝統工芸を受け継ぐ職人の多くの願いが込められています。
高岡銅器・高岡漆器は、経済産業省が認定している「伝統的工芸品」であり、日本全国では約240品目しかありません。伝統産業を取り巻く経営環境は厳しく、高岡銅器では1990年代前半のバブル期までは成長を続けていましたが、その後は減少に転じ、現在ではピーク時の3割以下となっています。高岡漆器も同様に1990年代前半と比べて15%以下まで落ち込んでいます。

このような環境の中、
「これまでと同じものを作っていてはダメだ」
「技術を未来に繋げるための取組が必要だ」
「もっと伝統工芸の魅力を伝えたい!」

各事業者・職人が奮起し、受け継いだ伝統技術を現代的なデザインを取り入れ、新たな製品を作り出し、日本の伝統工芸を守り繋いできました。
しかし、後継者がいる事業者・職人は多くなく、職人の高齢化も顕著になっています。
伝統技術が廃れるのは、そう遠くない未来に迫ってきています。
伝統技術を未来に「贈る」ため、魅力をしっかりと伝えることで伝統的工芸品を本当の意味で知っていただき、日常で使っていただくことで事業者・職人を守り、技術を未来に伝えることができます。
日本が世界に誇る伝統工芸を守るため、皆様のお力を借りる場をいただきました。

高岡銅器・高岡漆器とは

【高岡銅器】
高岡銅器とは富山県高岡市でつくられる金工品の総称であり、高岡は銅器づくりで国内シェアの90%以上を占める、鋳造の町です。江戸時代当初は鍋、釜、農具のような鉄鋳物の日用品が主力で、これが高岡の町の主力産業として成長していきます。やがて銅鋳物の生産も行われるようになりました。

銅鋳物は鉄などに比べて複雑で繊細な形状でも表現することが可能な素材で、加工性も高いという特長があり、江戸時代後期にはそうした銅の特長を生かした美術品や仏具等が作られるようになりました。品種の増加に伴い着色や象嵌、彫金といった加飾技法も発達し、1867年のパリ万国博覧会に出展された商品は非常に高い評価を得ました。その後、明治から大正にかけては製造技法の革新が起こり、生産量が飛躍的に増え、銅器の一大産地として認知されるに至っています。

小学校によくある二宮金次郎像や新年に響く除夜の鐘、銅像やブロンズ像などの多くは高岡で製造されたものです。
小さなものから巨大なものまで、銅だけでなく鉄やアルミ・錫・金・銀といった様々な金属で、バリエーション豊かな仕上げの方法で品物が作れるという点で、高岡は他の金属製品産地と一線を画しています。
また、高岡には原型、鋳造、仕上げ、着色、彫金と金属加工のあらゆる技術が集まっており、複数の製作所や職人が工程を分担してつくるのが基本です。ひとつの町だけで分業制が成り立つのは珍しいことで、高岡の強みとなっています。

○原型
鋳型をつくるために粘土や石膏、蝋、木型や金型などその鋳物と同じ形状の原型をつくり、原型を覆うように鋳型を成形します。

○鋳造
あらかじめつくられていた鋳型に、炉で溶かした金属を流しこみます。金属が冷えたら、鋳型をはずして磨きをかけます。

○彫金
様々な大きさ、かたちのタガネを使って金属の表面に模様を彫ります。彫り跡を変えて表情に変化をつけたり、別の金属を嵌め込んだり(象嵌)、叩いて立体感をだす(打ち出し)など様々な技法があります。

○着色
金属の酸化を予防し、美しさを保つための化学反応による着色をします。下色として「酢煮汁液」などで表面に酸化被膜をつくり、古銅色・青銅色・朱銅色などの伝統的な着色が施されます。

【高岡漆器】
高岡漆器は、江戸時代の初めに加賀藩の藩主前田利長が、現在の富山県高岡市に高岡城を築いたとき、武具や箪笥、膳等日常生活品を作らせたのが始まりです。

その後、中国から、朱や黒の漆を何層も重ね塗りし、彫刻をほどこす堆朱(ついしゅ)や堆黒(ついこく)の技法が伝えられ、現在に続く多くの技術が考案されました。多彩な色漆を使って立体感を出していく彫刻塗、錆絵(さびえ)、螺鈿(らでん)、存星(ぞんせい)等がそうです。

長い伝統に培われ、伝えられた技の代表的なものとして、多彩な色漆を使って立体感を出していく「彫刻塗」、うるみ色の地に玉石を貼り、錆絵を描く「勇助塗」、あわびや夜光貝等、虹のような輝きをもった貝殻を使って、山水や花鳥等を表現する「青貝塗」があります。

〈彫刻塗〉
彫刻塗は木彫に朱・黒などの漆を塗り重ね、雷文や亀甲の地紋の上に、草花・鳥獣・牡丹・孔雀・青海波などを彫り出したもので、立体感と独特な艶が特徴です。その代表的なものは高岡御車山に見ることができます。
この技法は19世紀はじめより受け継がれ現在、高岡の彫刻漆器は色漆による色彩技法や皆朱塗などによって再現されています。

〈勇助塗〉
勇助塗りの特徴として、唐風の雰囲気をもつ意匠に花鳥、山水、人物などの錆絵を描き、青貝、玉石、箔絵などを施す総合的な塗りの技法です。
茶盆、器物など格調高く、繊細かつ趣に富んだ作品が県内外から高い評価を得ています。

〈青貝塗〉
青貝塗とは、鮑などの貝を刀・針等を用いて三角形や菱形の細片をつくり、これを組み合わせて山水・花鳥を表現する技法です。貝を細工した装飾技法を総称して「螺鈿(らでん)」といい、一般には約0.3mmの厚さの貝が使われますが、高岡漆器では約0.1mmの厚さの貝も使われます。薄い貝を使うと、下地の漆の色が透けて映り貝が青く光って見えます。これは高岡漆器独自の技法です。
そのほか、プラスチックやガラスなどさまざまな素材を使った変り塗が登場しています。
これらの高岡漆器は「くり木地(のみで掘る・削ることにより作成)」「挽物木地(木材をろくろにかけて削り出して作成)」「曲物木地(薄くした板を曲げて輪状にしたもの)」「指物木地(数枚の板を組み合わせて作成)」という4種類の木地で製作されています。

このプロジェクトで実現したいこと

伝統的工芸品の新たな魅力を伝えたい

高岡の伝統的工芸品の魅力を伝え、技術を伝承する職人を守るため、高岡銅器・高岡漆器を広める活動にご支援をお願いします!
今回のプロジェクトは、伝統的工芸品である「高岡銅器」と「高岡漆器」の職人の技術を伝え、新たな魅力を提案する広報素材として、約30分の映像制作にご協力をお願いしたいと考えています。
作成した映像は、日本だけでなく世界にも魅力を伝えられるよう、動画サイトへの掲載やワークショップイベントなど様々な場で活用していきます。

【動画制作の内訳】
 ・高岡銅器:5分×4社
 ・高岡漆器:5分×4社
  計:40分(8社)

動画を制作する事業者の紹介

店舗名をクリックするとHPに繋がります。
*リターンを選択する際、商品イメージはHPを予め見て下さい。

能作高岡に鋳物メーカーとして創業してから100年余、技術を磨き、時代を捉え成長し続けてきました。受け継がれてきた歴史や職人の培ってきた技術は私たちの宝です。その宝を100年先、200年先に残していくために、既成概念に捉われず積極果敢にチャレンジし、伝統産業に新たな轍を描き続けます。(HPより部分抜粋)


モメンタムファクトリー・Orii昭和25年に折井着色所として創業以来、高岡の地で伝統技術を受け継ぎ、多種多様な鋳造品の着色を手掛けてきました。「着色」とは塗装ではなく、銅や真鍮が持つ腐食性をコントロールして鮮やかな色彩を発色させる伝統技術です。引き出される本物の色彩にこだわり、可能性を追求し続けています。(HP部分抜粋)


株式会社ナガエ株式会社ナガエは「アート&テクノ」を合言葉に、アート事業部・テクノ事業部それぞれの高い専門性を活かしながら、ガスメーターや自動車部品から、神仏具や美術工芸品まで、多種多様なお客様の要望・期待にワンストップで応えてきました。創業67年の「職人の技」と「現代の技術」で金属の美しさを表現しています。


大寺幸八郎商店1860年に初代幸八郎が鋳物工場を始めて以来、高岡銅器に携わり、伝統工芸とデザインを掛け合わせた唯一無二のプロダクトを生み出しています。鋳物の持つぬくもりに続いてきた時代と作り手の息吹を感じていただければと思います。


天野漆器株式会社明治25年の創業以来培った「高岡漆器」の伝統技術を活かし、現代の生活に合った商品づくりに取り組んでいます。
「自分で使うとすれば」「自分が買うとしたら」を常に心がけた商品開発を心がけています。


株式会社柴田漆器店全国主要百貨店・専門店を中心に生活空間やライフスタイルにマッチした漆器の提案をしてきました。
精巧を誇る製品は伝統技法をベースにインテリアからテーブルウェア、ギフト商品まで常に「新しい漆の可能性」を求めてチャレンジしています。


螺鈿工房おりはしのどかな自然の中にある小さな工房「螺鈿工房おりはし」では、高岡漆器の技法「青貝塗」の技法技術を使っています。
青貝の神秘的な輝きを生かすために貝殻一枚一枚を見極めて加飾していきます。伝統的な技術を元に、自由な発想で新製品を開発して新しいライフスタイルを提案し続けます。


有限会社武蔵川工房創業明治43年 先代武蔵川達生から4代に渡り、螺鈿師として高岡漆器の仕事を担い、伝統工芸「青貝塗り」の製作を中心に、広くい螺鈿加飾の可能性を探り続けています。

これまでの活動

一つひとつ小さな取り組みを続け、現在では多くの方に知っていただく機会にも恵まれ、様々なイベントや展示会、テレビ番組を通して高岡を発信する場を頂いています。
しかし、発信できる情報には限界があり、知ってもらいたいことを伝えきれているものはありませんでした。
そのためにも、このプロジェクトで職人の技術、想い、事業者の今を映像として残すだけでなく、映像を起点とした後継者との出会いや、より広く高岡・伝統を発信するツールの一つとして各種イベントでの使用に映像を役立てたいと思っています。

資金の使い道・実施スケジュール

◇ 支援金の使い道
・映像制作費 20%
・リターン品/配送費 60%
・プラットフォーム手数料 20%

◇ 実行スケジュール
クラウドファンディング終了後、迅速に撮影・編集を実施し、年明けの完成を目指します。

最後に

今の高岡銅器・高岡漆器があるのは、これまで多くの応援を頂いたお客様と、先人の支えがあったからこそです。このプロジェクトを通して、より広く高岡のこと、伝統的工芸品のこと、繋いだ技術のことを伝え、未来に贈りたい。何卒ご支援、ご協力よろしくお願い申し上げます。

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2024/03/19 17:00

    支援者の皆様この度は、T.OCULのプロジェクトにご賛同いただきありがとうございました。当プロジェクトは残念ながら目標金額には達しませんでしたが、皆様の温かいご支援ならびに伝統的工芸品の「作り手」の皆様のご協力のもと、「高岡銅器」と「高岡漆器」の魅力を発信するため、動画の制作を実施いたしました...

  • 2023/08/07 11:24

    いつもお世話になっております。運営です。日頃からの皆さまの応援とご支援に心から感謝申し上げます。当プロジェクトを公開して4週間程になりましたがまだまだ目標金額にはほど遠い状況です。今回、ご支援いただいた皆さまにお届けする素敵なリターン品をご紹介いたします。■天野漆器株式会社の「杯」「螺鈿ガラス...

  • 2023/07/25 08:40

    当プロジェクトページを閲覧いただきましてありがとうございます。プロジェクトのリターン品のお届け予定日について表記に誤りましたので訂正のご連絡になります。3000円のリターン品「感謝の手書きのお手紙」ですがお届け日が2028年12月となっていますが2023年12月が正式なお届け予定日となります。...

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