はじめに

海岸線の美術館のクラウドファンディングを見ていただきありがとうございます。
このプロジェクトについて説明をする前に、美術館の館長である髙橋窓太郎(そうたろう)と、
雄勝町の住民で海岸線の美術館に共感いただき一緒に進めている大和千恵(やまとちえ)さんの言葉から始めたいと思います。なぜ海岸線の美術館プロジェクトをしているのか、という想いがこめられています。


灰色の海岸線に新しい風景を生む美術館

海岸線の美術館は、宮城県石巻市雄勝町に生まれた野外美術館です。
震災後に建設された、巨大な防潮堤。壁によって海の風景を見ることができなくなった海岸線に、地域住民や全国の支援者を巻き込みながら大壁画群をつくり、新しい風景を生み出します。雄勝町に人が来るきっかけをつくる、新しい復興の形をつくるプロジェクトです。


最新情報

2023年10月22日(日)に「雄勝壁画まつり」開催!!!

2023年に制作した壁画2作品の完成披露会として、お祭りを開催します。壮大な壁画の前で、キッチンカーやマルシェや様々なアクティビティを用意してお待ちしています!雄勝町の新山神社祭り、道の駅の海鮮祭りも同日開催予定です。雄勝法院神楽や海鮮を味わいに来てください!


雄勝町と、灰色の防潮堤

▶️雄勝町とは

三陸のリアス式海岸沿いにある宮城県、石巻市雄勝町。緑深い山々と青い海が作り出す、美しく豊かな漁村です。2011年3月11日、東日本大震災の震源から最も近かった雄勝町は20mの津波の被害に遭い、町の8割が壊滅。人口は1/4になり、超高齢化地域の一つになりました。

壊滅的被害をもたらした津波

リアス式海岸によって生まれた豊かな海に面する15の浜で育まれてきた漁師文化。
国内でも有数の質の雄勝石(玄昌石)が取れる地で生まれた硯文化。
各浜で独自に継承されてきた、無形文化。
など、震災後人が少なくなりながらも、今もなおその文化を守り続けるべく、懸命に次の世代に繋いでいこうという人がたくさんいます。


▶️防潮堤が抱える問題

震災後には、海岸沿いに3.5kmに渡って続く、高さ最大10mの防潮堤が建設され、どこまでも続く灰色の大きな壁によって海の見えない風景が続く町に。海と生活が一体だった暮らしは変わり、風景だけでなくそこに息づいていた生活・生業・文化など様々なものがかたちを変えてしまいました。

震災では20mの津波だったにも関わらずそれに満たない高さ最大10mの防潮堤を建設するという計画が立ち上がり、そもそも建設する必要があるのかと住民による反対運動が起こりましたが、結局それでも建ってしまった防潮堤。
海の前は住むことができない土地になってしまい、住民は高台に移転された家で生活をしています。壁によって浜の豊かな漁の風景が遮られ、観光資産も失われてしまいました。


▶️それでも立ち上がる雄勝町の力強さ

津波で壊滅的被害を受け、復興にあたって巨大防潮堤が建ってしまってもなお、未来を向いて新しく町を作ろうという希望に溢れた住民との出会いに勇気をもらいながら、様々な応援・協力をしてもらいながらプロジェクトを進めています。
住民にとって防潮堤がいいものになるために、様々なアイデアを実践しています。

防潮堤を人が来たくなる場所に変え、新しい風景をつくる。


▶️なぜ防潮堤に壁画を描くのか

無機質な壁をそのままにしておくのではなく、住民、子供たち、日本人である私たち一人ひとりが誇れる風景に変えていく。
壁画を描いていくことで、防潮堤前の空間が住民や外の人が集う場所になり、壁画と一体となった新しい風景が生まれていく。そのような希望のある復興の新しい形をつくることになると信じていますし、その想いで「海岸線の美術館」は壁画制作やワークショップ、イベントを行っています。

昨年11月に壁画が完成し美術館を開館してから、いままで雄勝町でにはなかった様々な風景が生まれました。今後も地元や全国の方とコラボレーションをしながら、様々なアイデアを実行していきたいと思っています。



雄勝の豊かな風景・文化を伝える壁画作品
人を呼びこむイベント

▶️壁画 NO.1 「THEORIA | テオリア」
 島国に生きる私たちの心に残る風景を描いた作品。

リアス式海岸が生み出した、15浜の魅力的な風景。

Artist:Takanosuke Yasui / 安井鷹之介
Size:高さ7.5m×幅54.6m
Place:宮城県石巻市雄勝町上雄勝2丁目22 雄勝湾防潮堤 
Date:2022年
Material:関西ペイント塗料




▶️壁画 NO.2「A Fisherman | 漁師」
 太古から続く、漁師文化を描いた作品。

漁をする漁師の姿、使いこまれた漁具、太古から続く日本の風景。

Artist:Takanosuke Yasui / 安井鷹之介
Size:高さ7.5m×幅6.6m
Place:宮城県石巻市雄勝町上雄勝2丁目22 雄勝湾防潮堤 
Date:2022年
Material:関西ペイント塗料


▶️壁画 NO.0「highlight | ハイライト」
 いつかは地元を離れる子どもたちと一緒に、いつでも帰ってこれる故郷を描いた作品。

幼少期を過ごした故郷に自らが風景を刻む体験。

Artist:Takanosuke Yasui / 安井鷹之介 | 雄勝小中学校生徒33名
Size:高さ5m×幅17m
Place:宮城県石巻市雄勝町大浜小滝浜2−2 雄勝小中学校内
Date:2022年
Material:関西ペイント塗料

※学校内にあるため、普段は公開しておりません。


▶️壁画びらき 「壁画水かけまつり/下地制作イベント」
 壁画を一緒につくる、壁画を一緒に洗う。壁画制作に参加して愛着や結びつきを生むイベント。

今年開催する「壁画びらき」
どなたでもぜひご参加ください! 


▶️壁画完成披露 「雄勝壁画まつり」
 住民と地域外の人との結びつきを生む、壁画完成を祝うお祭りを毎年開催。


毎年壁画を描き続け、町全体を美術館に。

震災前にあった文化なども含め、過去・現在の雄勝の魅力を丁寧に見続けながら、その価値を未来に伝えていく壁画群を制作し、雄勝の魅力が詰まった「もうひとつの海岸線」である美術館を広げていきます。
壁画から壁画まで海岸線沿いを巡って鑑賞することで、雄勝の魅力を隅々まで味わえるようにしていきます。
また、制作のプロセスで様々な関わりしろをつくり、壁画を見に来る人、イベントに参加する人、プロジェクトに参加する人など、観光人口や関係人口を少しずつでも増やしていければと思っています。

今年制作予定の壁画とイベント

今年2023年は、9月から10月末の2ヶ月間で壁画2作品の制作をします。


▶️壁画NO.3  GOLDEN TWILIGHT | 黎明
 他者を想い贈り合う文化、自然豊かなおすそわけの風景を描く。※9月末完成

長期滞在して壁画制作をする中で、様々な住民の方から魚、果物、花、芋、など様々な贈り物、おすそわけをいただいてきました。自然豊かな海辺の町では見返りを求めず贈り合うという文化が今も残っていて、それは現代の都市生活が忘れてしまった心だと感じます。その文化、風土を伝える作品を構想しています。

壁画No.3 写真

制作中(09.21時点)

完成写真

Concept:

今作については、この壁画制作の一年前の2022年、初めての壁画完成披露会の時に話は遡ります。セレモニーの時に私は浜に住むおじいさんから、その土地で自らが手積みして自作してくださったブーケをプレゼントしていただきました。それまでの数年間のプロジェクト準備期間、もちろん良いことばかりではなく、時としてムラ社会特有の空気感を体感することもありましたが、そのブーケはそんな内と外の垣根を軽々と突破して強烈な喜びを私に与えてくれました。私はそれに、生の土地を分け与えていただいたかのような衝撃さえ感じました。

そしてその時から、近年の都会ではなかなかお目にかかることのできない、この町で毎日のように目にするお裾分けをしあう近所付き合いや隣人とのコミュニティにより強く着目するようになりました。夜明け前から働きに出て、海や畑での収穫物をお昼に持ち帰り、それを共有する。時間やエネルギーが物に形を変えて他者の身体に直接届いて関わっていく。都会に見られる過度な消費社会が発するスピード感に対して、この町にはまだ太古から続いているであろう悠久な循環が残っている。そう感じています。

壁画1 “THEORIA” では風景画を描き、壁画2 “A Fisherman” では人物画を描いてきました。ですので、今作の壁画3では静物画を描きたいなと前々からぼんやりと考えていました。そして静物画について調べていくとその起源は、イタリア・ポンペイの壁画にあるとわかりました。その壁画はなんと、客人を迎え入れる部屋の壁に描かれるフルーツや魚などの贈り物についての絵が描かれた壁のことを指していました。今回私は”ブーケ”の経験からこれまで私がたくさんの住民の方々に頂いてきたモノを構成して静物画の壁画を描きましたが、実はそこには美しすぎる因果の裏付けがありました。

また、滞在中にはたくさんの方から様々なお話しを伺います。その中でもこの土地に関わる歴史の話は大変興味深いテーマが多くありました。そのようにして伺った、この地方にも多く存在した潜伏キリシタンの歴史や、西南戦争で負けた薩摩軍が雄勝石を掘削する石工として働いていたという史実についても、モチーフに絡めて描かせていただきました。例えば、薩摩郡はさつまいも、キリシタンについては雄勝町にも深く関係する支倉常長の衣装の刺繍のススキを抜粋し絵の中に登場させました。という具合に、他にもいくつかのモチーフに意味を絡めながら描いていますので、ぜひ探してみてください。

この壁画はプロジェクト2期目に制作しましたが、昨年からの1年間で感じたことがあります。それは「此処での制作が纏う時間は、長い芸術史、ひいては人類史の時間軸と共にある」そんな規模の仕事だということ。現代的なスピード感覚とは対照的なそれに、私は芸術家として救われているという自負さえあります。これからも真摯に土地と歴史に向き合いながら、じっくり作品を此処に土着させることに集中し制作を続けていきたいと考えております。まだまだ始まったばかり、期は黄金色に輝きだした黎明です。

安井鷹之介


Artist:Takanosuke Yasui / 安井鷹之介
Size:高さ7.5m×幅10.2m
Place:宮城県石巻市雄勝町上雄勝2丁目22 雄勝湾防潮堤
Material:関西ペイント塗料


▶︎壁画NO.4  BIG CATCH | 名振のおめつき
 担い手が少なくなったお祭りを継承する風景を描く ※10月21日完成

雄勝町の北端、名振地区で200年以上前から伝わる火伏のお祭り「おめつき」。山車を荒々しく担いで壊すダイナミックなお祭りで、無形民族文化財にも数えられています。しかし、近年は担い手の減少とともに開催されておらず、存亡が危ぶまれています。このお祭りを、海岸線の美術館をきっかけに雄勝町を訪れた人が知り、継承していくきっかけになればと考えています。


壁画No.4

完成写真


Artist:Takanosuke Yasui / 安井鷹之介
Size:高さ6m×幅24m
Place:宮城県石巻市雄勝町名振東漁港 名振湾防潮堤
Material:関西ペイント塗料


▶︎雄勝小中学校 地上絵ワークショップ 8/28(月)開催

雄勝小中学校にある、円形階段に学校生徒と共同で地上絵を描くワークショップを開催。アーティストの安井鷹之介がインドで見たアジャンターケーブ遺跡を思い起こす形状の階段に、全校生徒31名ひとりずつに洞窟を描き、その中に子供たちが夏休みの宿題で考えてきてもらった「古代オガツ文字」を描いてもらいます。


▶︎海岸線の美術館 特別展を仙台で開催


雄勝までなかなか足を運べない方にも美術館を知ってもらうために、壁画の原寸大レプリカや安井鷹之介の雄勝をテーマにした作品を展示する「移動壁画展」と、壁画を描く楽しさを体験する「壁画制作体験展」の2つの展覧会を仙台で開催します。雄勝現地では壁画の制作をしていますので、ぜひ併せて来てもらえたら嬉しいです。

◼︎「海岸線の美術館 移動壁画展 “IN THIS DAY AND AGE/現時代”」
期間:9月1日(金)〜10月24日(火)
場所:GALLERY A8T(ギャラリーエイト)
住所:宮城県仙台市若林区卸町2丁目5-7 2F
時間:12:00〜19:00

◼︎「海岸線の美術館 壁画制作体験展」
期間:9月15日(金)〜9月24日(金)
場所:仙台PARCO 6F
住所:宮城県仙台市青葉区中央1-2-3
時間:10:00~20:30


壁画制作の進捗や最新情報は、美術館 instagramで見ることができます!
https://www.instagram.com/seawallmuseum_ogatsu/



あなたも一緒に美術館づくりに参加しませんか?

▶️美術館の株主ならぬ、「壁主(かべぬし)」
 美術館を応援する人が増えるほど、壁画が増えていく仕組み

美術館を広げていく中でたくさんの方に応援してもらえるよう、美術館を一緒につくる参加の仕組みを用意しました。美術館の壁主になってもらうという仕組みです。


▶️1壁からなれる、壁主。

防潮堤の表面に貼られている60cm×120cmというパネル1枚を1壁という単位にすることで、より多くの関わりしろをつくることにしました。
壁主になった方が雄勝に訪れ「自分の応援によって新しい風景が広がっていくんだ」と、第二の故郷のように感じて雄勝を好きになってもらう。アート好き、海好き、震災復興に興味がある方、地方創生や移住に興味がある方など、日本各地の様々な方々が雄勝の風景の共同壁主になることで新しい出会いや企みが生まれ、いい変化が起きることを期待しています。

※半壁は数が限られていますので、壁画No.1/No.2/No.3からランダムにお選びします。


▶️壁主へのリターン


▶️壁主の皆様(昨年のクラウドファンディング)

昨年のクラウドファンディングでは、128名の方に壁主になっていただきました。様々な色彩の1壁をご覧ください。


クラウドファンディングリターン

今回のクラウドファンディングでは、壁主のコースを基本に様々なコースをご用意しました。美術館ならではの、ものや体験などたくさん用意しましたので、ぜひリターンのラインナップをお楽しみください。


美術館の今後の展望
資金の使い道

▶️いただいた支援の使い道リスト

・壁画製作費:300万円
・美術館運営必要経費(交通費、滞在費、人件費など):400万円
・リターン制作費:100万円

・美術館宣伝費:20万円
・イベント開催費用:50万円
・美術館クリエイティブ製作費:85万円
・壁画維持管理費:100万円
・クラウドファンディング手数料+税:95万円

 必要経費合計:1150万円


美術館の運営

▶️運営会社

一般社団法人SEAWALL CLUB

代表理事:髙橋窓太郎
所在地: 〒986-1135 宮城県石巻市雄勝町下雄勝2-5
設立: 2021年5月

WEBサイト:https://kaigansennobijutsukan.com
Facebook:https://m.facebook.com/seawallclub/
Instagram:https://www.instagram.com/seawallmuseum_ogatsu/
Youtube:https://www.youtube.com/@seawallmuseumogatsu2434/featured


▶️運営体制

事業運営主体:一般社団法人SEAWALL CLUB
共催:石巻市
※当美術館の防潮堤を利活用した壁画は、石巻市と一般社団法人SEAWALL CLUBの共催事業です。石巻市が宮城県より防潮堤の使用許可を取得し、一般社団法人SEAWALL CLUB が石巻市と協議をしながら、運営・管理を行なっていきます。

協賛:関西ペイント販売株式会社/協立塗料株式会社/株式会社プラスワンホーム/株式会社シロク/株式会社TheProducers/UESHIMA COLLECTION/協和ホールディングス株式会社/株式会社AZOTH/株式会社デリシャスカンパニー/大恵丸/株式会社大槻組
協力:サン商事興業・留畑塗装/MAHO KUBOTA GALLERY/雄勝FORESTキャンプ場/高橋武彦/株式会社マルカ髙橋水産


▶️運営メンバー

さいごに

東日本大震災後の復興工事で、東北全域の海岸線に同じような高い防潮堤が370kmも建設されました。
それぞれの街が雄勝同様の課題を抱えています。そして、東北で現在起きている問題は、今後日本全国の海沿いの町・都市で起こりうることです。
島国である日本に住む私たちにとって大きな誇りである、美しい海岸線の風景や文化とどう向き合い、残し、作り変えていくのか。
このプロジェクトは、これからの時代の新しい公共性をつくり出す先進的な取り組みになっていくと考えています。

そしてそのためには、たくさんの方の参加と応援が必要です。

あの世界遺産「サグラダ・ファミリア」も、当初はアントニ・ガウディが自費を投げ打って、ひとりひとりに直接尋ねて寄付を集めて建設費を賄い、進めていたと知りました。夢に共感して感動してもらいお金をいただくことは並大抵なことではありませんが、フィジカルに泥臭く向き合いながら、この海岸線の美術館という大仕事を真摯に、情熱を持って全うしたいと考えています。

このプロジェクトに共感いただき、応援・支援いただけたら嬉しいです。

海岸線の美術館 館長
髙橋窓太郎


<募集方式について>

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2023/10/27 12:35

    クラファンのページを見ていただいている皆様に、館長からのメッセージです。海岸線の美術館というプロジェクトを始めた理由や、なぜ続けていくのかなど、話したインタビュー動画です。ぜひ仕事の合間などに、ラジオ代わりに聞いてもらえたら嬉しいです。そして、もしなにか思うところがあったら、クラファン支援して...

  • 2023/10/24 11:40

    10/22(日)に、2023年に制作した壁画2作品のお披露目会として、「雄勝壁画まつり」を開催しました。当日は、県内外から約1000人ほどの方々が来場し、東北の文化である芋煮を雄勝verにアレンジした「雄勝海鮮芋煮」のお振る舞いや、壁画を背景にした音楽ライブ、高所作業車による天空壁画ツアー、キ...

  • 2023/09/15 17:28

    本日9月15日(金)より仙台パルコ6階特設会場にて、壁画制作体験展『みんなで描く!海岸線のクレヨン壁画』を開催します!仙台パルコ6Fのブースに出現するカベ。海岸線の美術館の制作を追体験できる展覧会となっております!カラフルにたのしく彩りましょう!三陸のリアス式海岸沿いにある、雄勝町の美しい海。...

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