エンタメ領域特化型クラファン
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ご挨拶・プロジェクト実施に至る背景について

十和田市現代美術館は、青森県南部地方にある現代アートの美術館です。
市街地の官庁街通りを中心に、美術館、アート広場や野外彫刻など、まちなかにアート作品が点在する十和田市は、市全体が美術館のようなまちとして、毎年多くの来館者にお越しいただいています。
美術館では、国際的に活躍する作家たちの常設展示作品に加え、企画展示を開催しています。
また、まちなかの会場「space」で実験的な展示を行っている他、ワークショップや対話型鑑賞などのラーニングプログラム、学芸員によるギャラリートークなど、現代アートを通じた豊かな体験を提供し、未來の創造へ橋渡しができるよう、スタッフ一同努めています。

一方、これらの活動を実現するための美術館の予算は、残念ながら潤沢であるとは言えません。美術館の運営のためには、日々働くスタッフの人件費、施設の管理費や光熱費、作品を良い状態に保つためのメンテナンス費用、みなさんに美術館で楽しんでいただくために実施する展覧会やイベント、子どもたちの豊かな体験につなげるためのラーニング事業、美術館を側で支えるメンバーシップのために必要なお金など、さまざまな費用がかかります。日本の芸術文化振興の国家予算が低いことや、日本経済の低迷、近年の物価の高騰などが、美術館の運営の難しさに拍車をかけています。その中で、全身全霊で展覧会を作ろうとしている作家が作品を作るための資金の確保が追いつかない現状があります。

美術館が、クラウドファンディングで資金調達をすることは、公的な文化機関の予算不足の問題を根本的に解決できるものではないでしょう。しかし、当館では、脈々と培われてきた美術の歴史において価値のある展覧会を実現し、その体験をみなさんに提供することを最優先とし、選択肢の一つとしてクラウドファンディングを実施する運びとなりました。


映像作家・荒木悠について

Photo: Natsuki Kuroda

1985年生まれの荒木悠は、映像作品と、映像を中心にインスタレーションを展開する作家です。幼少期から大学卒業までアメリカで暮らした荒木は、異文化間で起こる誤解や差異に注目し、オリジナリティと複製などの問いをユーモラスな表現で扱ってきました。東京都写真美術館、大阪中之島美術館、ポーラ美術館、岡山芸術交流など、日本の主要な美術館や展覧会での出展経験があります。また、オランダのロッテルダム国際映画祭や、フランスのマルセイユ国際映画祭映像祭といった、海外の映画祭でのノミネートされる、大変意欲的な作家です。



このプロジェクトで実現したいこと

今回、皆様にCAMPFIREでの支援をお願いするのは、十和田市現代美術館で開催する映画監督・荒木悠の新作を制作するためです。
以下の3つの目標を実現するために、3-5作品の新作を制作します。

1. 青森県各地のロケーションやモチーフを取り上げたシーンを各作品に散りばめながらも、様々なバックグラウンドを持つ人に伝わる普遍的な表現を追求する

作家は、十和田市のある南部地方だけでなく、津軽地方や下北半島を計3度訪ね、リサーチを重ねました。青森の景観や風土に着想を得て、これまでの作家活動の根底にある継続したテーマを発展させ展示プランを考案しました。このリサーチによる青森県の歴史・文化が、本展に強く影響を与えていることは間違いありません。同時に荒木は、これらの体験から得たイメージを用いながら、「地域性」だけに留まらない表現として昇華させることを目指します。

2. 日本の近代史や、アメリカなどの諸外国との関係を参照しつつ、コロナ禍を経た現代社会の在り方を照射する

活動開始当初から作家が強く関心を持っているテーマに、異文化間で起こる誤訳や誤解、本物(オリジナル)と複製(コピー)の関係が挙げられます。本展では、東北地方の伝統工芸や、青森を中心とした近代史とそれに関わる外国語に注目した作品を制作する予定です。歴史を紐解く荒木の試みにより、私たちが生きる現代社会の問いかけが生まれます。


3. 映像というメディアを使う展覧会の形式の更新を試みる

映画・映像を媒体に表現活動を行う荒木にとって、カメラが生み出す「見る」と「見られる」の関係性や、それをどのように映し出し、どんな鑑賞体験をもたらすかは非常に重要です。
本展では、これまで荒木が実践してきた映像を中心としたインスタレーションを展開することにより、映像作品の展示方法の更新を試みます。

《The Last Ball》2019年
資生堂ギャラリーでの展示風景、撮影:加藤健

本展覧会を実現するために、取材・撮影のための交通費、撮影クルーの人件費、演者の出演料、衣装製作費、音楽の制作、ナレーション、字幕翻訳料など、様々な費用が必要です。それらの費用を、皆さまのご支援を得て、今回のクラウドファンディングで集めたいと考えています。

スケジュール

11月末  クラウドファンディング終了
12月9日 展覧会オープン、レセプション開催
2024年1月末- 4月 順次、リターンを発送

資金の使い道

撮影スタッフ人件費:約500,000円
演者出演料:約400,000円
衣装準備・音楽制作・使用料:約400,000円
ナレーション・字幕翻訳料:約400,000円
作家の交通・宿泊費:約170,000円
上記に加えて、支援金額全体に、手数料(17%+税)が計上されます。

応援メッセージ

木村絵理子(キュレーター/弘前れんが倉庫美術館副館長兼学芸統括)

撮影:成田写真事務所

荒木さんの作品を初めて見たのは、2014年、コンテナの中で展示された小さなプロジェクションによる映像作品でした。日本へのキリスト教伝来とオリーブ輸入の歴史が、言語の翻訳をめぐる逸話と交錯する詩的な映像は、荒木さんが一人で撮影し、一人で編集して完成させた作品でした。あれから10年、荒木さんは多くのプロフェッショナルな協力者を得て、大掛かりな撮影をするようになっています。そしてその作品は、シリーズや組作品として展開しつつ、美術館やギャラリーだけでなく、国際的な映画祭などにも出品されて、より広い発表の機会を持つようになりました。今回、十和田市現代美術館での個展で発表される作品もまた、壮大なプランの下に、荒木さんの未来を占う出発点としての作品になっていくのではないかと期待しています。


蔵屋美香(横浜美術館館長)

荒木悠さんは、二つのものの間に生じるズレや誤解をテーマに、主に映像作品を制作しています。
30代後半と、気力体力充分で、次のステージへと飛躍するタイミングです。ここでどれだけ充実した活動をするかで、この後のキャリアがまったく変わります。今回、東北を舞台に新作に挑む荒木さんの「今」を、どうぞご支援ください。





最後に

ぜひ、皆さまの温かいご支援をお待ちしております。
また展覧会オープンした際に、ご支援により完成した新作の数々をご覧いただけることを心よりお待ちしております。

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。
目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

*ご支援をしていただく際に、どのリターンも『上乗せ支援』をすることができます。
ご都合がよろしければリターンの額に上乗せして、ご支援頂けますと大変嬉しいです。

*150,000円のコース支援者の方で、ご希望の方にのみ領収書を発行いたします。
(必ず、備考欄に「領収書が必要」の旨を明記ください。)
それ以外のコースの支援者の方にはご対応いたしかねますので、あらかじめご了承ください。

*メッセージでのお問い合わせについては、5営業日以内のお返事となります。

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