自己紹介

 最新のIT技術を基に社会課題解決にチャレンジしています。解決策は、自分の保有技術だけでなく当社独自のEPCN(*1)を活用することにより他のエキスパート(*2)の技術やノウハウを元により立案します。

 今回のプロジェクトの長期ビジョンは、当社が独自開発した『会話やメール、およびそれらに対する行動などに現れる発信者や受信者の意図(思い)を分析する技術(エンジン)』を社会の様々なシーンで活用することです。エンジンの開発目標は、1年以内に技術の見える化を行い数年内に社会実装できるレベルとしています。開発チームは、当社の従業員ではなくエンジン開発に共感したEPCNのメンバーで構成されています。音声の取り扱いに長けた技術者や研究者、AI領域のPython等のプログラミング技術者が参加しており、少数精鋭ながら開発目標にStep by Stepで着実にアプローチしています。

(*1) :EPCN (Expert Persons Collaboration Network)>

 ・当社の社名「玄人ネットワークの由来」でもあり、国立研究開発機関、国立大学、私立大学、企業の研究開発部門のキイパーソンとの産学官の垣根を越えた強力なエキスパート連携ネットワーク。

(*2):エキスパート>

 ・情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)に制御(Control)、誘導(Navigation)、監視(Surveillance)を加えたICCNS技術領域の研究者や技術者を中心に企業での実務経験を積んだ高いプロジェクト遂行力を有するビジネスマンからなります。

<自己紹介>

 電機メーカの研究開発部門で音声や水中音響の信号処理技術や無線データ伝送技術の研究開発に従事しました。2010年に退職し、直ちに、玄人ネットワーク(株)を創業すると同時にYRP国際連携研究所(YIAI)の活動にも参画しました。その後、安全・安心領域で無線技術を応用した複数のナショナル研究開発プロジェクトに参加し、東大、東北大、早大の研究員にも就任しました。幸いにも、これらの経験は自分自身の技術力向上だけではなく、所属組織を超えたプロジェクト参加メンバーとのEPCNの拡大にも繋がっています。

 特殊詐欺関連技術の研究開発は、オレオレ詐欺や架空請求詐欺や還付金請求詐欺等の特殊詐欺被害が急増した2018年(平成30年)から玄人ネットワーク社独自のプロジェクトとしてスタートしました。独自のAI利用型脅威判定エンジン開発を目指し、エキスパートのノウハウを利用した脅威度評価アルゴリズムを考案し、特許出願に至っております。

(公開特許公報:番号:特開021-193479、名称:通話評価方法)

 一方、ナショナルプロジェクト関連では、早大上級研究員の立場で提案段階から積極的に参画し、ソフトターゲット向けのテロ対策技術に係る衣服内の拳銃・刃物等の不審物を検知を目標とした「セキュリティ強化に向けた移動物体高度認識レーダー基盤技術の研究開発の研究開発」(2019.4.1~2022.3.31)に参加し最新のAI技術を習得することができました。


解決したい社会課題

 日常生活では、自然災害や人為的災害が突発的に発生し、普段は目に見えない脅威が現実となり誰もが想定外のリスクに直面します。想定外リスクは、災害に遭遇した本人の自助努力だけでは回避できないケースが多々あります。例えば、近年のコロナウィルス感染(COVID-19)パンデミックは、自然災害領域の想定外のリスクであり、新型コロナウイルス用ワクチンが最大の感染予防効果を発揮しました。(ワクチン開発で大きな貢献をしたカタリン・カリコ氏ら2人が2023年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。)

 一方、特殊詐欺は、人為的災害領域の想定外リスクであり、高齢者に対するオレオレ詐欺等の特殊詐欺だけではなくスマホ保有者をターゲットとした新たな手口が次から次へと実行され、その被害額は約280億円(2021年度)と高止まりの状態が続き社会不安を著しく増大させています。特に、最近頻発している闇バイト事案では、安易に金儲けができそうだとバイト募集に応募し、そのバイトが特殊詐欺やアポ電強盗詐欺であったと犯行後に分かってもバイト応募時に個人情報を提出しているため家族に迷惑がかかると思い犯罪を重ねるケースが多々あります。バイト応募前やせめて犯行前に、少しでも不審に思った際には、不安や悩みを一人で抱えることなく自分の心の拠り所を活用して情報共有し相談する場があれば加害者にならずに済んだかもしれません。

 従って、自助だけではなく共助や公助も考慮した有効な特殊詐欺対策を速やかに実用化し速やかに普及させることが喫緊の課題と考えます。


図 アポ電強盗詐欺

 現代社会では、いつでも、どこでも、個人の金融資産を狙う特殊詐欺と言われる犯罪に遭遇する機会が増加しています。特殊詐欺は、被害者に電話をかける等により対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込みその他の方法により、不特定多数から現金等をだまし取る犯罪(現金等を脅し取る恐喝及びキャッシュカード詐欺盗を含む。)の総称です。

 加害者(犯人)からの電話やメールがトリガーとなる屋内型の犯罪であり、被害者の大半は金融資産を有する高齢者です。犯人を直接的に認識することが困難な目に見えない脅威に該当します。警察庁が公開している特殊詐欺対策のウェブページには、特殊詐欺の新たな手口も紹介されています。

https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/

 このような脅威に対して、現在、下記のような特殊詐欺対策サービスが有料提供されています。

1.防犯固定電話

 ・ナンバーディスプレー、相手に警告・通話録音機能付き

 ・全国防犯協会連合会推奨

2.迷惑電話フィルタ

 ・固定電話およびスマホ向け迷惑電話自動着信拒否

 ・警察や自治体、ユーザーから提供された迷惑電話の番号を管理

3.特殊詐欺対策アダプタ

 ・家庭の固定電話の利用する高齢者向けサービス

 ・契約者に「特殊詐欺対策サービスおよび通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)」を有料配布

 ・通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)から、録音した通話内容をクラウド上に転送し、特殊詐欺解析AIが通話内容を解析

 ・詐欺であると疑われる等の場合には、契約者本人や親族等あらかじめ登録された方に、注意喚起の電話やメールを送信

 しかしながら、令和4年中の特殊詐欺の認知件数及び被害額は、いずれも前年より増加し、高齢者を中心に多額の被害が生じており、依然として高い水準にあります。令和4年中の認知件数は、手口別にみると、還付金詐欺(注1)が4,679件と最も多く、次いでオレオレ詐欺(注2)が4,287件となっています。

(注1):市区町村の職員等を装い、医療費の還付等に必要な手続を装って現金自動預払機(ATM)を操作させて口座間送金により振り込ませる手口による電子計算機使用詐欺

(注2):親族等を装って電話をかけ、会社における横領金の補填金等の様々な名目で現金が至急必要であるかのように信じ込ませ、指定した預貯金口座に現金を振り込ませるなどの手口による詐欺

https://www.npa.go.jp/hakusyo/r05/pdf/05_dai2sho.pdf

 従って、常日頃から一人一人が身の安全確保に心掛けるだけではなく目に見えない脅威に対する有効な想定外リスク対策を備え緊急時に速やかに実施する体制作りが必要不可欠です。しかしながら、その認識が行き届いている状況ではありません。

 一般に、日常生活の行動は、①認知、②判断、③行動の3つの知的活動プロセスが基本となりますが、 ①認知と②判断の能力が年齢とともに劣下することも特殊詐欺被害が多発する要因の一つと考えられています。特に、高齢者の特赦詐欺被害が相変わらず低減しないのは、

・高齢者の大半は固定電話のみのユーザ

・自宅の固定電話に特殊詐欺の電話がかかってくることはほとんどない

・もし、かかってきても自分は騙されるような人間ではないという自負心

等から、上記のような特殊詐欺対策サービスの提供を認識していない、もしくは認識していたとしても望まないケースが多々あると推測されます。

 さらに、様々な対策が取られているにもかかわらず特殊詐欺被害がなくならない要因としては、

① 対策そのものに関する要因として、対策が不完全である(「通信の秘密」による対策の限界や、④への対応が追い付いていないなど)

② 被害者側の要因として、特殊詐欺を「他人事」と捉えているため、対策を喫緊だと思っていない

③ 同じく、「私は騙されない」という根拠なき自信が、対策の導入を遠ざけている

④ 加害者側に起因する要因として、常に「新たな手口」を考案している

があると考えられます。

 当社が独自開発した『会話やメッセージ、およびそれに対する行動などに現れる発信者や受信者の意図(思い)を分析する技術(エンジン)』は、上記要因①、④を最新の技術で解決することを目指しています。具体的には、スマホに搭載可能なスタンドアロン型エンジン(情報を外部に流出させないエンジン)を実現するとともに、新たな手口にも迅速に対応する仕組みを目指しています。一方、上記要因②、③に関しては、特殊詐欺対策の社会的認知を高めていくとともに、特殊詐欺対策普及の必要性の社会的合意づくりが不可欠と考えています。そこで、高齢者の家族や友人、知人等の見守りネットワーク(当社ではこれを絆ネットワークを呼びます)を構築し、特殊詐欺に遭遇した時だけでなく平常時にも容易に安否確認が可能になるような快適な共助型サービスの提供を目指しています。

 本プロジェクトでは、安全性と快適性の2つの観点から取り組みます。

 第1の安全性の観点では、特殊詐欺対策アダプタの特殊詐欺解析AIと同等以上の性能を有する脅威判定エンジンの開発を目指します。また、特殊詐欺は、加害者からの電話やメールがトリガーであることから、通話内容をテキスト化して特殊詐欺解析AIが通話内容を解析する既存の特殊詐欺対策アダプタに加えて元々テキストであるショートメッセージ等の内容からも脅威判定する機能を追加します。その結果、新たな手口にも対処可能な汎用性の高いより安全な特殊詐欺対策を可能とすることを目指します。

 第2の快適性の観点では、高齢者の家族や友人や知人等の見守りネットワーク(当社ではこれを絆ネットワークと呼びます)を構築し、特殊詐欺に遭遇した時だけでなく平常時にも容易に安否確認が可能になるような快適な共助型サービス(名称:My 執事)の提供を目指します。

My 執事サービスの特徴は、以下の通りです。

 ・テキストを元に脅威検知

  スマホ搭載マイクロホン:録音音声をテキスト変換

  スマホ搭載カメラ:撮影画像のテキスト部分抽出

  スマホの受信SMSメール 

 ・特殊詐欺の新たな手口に柔軟に対処

 ・スマホ所有者への迅速な注意喚起


図 My 執事サービスのコンセプト


このプロジェクトで実現したいこと

 本プロジェクトでは、人の認知・判断能力を補完し適切な回避行動を起こすための脅威判定エンジンの開発に最大限注力します。脅威判定エンジンは、特殊詐欺に係る会話やメッセージ、およびそれらに対する行動等に現れる発信者や受信者の意図(思い)を分析します。

 現在、 AI利用型音声認識技術を基にスマホに話しかけるだけで誰でも簡単に文字入力ができる「音声入力」が実用化されています。既に、iPhoneやAndroid等のスマートフォンやAmazon, Google等のスマートAIスピーカーには、SiriやGoogleアシスタントといった音声認識機能が標準で搭載されています。AI利用型音声認識では、人が言葉を理解するまでの情報処理は、4つのプロセス(音響分析、音響モデル、発音辞書、言語モデル)に大別できます。クラウドネットワーク上のサーバやスマートフォン内の高速プロセッサにより各プロセスの高速演算と統合処理を行い、音声をテキストデータに変換しています。

 現時点での正解率(音声からテキストデータへ正しく変換する確率)は70%程度と言われています。今後、あらゆる音声データを収集し、音響モデルや発生辞書や言語モデルにフィードバックする機械学習を繰り返し実行すればテキストデータ正解率は確実に向上します。 AI利用型音声認識技術は、Googleや世界のIT企業の研究開発領域であり、我々はその成果を活用し、テキストデータの意図を分析する技術開発に注力します。

 脅威判定エンジンの開発では、公開されている実際の特赦詐欺通話を元に、先ず適当なAI利用型音声認識技術を採用し音声をテキストに変換します。次に、テキストデータに対して形態素分析を行い、名詞や動詞や形容詞等の品詞を分析します。(テキスト化では、句読点の無いテキストが生成されるため、意図分析時には文章の語尾を正確に抽出することが必要不可欠となります)。最後に、各品詞の出現頻度を考慮して脅威度評価を行います。一例として、従来の特許出願済の「通話評価方法」では、テキストデータ中の「ATM」や「お金」等のオレオレ詐欺に係る名詞をキイワードとした脅威度評価アルゴリズムを考案しました。本アルゴリズムによる脅威検知結果は、YouTubeで映像再生すれば体感頂けます。

 音声ファイルは、以下の3つです。

1.千葉県警が公開している実際の特殊詐欺電話:親族を騙る

   動画リンク(https://youtu.be/PPjf0cbJK1U)

2.千葉県警が公開している実際の特殊詐欺電話:警察官を名乗る

   動画リンク(https://youtu.be/FgN2xOcgegQ)

3.一般のニュース

 動画リンク(https://youtu.be/qL88TJTKd9Y

尚、各音声ファイルは、短縮版を使用し、最終的に詐欺電話か否かの判定結果が表示されます。オレオレ詐欺や預貯金詐欺などの特殊詐欺における犯人の音声やニュース音声(いずれも実録版)を用いた脅威判定結果は、70%~80%でした。また、詐欺の恐れのあるSMSの検知率は、予め詐欺の恐れのあるSMSを評価した場合は99%でした。(但し、詐欺以外の迷惑SMSの検知は含まない)従って、実用化に必要な性能は満足できるレベルに到達しています。

 現時点では、先ずは特殊詐欺を対象に、そのテキストデータ中の名詞だけでなく「確認」、「指示」、「依頼」といった意図の解析に踏込み、より精度の高い脅威度評価を可能する新たな脅威判定エンジンを開発しています。今後、脅威判定エンジンで取り扱う通話対象を拡大することは脅威度評価の高性能化に必須となります。クラウドファンディングによる開発資金が獲得できれば、外部人材(学生・社会人アルバイト等を含む)を活用し更なるデータ収集と収集データの絞り込み(アノテーション)とそれらの脅威度評価に取り組み、脅威度分析技術の高性能化を進めることができます。その成果は、脅威判定エンジンの特許化やそれを搭載したスマホ用特殊詐欺対策アプリの概略設計に繋げることも可能になります。皆様のご支援を切にお待ちしています。

スケジュール

・プロジェクト実施のスケジュール書きましょう。

2023年11月13日 クラウドファンディング募集開始

2024年  1月31日 クラウドファンディング終了

2024年  3月   第1回安全・安心ワークショップ開催告知開始

2024年  5月   第1回安全・安心ワークショップ開催:脅威分析技術の性能紹介

2024年  9月   第2回安全・安心ワークショップ開催告知開始

2024年  11月   第2回安全・安心ワークショップ開催:スマホ用特殊詐欺対策アプリの概略設計内容紹介

資金の使い道

人件費:約170万円

設備費(特許出願費用を含む):約50万円

CAMPFIRE掲載手数料・決済手数料:51万円

消費税(10%) :30万円


最後に

《我々と一緒に安全・安心な社会を構築する》

 「特殊詐欺に係る社会課題の解決に積極的に取組みたい」方の参画をお待ちしております。

<募集方式について>

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください