東日本大震災とそれにともない発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故から、まもなく13年が経とうとしています。あの日発令された「原子力緊急事態宣言」は今も解除されておらず、いまなお多くの人々が避難生活を続けています。
私たち国際環境NGO FoE Japanは、福島原発事故と向き合い、被害者の権利確立のために取り組んできました。原発の真のコストを明らかにし、各地の脱原発運動とつながりながら、原発のない持続可能なエネルギー社会をめざしています。
これまで皆さまのご寄付に支えられて運営を続けてきましたが、事故から月日が流れて関心が薄れる中、活動継続のための運営費用や、新たな映像や資料の制作、広報費用などの資金が不足しているため、クラウドファンディングに挑戦することにしました。
原発のない安全で公正な未来に向けて、一人でも多くの方に仲間に加わっていただくことが、私たちにとって大きな力になります。どうかよろしくお願いいたします。
原発事故から10年目を迎える2020年、年々原発事故に関する報道が減る中で、事故被害を「見える化」し、国際的に情報を発信していく「ふくしまミエルカPROJECT」をはじめました。事故によって避難、帰還、居住継続している人たちなどのインタビュー映像や、事故被害やエネルギー政策をめぐるデータなどを集めた特設サイトを作成。また年に一回、原発をめぐる状況をわかりやすくまとめた冊子「福島の今とエネルギーの未来」の発行や、国際シンポジウムの開催などを行っています。
2012年に立ち上げた「福島ぽかぽかプロジェクト」では、一時的に放射能汚染が少ない地域に子どもたちを受け入れる「保養」に取り組み、これまでに5200人の福島の親子にご参加いただきました。また、福島の若者の国際交流、母親たちが原発事故の体験を語るような場づくり、原発事故について親子で考える交流会、水俣・長崎の学習ツアーを実施し、公害や原爆経験を「語り継ぐ」ことの大切さについて参加者が考えるきっかけづくりを行っています。
FoE Japanは、福島原発事故の直後から、被害者の方々の権利を守る運動に福島の市民の皆さまとともに取り組んできました。以下のような活動を通じて行った要請は一部は実現しましたが、まだまだ十分とはいえません。現在も解決されていない課題も多く残っており、引き続きの取り組みが必要となっています。
福島原発事故後、日本のエネルギー政策は「原子力依存度をできる限り低減」としてきましたが、昨年閣議決定された「GX(グリーン・トランスフォーメーション)基本方針」および、国会で成立した「GX脱炭素電源法(原子力基本法など5つの法律の改正)」によって大きく方針転換しました。
脱炭素を推し進めるという名目で、事故リスクの高い老朽原発の稼働を認め、新設や増設、建て替えを認めるという原発回帰政策がとられることとなったのです。
いまだに福島原発事故の終息が見通せておらず、事故原因の解明も道半ばな中、このような方針転換が行われたことに対し、私たちFoE Japanは「福島原発事故の教訓を踏みにじり、将来に禍根を残すものだ」と強く抗議しました。また、以下のような問題点を指摘し、原発回帰政策の撤回を求めています。
1.原発は高い!
この10 年、エネルギーをめぐる世界の状況は劇的に変化しています。再生可能エネルギーによる発電量が増えてコストも安くなっている中、原発の価格は上昇を続け、今や最も高い電気になりました。急騰する建設費や安全対策費も加味すれば、さらに経済合理性がありません。原発の建設費は1兆円以上に達し、安全対策費や維持費も高額です。日本においても、再稼働のための追加対策に巨額の費用が費やされています。たとえば、新潟の柏崎刈羽原発では、再稼働の費用は1兆1690億円に達しました。
2.原発は気候変動対策にならない!
GX基本方針では次世代革新炉の新設や増設、建て替えが容認されました。しかしながら、世界的に原発建設の工期は長期化しており、平均9年以上にのぼります。政府が導入を見込んでいる次世代革新炉についても、実現は困難です。
逆に、限りある予算やリソースが原発に割かれることで、本来推進すべき省エネや地域主体の分散型な再生可能エネルギーが伸び悩むことを懸念しています。
3.原発は安定電源ではない!
事故後、全国の原発はいったんすべて停止しました。東日本では「原発ゼロ」の状況がすでに10年以上続いています。いったん再稼働した原発についても、トラブルや裁判の判決によって停止が相次いでいます。
また、フランスやアメリカ、北欧で記録的な猛暑によって水温が上がり、原子炉を冷やすための水が確保できなくなったため操業を一時停止するといった事態も発生しています。原発そのものが、気候変動の影響に晒されているのです。
4.現状の避難計画では住民の命を守れない!
今年1月1日に発生した能登半島地震では、多くの家屋が倒壊し、広い範囲で道路の寸断や地盤隆起が生じるなどして、現在の原子力災害対策指針とそれに基づく自治体の原子力防災計画(避難計画)は非現実的であることが露呈しました。
志賀原発は長期停止中であったこともあり、深刻な放射能漏れを伴う事故に進展しなかったのは不幸中の幸いでした。FoE Japanでは、住民を被ばくから守る最後の壁である原子力防災計画が現実に機能しないのが明らかである以上、原発を動かすべきではないということを全国の原発周辺の住民のみなさんとともに提言しました。今後も、こうした具体的な問題提起を続けていきます。
福島第一原発事故は終わっていません。私たちは、事故と被害を直視し続け、被害者に寄り添い、真に持続可能なエネルギー社会を実現していくため、活動を行っています。
原発それ自体も、「核のごみ」の最終処分の候補地も、中間貯蔵施設も、過疎に悩む地方に押し付けられ、たいへんな葛藤と分断を生み出しています。国は「立地地域の地域振興のため」と称して、交付金をつけて危険な施設を地方に受け入れさせていますが、これは札束で頬をはたくようなえげつないやり口です。原発や事故の収束のために働く作業員の方々も、被ばくリスクを負っています。ウランの採掘の場でも汚染や人権侵害が生じています。
原発は建設費も維持費も高く、いまや最も高い電源です。国の補助金なしにはやっていけません。逆に言えば、私たちの税金が、原発を継続させているのです。
一方で、原発利権のせいか、それ以外の理由か、原発を維持・拡大しようとする勢力はとても強いのが現実です。圧倒的な彼我の力の差に時に無力感にかられることもありますが、日本内外の心ある市民たちがつながりあい、小さい声を大きくし、さまざまなファクトを効果的に示していくことにより、必ず、脱原発は実現できると信じています。
みなさんのご支援が力になります。ぜひ、活動を支えていただければ幸いです。
1月 ・原発を推進するGX法案に対してのパブコメキャンペーン展開
2月 ・GX関連法案反対の署名提出と政府ヒアリング
3月 ・国際シンポジウム「福島と世界の今を知り、核なき未来をつくろう」開催
4月 ・GX脱炭素電源法案、衆院経産委員会で意見陳述/国会前連続アクション実施
・脱原発を実現した、ドイツ連邦環境大臣レムケ氏へのインタビュー
・ぽかぽかプロジェクト「水俣・長崎学習旅行」開催
5月 ・「福島の今とエネルギーの未来 2023」発行
・ぽかぽかプロジェクト GW@猪苗代開催
6月 ・総会特別イベント「水俣・長崎から福島へ 世代や地域を超え語り継ぐこと」開催
7月 ・海の日アクション連帯企画「汚染水を海に流すな!官邸前アピール」実施
・ぽかぽかプロジェクト 夏休み@猪苗代 開催
8月 ・ALPS処理汚染水の海洋放出に関する署名提出と政府交渉
・ぽかぽかプロジェクト 夏休み@猪苗代 開催
9月 ・再エネ100%を求める「ワタシのミライ」イベント&パレードを運営団体の一つとして企画・運営
・ぽかぽかプロジェクト @猪苗代 開催
10月 ・処理汚染水に関するオンラインセミナー開催(計5回)
・ぽかぽかプロジェクト@猪苗代 開催
11月 ・国際協力銀が出資する、ニュースケール社の小型原発計画中止に関する共同声明を発表
12月 ・COP28における「原発による発電容量を世界で3倍」宣言に対し、 緊急共同プレスリリース「原発は気候変動対策にならない」を発表
FoE Japanは、世界73ヵ国ネットワークを有する国際環境NGOです。 気候変動や森林破壊、大規模開発による環境・人権問題、脱原発・脱化石燃料など、幅広く政策提言活動を行っています。「日本の政府、企業、私たちの生活が関わって起きる問題だからこそ、私たちの力で解決したい。」この思いを大切に、環境・人権問題の現場の声を可視化してうねりを起こし、社会の仕組みを変え、公正で持続可能な社会の実現を目指します。
※FoE Japanは認定NPO法人のため、ご寄付は寄付金控除の対象になります。
最新の活動報告
もっと見るご支援者様のお名前をホームページに掲載しました
2024/05/01 14:39クラウドファンディング「原発ゼロへ!持続可能なエネルギー社会を目指す活動へのご支援をお願いします」へご支援ならびにご協力くださった皆さまに、改めてお礼申し上げます。感謝の想いをこめて、ご支援をいただいた皆さまのお名前をFoE Japanのホームページに掲載させていただきました。下記のリンクよりご覧くださいませ。https://foejapan.org/issue/20240501/17347/・ご掲載は希望された方のみで、順不同です。・掲載希望にもかかわらずお名前が掲載されていない場合や、お名前に不備がある等の場合は誠に申し訳ございません。恐れ入りますが、FoE Japan事務局までご連絡いただけますと幸いです。(ご連絡はこちらから)その他、以下のリターンにつきましては6月までにお届けの予定です。今しばらくお待ちください。・活動報告レポート・寄付金受領証明書(メールにて送付)上記にお名前を掲載させていただいた方々をはじめ、クラウドファンディングにお力添えいただいた全ての皆さまに心より感謝申し上げます。この度は本当にありがとうございました。今後とも、FoE Japanの脱原発プロジェクトへご関心をお寄せくださいますようお願い申し上げます。 もっと見る
【終了!】温かいご支援、ご協力ありがとうございました!!
2024/04/27 10:283月1日からスタートした今回のクラウドファンディングが昨日をもって終了しました。最終的に356名の方々から3,703,500円のご寄付を賜り、誠にありがとうございました!ご支援くださった皆さま、シェアなどでご協力くださった皆さまに心よりお礼申し上げます。残念ながら目標金額500万円には届きませんでしたが、356名もの方々にご支援をいただきました。これは、「原発ゼロ」の実現を強く望み、FoE Japanの活動に期待してくださる方々がたくさんいらっしゃることを示していると考えております。支援者の皆さまに深く感謝し、私たちに託してくださった皆さまの思いを受け止めて、今後の活動のために活用させていただきます。活動のご報告は随時FoE JapanホームページやSNSにて発信してまいりますので、フォローいただけますと幸いです。原発ゼロへの道のりは容易いものではありませんが、日本各地で同じ思いを持つ方々とつながり、力を合わせて声をあげ続けていくことで実現できると信じています。2ヶ月間に及ぶ私たちの挑戦を最後まで応援していただき、本当にありがとうございました!これからも、FoE Japanの脱原発プロジェクトへお心をお寄せくださいますようお願い申し上げます。◆FoE Japan ホームページ https://foejapan.org/◆FoE Japan SNS公式アカウント・Facebook https://www.facebook.com/FoEJapan・X https://twitter.com/FoEJapan・Instagram https://www.instagram.com/foejapan/ もっと見る
【あと6時間!】最後のお願い&アーカイブ配信
2024/04/26 17:16あっという間に残り6時間となりました!2ヶ月間走り抜いてきた結果がまもなく出ようとしています。これまでのご支援総額は3,452,500円まで伸びました。ご支援くださった333名の皆さま、拡散などでご協力くださった皆さまに心よりお礼申し上げます。目標金額の500万円まではあと155万円。残り時間でどこまで届くかわかりませんが、最後の1秒まで諦めずに挑戦してまいります。どうかあと一押しのご支援、ご協力を何卒よろしくお願いいたします。Facebook Live アーカイブ先ほど配信した「ぽかぽかハウス」からの生中継をご視聴くださった皆さま、ありがとうございました!アーカイブを下記のリンクからご覧いただけます。保養活動の現場とスタッフ矢野からのメッセージをぜひご覧ください。https://fb.watch/rH6NjkZ9jP/連続オンライントーク第6回アーカイブ昨晩は連続オンライントーク第6回「原発回帰してはいけない、これだけの理由」にご参加いただきまして、誠にありがとうございました。100名を超える皆さんにご視聴いただけたことに感謝申し上げます。ご参加いただけなかった方もぜひ下記の資料やアーカイブ動画をご覧いただけましたら幸いです。資料:https://foejapan.org/wpcms/wp-content/uploads/2024/04/240425.pdfアーカイブ動画:今日4月26日は、38年前にチェルノブイリ原発事故が起きた日でもあります。福島第一原子力発電所の事故からは13年が経ちました。あまりに大きい被害を出したこれらの事故から、私たちは何を学んだのでしょうか。「原発のない未来」への思いを皆さまと共有し、ファクトに基づいて声をあげていくことで、公正で持続可能なエネルギー社会は実現可能だと信じています。皆さまの思いをどうか、FoE Japanへ託していただけないでしょうか。何卒よろしくお願いいたします。 もっと見る
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