本プロジェクトについて

古楽専門の室内合唱団Salicus KammerchorがJ. S. バッハの教会カンタータ全曲録音を開始します。

2年に1度のプロジェクトで、1回につき約4曲のカンタータを演奏、収録、リリースいたします。

J. S. バッハの教会カンタータは約200曲のこされているので、全曲録音完成までに100年かかる壮大な計画です。

同会場で2回演奏会を行い、そのゲネプロ(通し稽古)と本番を録音し、編集して音源化します。(演奏会の情報はこちら

今回はその第1弾ということで、皆様よりクラウドファンディングで資金を募らせていただくこととなりました。


自己紹介

Salicus Kammerchorは2015年に結成された古楽専門の室内合唱団です。グレゴリオ聖歌からJ. S. バッハまでのキリスト教声楽作品をレパートリーとしています。

指揮は櫻井元希、比較音楽的見地から、失われた西洋の歌を再建する試みを行っています。

Salicus Kammerchorは2019年にもクラウドファンディングで皆様よりご支援を募り、J. S. バッハのモテット全曲録音CDを制作いたしました。(CD詳細と購入はこちらから)

今回はJ. S. バッハの声楽レパートリーの中心である教会カンタータの全曲録音に挑戦します。

Salicus Kammerchorプロフィール

 東京藝術大学バッハカンタータクラブのメンバーを中心に、2015年に結成。中世、ルネサンス、バロック期までの宗教声楽作品、特にJ. S. バッハの作品を演奏することを目的とする。

 団体名のSalicusは、装飾を伴うとされる上昇の「ネウマ」の名称に由来する。「ネウマ」とは、10世紀頃のグレゴリオ聖歌の記譜法である。Salicus Kammerchorでは、この歌心の粋を集めた「ネウマ」を解釈し、その歌唱法をグレゴリオ聖歌のみならず、ポリフォニー、そしてJ. S. バッハの演奏にも生かしていく。

 いわゆる古楽的アプローチに甘んじることなく、むしろそれに対し常に疑問を投げかけながら、音楽の核心に迫る為に様々な角度からアプローチを試みる。特にJ. S. バッハの作品は、非常に広大なバックグラウンドを有し、ある一つの尺度では計れない多様性を持っている。そのためあらゆる可能性を排除せず様々な価値観を受け入れながら、先入観に囚われない柔軟な演奏解釈を目指す。

公式HP:https://www.salicuskammerchor.com/


Salicus Kammerchorの特徴

これまでいくつかのグループがJ. S. バッハの教会カンタータを録音しています。それらのグループとSalicus Kammerchorとの違いは、西洋の古楽(1750年以前の音楽)における「歌」を根本から見直しているという点です。

そのひとつとしてSalicus Kammerchorは結成当初より、10世紀頃に書かれたグレゴリオ聖歌の記譜法「古ネウマ」を参考にJ. S. バッハの音楽を見直すという「ネウマ的にバッハを歌う」ということを行ってまいりました。

「古ネウマ」には、現代の記譜法にはない、歌いまわし、抑揚、流れ、装飾などが記録されています。

近年はこれに加え、例えばペス・ロトゥンドゥムというネウマが書いてあったとして、それがなぜペス・クワドラートゥスではなくてロトゥンドゥムでなければならないのかという、さらにその根っこの部分にあたる、音の構造についても検討を深めています。

その手がかりになるのが「ヘクサコルド」です。これはいわゆるドレミ階名(ドレミファソラシ)が生まれる前に西洋で用いられていた階名です。Ut Re Mi Fa Sol Laの6つの音を使うことからヘクサコルドと呼ばれています(それに対してドレミ階名は7つの音を使うのでヘプタコルドと呼ばれます)。

J. S. バッハは平均律クラヴィーア曲集と本邦では訳される曲集を出版された際にそのタイトルページに以下のような文章を掲載しました。

よく調律されたクラヴィーア あるいはすべての全音と半音、すなわち全ての⻑三度つまり Ut Re Mi、また短三度つまり Re Mi Fa によるプレリュードとフーガ

長三度のことをUt Re Mi、短三度のことをRe Mi Faと記載されていることから、J. S. バッハがヘプタコルドではなくヘクサコルドを意図していたことは明らかです。(ヘプタコルドではUtはDoとなり、短三度を示す場合は一般にLa Si Doとなります)

J. S. バッハが用いていた階名を用いてJ. S. バッハの音楽を捉えるというのはごく当たり前のようですが、実はこれまであまり積極的に行われてきませんでした。

Salicus Kammerchorはこの基本に立ち返り、グレゴリオ聖歌から脈々と続く旋法の音楽の終着点としてのバッハ(バッハ以降西洋の音楽は旋法の音楽から調性の音楽へと変遷していきます)が、いかにしてバッハとなったかを検討し、演奏に活かしてまいります。

ヘクサコルドについての解説動画→https://youtu.be/q6VSGakw7aY?si=OO8X2dkIOozMAtON


これまでの活動

Salicus Kammerchorは2015年の結成し、J. S. バッハのモテットに取り組んで来ました。毎回の演奏会でモテットを1・2曲をメインプログラムとしてとりあげ、前半ではそれと関わりの深いテキストやテーマを持つ、J. S. バッハ以前の作曲家による作品を演奏してきました。

時系列で同テーマ(あるいは同テキスト)の作品を演奏していくことで、いかに西洋キリスト教音楽が変遷し、J. S. バッハに至ったのかを追体験することができます。

J. S. バッハが何を継承し、何が革新的であったのかに迫ることの出来るようなプログラム構成を心がけました。

2019年にJ. S. バッハのモテット全曲演奏・全曲録音を終えてからは、J. S. バッハ以前のドイツ最大の作曲家であるハインリヒ・シュッツにフォーカスし、4回の演奏会シリーズを行ってまいりました。グレゴリオ聖歌からシュッツへ至るキリスト教声楽の歴史を辿るというコンセプトはJ. S. バッハのシリーズと同様です。

今年2024年5月の演奏会はその最終回にあたり、シュッツが最後に書き上げ、「白鳥の歌」と呼ばれる詩篇119篇の全曲演奏を行います。

このシリーズを通して、キリスト教声楽の歴史を更に深く経験することができました。

J. S. バッハの音楽を知るためにはJ. S. バッハ以前の音楽を知らなければなりません。

これも当然のことですが、この道をSalicus Kammerchorは着実に歩んでまいりました。

また並行してこれまでJ. S. バッハの教会カンタータの演奏会シリーズを2回、またSalicus Kammerchorの一部のメンバーで結成したEnsemble Salicusの演奏会も行ってまいりました。


現在の状況

コロナ禍を経て演奏会場にも徐々に人が戻りつつありますが、以前と比べるとその数は半分くらいでしょうか。オンラインやサブスクで音楽を聴くことが定着し、なかなか会場で生の音楽を体験するということが減ってきたようです。

皆様の応援でSalicus Kammerchorはこれまで演奏活動を続けられていますが、経営は常にぎりぎりで、録音のための資金をプールするまでには至っていません。

今後もこの状況は改善する見通しはなく、教会カンタータのCDをリリースするためには皆様のご支援が必要不可欠です。

ご支援どうぞよろしくお願いいたします。


今回のライブ録音について

日時・会場:
2024年11月21日(木)武蔵野市民文化会館 小ホール
2024年11月22日(金)武蔵野市民文化会館 小ホール

曲目:
J. S. バッハ作曲
カンタータ第61番 BWV61
カンタータ第153番 BWV153
カンタータ第22番 BWV22
カンタータ第132番 BWV132

出演:
Soprano 鏑木綾 小林恵 中須美喜
Alto 金成佳枝 上村誠一 高橋幸恵
Tenor 金沢青児 佐藤拓 渡辺研一郎
Bass 小藤洋平 鳳城昊 松井永太郎

Vn. 丸山韶 廣海史帆
Va. 佐々木梨花
Vc. 島根朋史
Cb.  諸岡典経
Ob. 小花恭佳
Org. 新妻由加


リターンについて

J. S. バッハの教会カンタータ全曲録音vol.1のCD
本プロジェクトで制作するCDです。

ブックレット芳名記載(匿名希望の場合はその旨お知らせください)
支援者の皆様のお名前をCDのブックレットに記載させていただきます。

リハーサル見学(2024年11月19日18-21時)
演奏会直前のリハーサルをご見学いただけます。

メイキングショートムービー(約20分)
リハーサルや、メンバーのオフショット、インタビューなどを収録した動画です。このクラウドファンディングでしか入手できない限定品です。

2020年のJ. S. バッハの教会カンタータ公演ライブ音源
2020年11月に行いました演奏会のライブ音源です。曲目はJ. S. バッハの教会カンタータ第78番、第99番、第103番、第182番の4曲で、演奏時間は約1時間半です。

リリース記念限定トートバッグ
CDリリースを記念してトートバッグを制作いたします。このクラウドファンディングでしか入手できない限定品です。

演奏曲のヘクサコルド付き楽譜(冒頭合唱4曲)
演奏曲(J. S. バッハの教会カンタータ第61番、第153番、第22番、第132番)の冒頭合唱の楽譜に、ヘクサコルドを振ったもののPDFデータです。このクラウドファンディングでしか入手できない限定品です。
ヘクサコルドについてはこちら

完成記念パーティご招待(2025年4月12日土曜日 19-21時)
メンバーを交えてのCD完成記念パーティにご招待いたします。(事情によりメンバー全員は参加できない可能性があります)
会場は東京23区内を予定しています。

サイン会ご招待(2025年4月12日土曜日 18-19時)
完成記念パーティと同日、同会場で行いますサイン会にご招待いたします。


スケジュール

5月末日 クラウドファンディング終了

6月〜10月 トートバッグ・ヘクサコルド付き楽譜・ブックレット等制作

11月21日(木)・22日(金) 演奏会・録音

12月〜2025年2月 録音編集

2025年3月 リターン発送


資金の使い道

録音会場費:約24万円

人件費:約110万円

オルガンレンタル:約16万円

録音・編集:約30万円

デザイン:約5万円

プレス料:約5万円

リターン経費:約10万円


最後に

特定の支持母体、スポンサーを持たない我々がこのような大規模なCDリリース計画を自主制作で行うということはおそらく前代未聞かと思われます。それもひとつの演奏団体が100年の計画を立てるというのはさすがにこれまでなかったでしょう。私(櫻井)が生きているうちにこれを達成するのはまず資金的に難しいということと、準備期間を短くすることで演奏の質を下げたくないということから、このような計画になりました。

私の死後、Salicus Kammerchorがこの計画を完遂することを夢見ながら、後進を育て、彼らにこの夢を託したいと思います。

このような継続的なご支援が必要とされるプロジェクトをクラウドファンディングでどこまで続けていけるか不安はありますが、どうぞ皆様ご支援よろしくお願いいたします。このたびのプロジェクトはAll-in方式で実施しますので、目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けしますのでご安心ください。

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