ごあいさつ
こんにちは!創業昭和17年京都発の地域密着型書店「株式会社大垣書店」でコンテンツ事業部長兼、文化の総合施設「堀川新文化ビルヂング」ディレクターをしている大垣守可です。
今回挑戦するプロジェクトは、大垣書店の新事業となる、オリジナル雑誌『羅(うすもの)』の創刊です。
どんな雑誌なのか
『羅(うすもの)』は、「本」を楽しんでもらうための雑誌です。若い人にも手に取ってもらえるよう、高校生から楽しめる内容を目指しています。編集長は京都を拠点に活動する批評家、黒嵜想さん。気鋭の書き手による小説・紀行文・インタビュー・書評等を掲載。書評や本にまつわる記事、「本の広告」を多く掲載することで、新たな本との出会いを生み出します。
タイトルになっている「羅(うすもの)」は古代から使われる言葉で薄く織った織物のこと。経糸と横糸で文字を織りこまれたこの薄い雑誌は、普段着として気軽に文学をまとってもらいたいという気持ちが込められています。
また本誌は、リアル・ネット両方で活動しメディアを問わないコンテンツを広く展開することで、全国の読書人のコミュニティとなり、また読書文化への入口となることを目指しています。
また、読書のインフラづくりの一環として、書店店頭にて無料で配布、近隣の学校様への寄贈も予定。将来的には、全国の書店での展開を視野にいれ準備を進めています。
『羅(うすもの)』を誰もが欲しくなるメディアへと育て、書店へお越しいただく機会作り、新たな読者や作家の活躍の場を創出し、本の世界を盛り上げていきたいと考えています。
プロジェクト立ち上げの背景(これまでの取り組み)
私ども大垣書店は、これまで「地域に必要とされる書店であり続けよう」を社是に、様々な地域に、その地域のための書店を作ってきました。
書店不況の中、様々な工夫を凝らした書店が生まれていますが、私どもは何か一つのジャンルに特化するのではなく総合書店として「幅広いジャンルがそろっていること」が地域のために必要であると信じて店づくりをしてきました。
地域に向き合う姿勢は書店の棚づくりにも表れています。
新規開店する書店は、当然その地域の特徴を調査しラインナップを決めます。しかし、書店づくりは開店してからがスタートだといわれます。お客様と向き合い、3年~5年の歳月をかけ、品揃えをチューンナップしていきます。そうして地域のニーズに合わせていくことでより親和性の高い書店づくりを行います。
なぜなら、私たちは書店というのは日常生活の延長線上にある場所で、誰もが分け隔てなく入れる公共的要素を持った空間であると考えているからです。
そんな中、2021年、京都西陣に「堀川新文化ビルヂング」という新たな商業施設を企画、開業しました。1階に大垣書店、カフェ&バー、印刷工房があり、2階にはギャラリー・イベントスペースがあります。書店の隣で本のオーダーメイドができる、まさに「本が作れる本屋」です。
この施設を作る際、私が思い描いていたのは書店の未来像です。それは「せっかくリアル店舗に来て紙の本を見てくださるのだから、中身だけでなく、手触りや洗練された装丁にこだわった、モノとして楽しめる本がたくさんある書店。しかも、それを自分たちで生み出せる空間」でした。
「堀川新文化ビルヂング」の書店の品揃えも地域に向けたラインナップです。その中にモノとして楽しめる「上質な本」が加わっており、日常生活の中でそうした本に触れていただける仕掛けになっています。日常生活の延長線上に本当の豊かさを。これが大垣書店としてお客様に提供してきた価値だと自負しています。
『羅(うすもの)』の大事にしている考え方
『羅(うすもの)』は堀川新文化ビルヂング内にある「NEUTRAL(ニュートラル)」というギャラリーがきっかけになっています。その名の通り、中立であることをコンセプトに掲げています。
それは「書店のように中立な空間」「書店のように開かれた空間」「書店のように安心できる空間」として日常の延長線上にあるギャラリーです。
まるで書店に立ち寄るかのように、ジャンルにとらわれない様々な企画やイベントを実施し、アートやクラフトを気軽に楽しめる空間で皆様に豊かさをお届けしたい。入場無料で、こちらも地域の方々を中心に広くご愛顧いただいています。
書店だからこそできる、ジャンルにとらわれず、様々な表現ができる二次元のギャラリー。それが『羅(うすもの)』です。
なぜ批評誌なのか
今号が製作される前、2023年に『羅(うすもの)』0号を発行する際に考えていたのは「今の私たちがやるべきことは何か」ということ。書店という「お客様との接点の場」があり、ギャラリーという「表現の場」もある……、足りないものは「自由に評論する場」ではないか? と考えました。アートや本などの作品を見た人たちのための場所が必要だと、これまでの活動を振り返り感じたのです。
アートや本の感想はSNSでも発信できますが、紙の本で批評誌を作るのには書店として、文化施設として今の世の中に思うことが少なからずあったからです。SNSをひらけば誰もが自由闊達に自身の考えを述べることができます。しかし、多くの場合それは匿名であったり、真偽不明であったりと信頼にかける部分がどうしても出てきます。
紙の本として出版することは、書き手が明らかになること、一度印刷してしまえば後戻りできない環境を作ることです。当然、書き手も発行元も誠実さや正確性を追求することができます。そして、紙の本として長く残すことができる。そこでできたのが『羅(うすもの)』0号です。
これから創刊する『羅(うすもの)』シリーズは、さらに以下の構想を描いています。
『羅(うすもの)』を盛り上げる構想
無料で配布
誰もが分け隔てなく入れる、ある意味公園のような書店という場所。すごくわかりやすく言うと、入店者数に対しレジを通ってくださるのは約30%です。私たちは、残りの70%の人にも、紙の本を持って帰っていただき、読書の機会を得てもらいたいと考えています。
全国拡大へ
『羅(うすもの)』は年に数回の発行を目指しています。この取り組みが話題になり、定期的に発行されることで、書店へ足を運んでくださる方が増えるところまで育てていきたいと考えています。
今号は大垣書店での配布を進めていますが、いずれ全国的へ拡大し、配布書店の底上げにつなげていきたいと思っています。無料であることを強みに、全国の書店を巻き込んだ取り組みに育てていきます。
今号の巻末には、「全国の書店様へ」と題し、次の『羅(うすもの)』2号の配布を募る案内を掲載し、窓口を公に作っています。『羅(うすもの)』を配布することでお客様が増える、という事実を積み重ねることで、きっと全国の書店様に参加いただけると信じています。
また、配布書店様には、販促企画として『羅(うすもの)』に掲載されている本を店頭でお取り扱いいただくような連動企画も予定しています。「書評記事」や「本の広告」を見たお客様に実物を手に取ってもらう機会を創出し、書店様や出版者様の売上にも貢献したいと考えています。
なお、できるだけ店頭に来て手に取っていただきたいという思いがありますが、どうしても行けないという方のための対策をなんらか準備する予定です。
『羅(うすもの)』をハブにしたコミュニティ構築
『羅(うすもの)』の制作秘話や裏話、掲載内容に関するトークなどを発信していくためのコミュニティサイトを作る予定です。その名前も【うすもの談話室】。
日常会話のようなライトなものから、企画系のトークやライブ配信など、気軽に楽しんでもらえる場所として運用します。
うすもの談話室HP : https://www.books-ogaki.co.jp/usumono
うすもの談話室SNSアカウント
X(旧Twitter)@usumono_ogaki
Instagram: @usumono.ogaki
「紙の本としての誠実さ」と「ジャンルにとらわれず、様々な表現ができる二次元のギャラリー」機能、そして「全国の読書人のコミュニティ」として本の世界を盛り上げる」。
これが『羅(うすもの)』の三つの柱です。
『羅(うすもの)』の概要
まずは、『羅(うすもの)』0号に掲載した編集長黒嵜想の巻頭言をご覧ください。
2024年4月9日に、編集長の黒嵜想さん、うすもの談話室室長の倉津拓也さんとで『羅うすもの』説明会を開催いたしました。
創刊1号のコンテンツ
<書誌情報>
■ タイトル : 『羅(うすもの)』 1号
■ 発 行 : 大垣書店 コンテンツ事業部
■ 発行人 : 大垣守可
■ 編集長 : 黒嵜想
■ デザイン : mondo
■ 発行日 : 6月下旬頃
■ 発行部数 : 10,000部
■ 配 布 : 大垣書店全店(40店舗)
■ 目 次 :
<特集1 面と繊維>
連作小説:大前粟生「京都へ逃げて」第一回
連作紀行文:大和田俊「AIR」第一回「誤嚥すること」
インタビュー:装丁家・矢萩多聞「紙をほどいて」
<特集2 ノン・ノンフィクション>
書評:ジョージ「遠い読書」
書評:小林文乃 「東欧から来た男―漫画『ゴールデンカムイ』と、ブロニスワフ・ピウスツキの生涯」
書評:木俣冬「ノンとノンのあいだに」
書評:大阿久佳乃「ノンフィクションとしての呼吸—“Lunch Poems” (Frank O’Hara) のこと」
編集長 黒嵜想から、1号の創刊に向けてメッセージ
透けるほどにうすい絹織物である「羅(うすもの)」。もっとも風通しのよい衣服をつくる生地は、かつて、書物の表紙としても親しまれていました。そんな羅のような、ポジティブな「身近さ」となる「うすさ」を求めて、この書物は編まれています。もっとも身近な書物には、どのような手触りが、文体が浮き上がるのか。二つのキーワードを織り込んで、一枚目の生地(テキスタイル)が仕上がりました。
一つは、本の最小単位である「一枚の紙」の質にまつわる「面と繊維」という言葉を。
もう一つは、現実を描写する文芸ジャンルの創作性を考える「ノン・ノンフィクション」という言葉を。
二つのキーワードに触発された文章たちの手触りを、確かめてみてください。
黒嵜想(くろさき そう)
1988年生。批評家、極セカイ研究所所長。批評誌『アーギュメンツ』(2015~2018)での連載・編集をきっかけとして活動開始。批評における中心的なテーマは「音声」と「南極」。仏教音楽「声明」に関する連載「声をかく」(ウェブメディア「ちえうみ」)や無声映画活動弁士、声優論、合成音声、「バ美肉」についての論考のほか、自身が編集する南極誌『P2P』ならびに「極論」(同誌掲載)などがある。また、以上の活動と並行して大垣書店発行の批評誌『羅(うすもの)』の編集を手がけている。
リターンについて
<個人向け>
『羅(うすもの)』1号の送付(1冊)
次号にて本誌内にお名前の掲載(希望者のみ)
3,000円/5,000円/10,000円/30,000円/50,000円/100,000円
<企業向け>
『羅(うすもの)』1号の送付(冊数は金額により変動)
次号にて本誌内に企業ロゴの掲載
30,000円/50,000円/100,000円/200,000円
スケジュール
2024年6月末 本誌の発行
2024年7月上旬 リターン発送
資金の使い道
本や書店、読書の世界を盛り上げるための企画運営に使用します。
・本誌の製作
・コミュニティ構築
・イベントの企画
・新たなサービスの企画運営 etc.
最後に
私は、本の世界にはまだまだ夢が広がっていると思っています。ただ、その世界を楽しめるかどうかは、どれだけ行動できるかにかかっているかとも思います。私たちは、自分たちだけでなく、次の世代が楽しめるよう、時代に合わせて変化し、新しい仕組みを作っていかなければなりません。この取り組みはそんな使命感から生まれたものです。
ぜひ応援をよろしくお願いいたします!
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
最新の活動報告
もっと見るリターン発送について
2024/07/03 14:07この度は「書店を元気にしたい!本屋が無料の本を作り、全国での配布を目指す!」にご賛同いただき、ご支援いただき本当にありがとうございました。本日よりリターン品である『羅うすもの』1号とサンクスレターの発送を順次進めております。今週末から来週明けの到着となる見込みです。楽しみにお待ちくださいませ。本誌の最後のページに読者アンケートも設けております。ぜひこちらに感想やご意見いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。 もっと見る
応援コメントをいただきました!
2024/06/06 13:00NHK出版の砂原謙亮さんより応援コメントをいただきました!ありがとうございます!そして、皆様のご支援・ご協力のおかげでクラウドファンディング目標の60%を達成いたしました!本当にありがとうございます!まだまだ挑戦していきますので、引き続き応援よろしくお願いいたします! もっと見る
応援コメントをいただきました!
2024/06/04 15:58「学びのきほん」編集者の白川貴浩さんより応援コメントをいただきました!ありがとうございます!引き続き応援よろしくお願いいたします! もっと見る
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