▼はじめにご挨拶

はじめまして。

一般社団法人モルドバジャパンの理事をしています小田と申します。

私たちモルドバジャパンは、東ヨーロッパにあるモルドバ共和国で、子供達の教育支援を中心に、日本とモルドバとの交流促進を行なっている団体です。

20代の時に、不思議な縁でモルドバ共和国を訪れました。それまでサラリーマンとして日々せわしなく働いておりましたが、モルドバの人々と出会い、そしてモルドバの子供達の抱える問題を目の当たりにした時、本当に大きな衝撃を受けた事を覚えています。

それまで自分の将来の事だけを考えていましたが、その時初めて「人のために」という新しい考えが生まれました。モルドバには、出稼ぎ問題と呼ばれる日本では聞き馴染みの無い問題が起こっており、モルドバに住む子供達の中には、まともな勉強や食事も取れず、日々の生活に追われている子どもが多いという事も、初めて自らの目で見た現実でした。

そのような現状をなんとか改善したいと、仲間と数名で立ち上げたのがモルドバジャパンという団体です。

モルドバにある「子どもデイケアセンター」はそういった家庭の事情を抱える子供達をサポートする施設で、私たちはその施設の運営支援を行なっています。今回、このプロジェクトを通じて、モルドバという国と「子どもデイケアセンター」の事を沢山の方に知ってもらい、この国の抱える問題が改善される事を願っています。

皆様は、モルドバという国名を聞いて、どこにあるか。どんな人が住んでいるか。など、思い浮かべることが出来ますか?

日本人のほとんどの方が、モルドバと聞くと「モルディブ」と勘違いをする人が殆どですので、先ずはどこに有る国なのかご紹介します。

ルーマニアとウクライナとの間にあるとても小さな国です。

九州を少し小さくしたほどの国で、緑の平原と広い空がとても美しく、何度訪れてもとても癒される場所です。

また、伝統的な石作りの要塞も多く、緑の大地と空と。本当におとぎ話の世界にいるようです。

ワインが好きな方は、ワインの国としてとても有名ですので、ご存知かと思いますが、日本に置ける知名度はまだまだです。

私も、この活動に関わるまでモルドバという国を全く知りませんでした。。


▼モルドバの抱える問題とは?

モルドバは、旧ソビエト連邦の一つの国で、1991年に独立した非常に新しい国です。旧ソ連崩壊後それまで国内に数多く存在した工場・集約農業が終了し、それに伴い、国民の多くが職を失うという状況に立たされました。

その為、国内に働ける場所が無くなった大人の大半が国外に職を求めて出稼ぎに出るようになり、その結果労働人口の100万人以上が海外に出ているという状況に至り、海外からの送金額はGDPの4割に達します。

100万人以上の働き盛りの大人が海外に出稼ぎに出た結果、また新たな問題が起こることとなりました。

それは、「国内に残された子供」の存在です。

自らの両親が海外に出稼ぎに出ていることで、祖父母と暮らす家庭や、大変な場合、子供達だけで生活をしているという家庭もあります。

両親が居ない為、すべての家事・農業など生活に必要な事の全てを幼い子供達が自分達で行わなければならず、十分な食事や勉強などが出来なくなり、次第に学校に通わなくなるという状況に陥るケースも多く、また子供達だけで生活をしているという事自体が、非常に危険なのです。


▼これまでの活動

初めてモルドバに訪れたとき、モルドバには「子どもデイケアセンター」という日本の団体とモルドバの団体が共同で設立した施設が存在しました。

そこは、首都キシナウから90kmほど離れたカザネシュティ村という場所で、美しい平原と川の流れる非常に長閑な村です。

そのカザネシュティ村にも、両親が出稼ぎに出ている・片親のみ・親が健康上の問題で働くことが出来ないなどの状況に置かれている子どもが6割に達しており、十分な栄養が取れない、勉強・宿題などのケアが不十分という子供達が多く存在しました。

その子達が、学校や自分の仕事が終わった後などに、宿題を教えたり栄養バランスを考えた食事が取れるよう給食の配給が行われていたりと、非常に素晴らしい施設だと感じました。

ただその施設は、殆どが日本からの寄付で行われていた為、その運営は危機的な状況に陥っており、継続そのものを打ち切らなければならないという状況に置かれておりました。

このままでは子ども達の「学びたい」「楽しい」という想いそのものがなくなってしまう。折角抱き始めた「夢」を諦めなければならない。

それだけは避けなければならないという思いに至り、新たにモルドバジャパンという団体を立ち上げ、この「子どもデイケアセンター」の運営支援を行う事になりました。


▼子どもデイケアセンターの実績

子どもデイケアセンターの支援を始め、様々な効果が見えるようになりました。

・学校に通わない生徒の数がゼロになりました!

・8割の生徒の成績が向上し、学校の上位に入る生徒も出てきました!

・積極的に発言し、自信を持つようになりました!

・夢を語れるようになりました!

・栄養状態が改善され、健康になりました!

このように、子どもデイケアセンターを継続した事により、様々な効果が現れ始めました。

センターでは、通常の授業以外にも日本語の授業や、日本の歌を教えたり、日本の大学生との交流など、日本とのつながりが徐々に増えてきています。

ここで、実際の子どもデイケアセンターでの授業の様子などを現地からの映像でご紹介したいと思います。子供達の様子や授業風景を感じてみてください。

この動画の中に、2人の女の子が詩を朗読するシーンがあるのですが、その日本語訳をご紹介します。

1人目;愛しい世界・愛しい世界・私の机の上に・私の最後の夢は死んでしまう

2人目;青い空の遥か遠く、太陽の光の中に、黒い点が一つ

歌部分;春が来た、蜂の群れの羽音がする。青い空が広がる。世界中の子供達は手をつなぎましょう。

モルドバには古くから詩を読む文化があります。それはモルドバの風景に綺麗に溶け合い、子供達の想像力に良い学習になっています。

そして実際に「子どもデイケアセンター」で学んだ子供から日本の皆様へ宛てられた手紙をご紹介いたします!

(訳)

親愛なる支援者の方々!

7年生のドンツァヴ・ミハエラより

グループに参加することができていることをとてもうれしく思っています。グループで編み物とグイリング(注:薄い紙を丸めたもので装飾したカード)を学びました。食事、学用品、遊具、お菓子といった親が経済的な理由で購入できないものをプレゼントしてくださって、ありがとうございます。グループに参加して1年が経ちます。宿題の指導をしてくださるアナ先生(注:センターの担任)に感謝します。ひらがなを覚えました。日本語での数え方も知っています。このグループに参加することができて幸運です。

来年もこのグループに参加できるよう願っています。

▼このプロジェクトで達成したいこと

日本でのモルドバの知名度は非常に低く、どのような国か知っている方も少ないのが現状です。

モルドバの抱える問題や子供達が日々どのような暮らしぶりをして、どのように勉強しているか。文字や写真で伝えるにはやはり限界があります。

そこで今回、プロの映像作家様の全面協力を頂きモルドバジャパンの支援する「子どもデイケアセンター」を美しい映像と共に、より多くの日本の皆様へ知っていただきたいと考えております。

日本の皆様へ知っていただく為に、WEBサイトでの紹介はもちろん、SNSなどで広く紹介し、また日本の学生にも海外の子供達の現状を伝える資料としても活用してゆきたいと考えております。

皆様からの暖かいご支援をお待ちしております。


▼資金の使い道

今回の動画制作にあたっては、当団体の活動に共感し、協力を申し出て頂いたプロの映像作家様がありがたいことに撮影・空撮・編集等の全てをご寄付いただけることになりました!!その為、今回の資金の使い道は、

モルドバへの渡航費:300,000円

現地での通訳・宿泊・交通費等経費:120,000円

合計420,000円

今回のクラウドファンディングでは、350,000円を目標にしたいと思います。

※残りの70,000円に関しては、現在調達済みでございます。


▼撮影スケジュール

2019年5月・6月、モルドバは一面ひまわり畑が広がります。その頃を中心にモルドバへ渡航し、センターの撮影と風景撮影を行う予定です。

その後、編集作業等を行いまして2019年の9月頃の完成を目指しております。


▼最後に

モルドバジャパンのメンバーより、皆様へメッセージがあります。

川村理事より

14年前からモルドバの農村部にある「子どもデイケアセンター」(日本でいう学童施設)の運営支援に携わらせていただいています。きっかけは、「子どもが好きで、世の中に恩返しがしたかったから」。この支援活動に関わり始めた当時、私は理工学部(化学)の大学生でした。当時、私は化学実験をしてモノと向き合う日々を過ごしていましたが、ヒトが好きな私は、そんな日々の生活に疑問を抱くようになりました。そして次第に、「幸いにも、私はとても愛されて育ったので、そうとは限らない世界の子供たちのために何かできないだろうか」と考えるようになりました。その後、大学を通じて上記センターの存在を知ることとなり、現在に至るまでこのセンターの子どもたちと関わらせていただいています。

モルドバの魅力は、もちろんたくさんありますが、私が最も好きな点は、「人が素朴であり、心が豊かである」ところです。モルドバは「東欧の最貧国」と言われていますが、モルドバの方々の気持ちの大らかさや、心からのおもてなしを目の当たりにすると、彼らの人間の大きさに「はっ」とさせられることが多々あります。私は、当初、モルドバの方々に何かお手伝いをするつもりで、モルドバと関わり始めましたが、逆に本当に多くのことを学ばせていただいてばかりです。私は、そんなモルドバの方々を尊敬し、このような方々と関わらせていただいていることを心から感謝しています。このクラウドファンディングを通じて、そのようなモルドバの魅力を皆様にご紹介すると共に、皆様に、モルドバの子どもたちへの教育の大切さについて感じてもらうことができたらと思っております。そして、この子どもたちが将来このモルドバを支えるようになり、モルドバが少しでも経済的にも豊かな国になることができたらと祈念しております。ご協力の程どうぞよろしくお願いいたします。


柴崎パメラさんより

皆さん初めまして!

モルドバジャパンで広報担当を努めております、柴崎パメラです。

私は父がモルドバ人、母が日本人で、私は現在大学生です。今の私にとって、モルドバは自分を構成するアイデンティティの一部であり、非常に大切な国ですが、そう思えるようになったのは、モルドバと深く関わるようになった、大学に入学してからのことでした。それまでは、モルドバへの渡航経験も無く、生活のほとんどを日本で過ごしてきたために、何の疑いも無く、自分のことは日本人だと感じていました。小学校高学年を過ぎたあたりからは、自分の外見や名前など、あらゆる日本人とは異なる自分の特徴が気になり始め、内面の認識と容姿との不一致で悩んでしまい、嫌悪を感じた時期もありました。当時は、海外とのつながりを持った子が身近にあまりいなかったために、周りにいる大多数の「普通」の日本人の友達と同じようになりたいという意識が強くありました。

大学に入学してから、自分と同じような背景を持った学生にたくさん出会うようになりました。大学は、これまで私が悩んできた「普通の」日本人ではない自分をほとんど意識せずに済む環境でした。しかし、だからこそモルドバ人としての自分に強く興味を抱くようになったのかもしれません。モルドバについての情報を父に尋ねたり、インターネットで調べるうちに、モルドバジャパンの存在も知りました。どうにかモルドバに近づきたい一心で、モルドバジャパンへメールを送り、今のような活動に関わらせてもらうようになってからというもの、日に日にモルドバへの思いは募っていきました。そして、大学2年生の夏休み、遂にモルドバへ行くことを決めました。初めての海外ひとり旅です。無事に着けるのか、モルドバに住む家族は、自分をどう思うだろうか、などなど、不安は数え切れないほどでした。モルドバに到着しても、しばらくは自分がモルドバにいることが信じられず、夢を見ているようでした。実際に出迎えてくれた従妹と叔母さんの姿を見たときにはじめて、安堵と感激と、「ああ、モルドバに来たんだ」という実感で涙が出ました。これまでずっと日本で日本人の友達と日本人の家族に囲まれて育ち、ルーマニア語に堪能でないこともあって、ほとんど連絡を取り合うこともなく過ごしてきたのに、モルドバの家族は、私のことを当然のように家族として迎えてくれました。それがどんなにありがたかったか、私にとっての救いになったか言葉では言い表せません。

長々と私のモルドバ史を綴ってまいりましたが、もちろん日本の多くの皆様にとってのモルドバと、私から見たモルドバが、大きく乖離していることは百も承知です。私にとっては大切な家族が暮らす国ですし、モルドバ人としての視点で、モルドバを見ることが多いのも事実です。しかし私どもモルドバジャパンが運営をお手伝いしているデイケアセンターを訪問した際、モルドバの子供たちが日本語を学び、日本の歌を歌う光景に、私は日本人として大変な感動を覚えました。

センターに通う多くの子供たちは、親御さんの出稼ぎや、時にはそれ以上に想像もつかないような問題を抱えた家庭で暮らしています。私自身が日本でこれまで受けてきた教育や、育ってきた環境は決して当たり前ではなく、私の両親の教育方針によっては、私がモルドバで育っていた可能性だって十分にあり得ます。では、自分がこうした人生を歩んできたことには、一体なんの意味があるのでしょうか。十分な教育を受け、多くの経験をする機会を与えられ、旅行にも自由に行くことが出来、好きなスポーツに好きなだけ打ち込んで、必要なものはほとんど何でも手に入り、あらゆる場所は清潔で、滞りなく毎日が過ぎていくような生活を日本でこれまでしてきたことに何の意味があるのでしょうか。いまだに自問自答する日々ですが、ただ1つ常に感じているのは、私はもういいということです。日本では、これ以上ないほど恵まれた生活をしてきました。モルドバに比べたら、日本ではかなり多くの人が、何不自由なく暮らしていけます。モルドバに比べたら、仕事なんて驚くほどたくさんあります。

大学で文化人類学を学ぶ中で、自分の生き方や常識を省察することが増え、後ろめたさを感じたことも何度もあります。物質的な豊かさこそが真の豊かさであるとか、何よりの幸せであるとは思いません。それでも、私の中にあるこの後ろめたさはどうしても消えません。やはり、彼らと関わり続けるしかないように思います。先ほども申し上げましたが、皆様にとってのモルドバは、私にとってのモルドバとは、きっと違います。それでも、「当たり前の」日本の日常のなかにいて、モルドバという国や、この国のいい所も、悪いところも、ぜーんぶ含めて知ってほしいと思います。皆様にとってのモルドバがいかなる形であれ、モルドバという国で暮らす子供たちの存在は、日本の皆様にも知ってほしいと思います。それが、半分モルドバ人として、人生のほとんどを日本で過ごしてきた私の願いです。

雨宮会長より

モルドバの魅力、それは人と自然だろう。東欧の最貧国と言われるが、人々の表情は純朴で思いやりに満ちており、肥沃な土壌で作られる果物や野菜は文句なしに美味である。ワインも蜂蜜も、その豊饒な味わいは、世界の他のどこでも手に入らない。人口350万の小国だが、近現代史の中で大国間のかけ引きとグローバリゼーションの波に晒されてきた。両親が共に西欧へ出稼ぎに出、村々に残される子供たち。未来に希望を見出し、笑顔を取り戻そうとするモルドバの子どもたちを、日本から応援したい。

このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください