人類史上初めて月以外の天体に着陸し、その一部を採取して帰還した宇宙船「はやぶさ」。「はやぶさ」が大気圏で燃え尽きる直前に撮影した地球の画像「ラストショット」をプリントしたトートバッグと、何故「ラストショット」が生まれたのかを詳しく解説したブックレットのセットを作り、全国の科学館で販売するのが目標です

プロジェクト本文

再延長戦

 みなさまのおかげでネクストゴール+5万円での漫画収録も達成出来ました。ありがとうございました。

 ここからはもう、余録みたいなものですが、私が書いた、芸術写真として見た場合の「ラストショット」はどのような位置づけになるのか、という5000字強の論考がございまして。こちら、あと8人、28000円のご支援で追加収録することが出来ます(手数料以外は増えたページの印刷代です)。

 ブックレット著者の住田さんのご意見は

「もし先生のコラムをいられるのであれば、順番は考えた方がいいかなと思っています。 1、私の論考 2、コラム(漫画) 3、年表 4、先生のコラム 先生のコラムは夜にも奇妙な物語でいうなら4つのストーリーが終わったあとのタモリの語りかなと思うので、こんな感じがいいかなと。
 先生の論考は内容として面白いですし、文化認識論から始まった企画なので、自分の気持ち的には入ってると嬉しいな。」

とのことです。

 以下、3ページごとに飛ばし飛ばしでスクショを貼っておきます。

1ページ目

4ページ目

7ページ目

10ページ目

(全体で12ページ)

はじまりは、教室の中。

 こんにちは。プロジェクトに取り組んでいる加藤と申します。新商品開発のアドバイザーをしたり、新規事業の立ち上げのプロジェクトマネージャーをしながら、個人でバッグをデザインして販売したりもしています。その一方で社会学者でもありまして、大学で教えたり、頼まれて文章を書いたりという仕事もしています。よろしくお願いいたします。

 さて、このプロジェクトのきっかけとなったのは今から6年前、立教大学社会学部の後期の専門科目の一つとして担当していた「文化認識論」でした。

 この講義は写真の歴史を芸術学と社会学の二つの視点から分析するというものでしたが、10月の課題として学生たちに書いてもらったのが「自分が最先端の写真と考えるものを一つ選び、何故それが最先端と言えるのかを説明せよ」というレポートです。

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 おっさんの写ってる写真なんか皆さん見たくないんじゃないかと思うのですが、CAMPFIREの中の人に私の写った写真も掲載した方が絶対に良いと強くお薦めされたので、この講義の様子を少しだけ・・・。

これでも先生です・・・学生に撮られました。

まだインスタグラムが出始めの頃でしたね。

スマートフォンがガラケーをほぼ駆逐したくらいの時期です。

SNSと常時接続回線とスマートフォンの組み合わせがいかに写真文化を変えていくかという話題の板書です。

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 話を戻しまして、この時、提出されたレポートの一つで取り上げられていたのが、JAXAの小惑星探査機「はやぶさ」が最後に撮影した地球の写真、いわゆる「ラストショット」です(下図)。

(画像提供:JAXA / アマナイメージズ)

 レポートを書いてくれたのは、当時、立教大学理学部物理学科の2年生だった住田さん。

 彼女は物理学という自分のバックグラウンドを講義の内容と結びつけて、この、2012年当時の技術水準から見ればあまりにも低スペックなデジタルカメラ(100万画素)で撮影された写真が、宇宙科学の最先端の象徴の写真でもあるということを、論じてくれました。

住田さん近影。

もちろんクラウドファンディングサイトでの使用許可は得ています。

以下、全ての画像および文章も同じ.

 

 その一部を引用させていただきます。

確かに、はやぶさなどの探査機が宇宙に向けて打ち上げられ、様々な困難を乗り越え、地球に帰還する、という一連の流れはロマンとも呼べるだろう。

しかし、実際の宇宙物理というのは私が現在研究している、何の役に立つのか分からないような機械の地道な精度測定や、ハードカバーの本1冊にも及ぶ1つの数式の証明、日本語や英語とは異なった言語でのプログラム作成や、この世に出ていない解析ソフトの作成など、一言で言ってしまえば『地味』極まりない事の積み重ねこそ物理、研究によっては宇宙物理学と呼ばれる。

一般世間に広まる宇宙物理学のイメージとは少し差があるのが事実だ。

(中略)

そもそも、はやぶさは無人探査機として、データ転送における電力は最低限に保たなくてはならず、機体の質量も1gでも軽くしなくてはならないという理念がある。

また、小惑星の地質と微粒子の持ち帰りが課題である中、そのようなカメラを搭載する余裕と、電力の余暇はあるのかどうかを考えれば、それは不可能というより、目的に合わず、やる意味が無いという結論が導き出せる。

宇宙物理学だけでなく物理学全般に言える事だが、実験や研究の成果というものは、きらびやかで目立つ形で現れる、という事はまずほとんど有り得ず、制御も結果も、プログラム上に数列しか表れない。味気なく、地味なものなのだ。

 彼女が言いたかったのは、私たちの文明を支える科学技術のほとんど全ては、この「ラストショット」のようにひたすら地味で、華やかさのカケラも無いものだけれども、それでも自分たち科学者はその向こうに無限のロマンを持って研究を続けているということ。そして、この画像はそんな自分が研究で心折れそうになった時に、科学のロマンを思い出させてくれるかけがえのない写真である、ということでした。

 私はこのレポートを高く評価し、満点を付けました。

 これが、プロジェクトの始まりです。

人々に科学の魅力とロマンを伝えるための何かに挑戦したい

 講義そのものは2012年の後期の半年間で終わりましたが、その後も、学部は異なるものの住田さんからは折に触れて連絡がありました。余談ですが平成2期仮面ライダー(特にフォーゼ)が大好きという点で私の息子と気が合い、たまにうちに遊びに来て仮面ライダーについて息子と熱く語っておりました。

 彼女はレポートでも書いていたように、自分たち自然科学の研究者が取り組んでいることを、サイエンスライターとして日本の社会により広く伝えてみたいという思いを持っていました。その手段について、科学館で学芸員をしている友人と彼女と3人で話し合ったこともあります。上の写真はその時のもの。

 とはいえ、サイエンスライターのみで身を立てるというのはなかなか難しいものです。何か別の仕事から入って少しずつサイエンスライターとしての実績を積んでいくのが一番ではないかと私はアドバイスしました。

 やがて住田さんは大学を卒業し、地元の大企業の研究職として就職しました。サイエンスライターの夢は一旦、お預けです。

 さて、私には今、小学校6年生の息子がいます。小学校に入る前から彼が大好きだったのが、科学館です。私は息子を連れて、色々な科学館に遊びに行きました。九段下の科学技術館、上野の国立科学博物館、お台場の科学未来館、西東京の六都科学館。茨城県のつくばエキスポセンター。栃木県子ども総合科学館。東芝未来科学館。山梨県立科学館。名古屋市科学館。静岡県立科学館。

 色々な科学館に行って、遊んで、さあ、お土産を買って帰ろうとミュージアムショップを覗く。そこは子どもたちの夢の空間です。放っておくと息子は1時間くらいミュージアムショップで品定めをしているほどです。

 ある時、品定めをする息子を見ていた私は閃きました。住田さんのレポートをもとに、科学館向けのミュージアムグッズを作ってみたらどうだろう? 考えてみると最近では雑誌に付録として科学アイテムが付いたものは珍しくありません(学研の「大人の科学」シリーズ、小学館の「ドラえもん ふしぎのサイエンス」シリーズなど。どちらも息子は全部揃えています)。女性向けの雑誌に付録でバッグが付いているものなど、山ほど出ています。

 ならば、住田さんのレポートを元にブックレットを作り、付録として「ラストショット」をプリントしたトートバッグを付けてはどうか? そうしたら、住田さんの「サイエンスライターになりたい」という夢も、少しだけでも叶えてあげることが出来るのではないか。

 それに、私が知る限りでは「ラストショット」を使ったミュージアムグッズは殆どありません。少なくとも私は見たことがありません。ですが、これほど人気が高い一枚です。何かの形で手元に置いておきたい人は多いはずです。

国立科学博物館に展示された「はやぶさ」の模型の左舷部分。

真ん中に見えているのが「ラストショット」を撮影した光学航法用広角カメラ2番(ONC-W2)です。

JAXAとの交渉

 早速、私はJAXAが公開している画像データベースを調べました。そこに「ラストショット」の画像は確かにありましたが、商用利用可能な画像のリストには含まれていませんでした。そこで私はJAXAに連絡し、「ラストショット」の商用利用の許可を出してもらえるよう交渉しました。JAXAに連絡を取ってから、正式に商用利用許可を得るまでに1年間かかりました。

 2018年7月25日に私は利用料の全額を振り込み、晴れてこの画像を商品に利用する権利を獲得しました。

 正規に使用料をJAXAに払っているものですので、このトートバッグの代金の一部は確実にJAXAに届けられます(というか、もう届いているはずです)。

 また生産数が1000個を超えると、契約により、追加の使用料をJAXAにお支払いすることになっています。

 私としても出来るだけ沢山のご注文を頂いて、JAXAを更に応援したいと思っています。

プリントが予想外に難しい!

 こうして画像使用権を購入することは出来たのですが、次なる難関は、この淡い画像をバッグ用の生地に上手く印刷出来る業者が見つからない、というところにありました。

 コットンのトートバッグは今、非常に安く売られています。記念品や販促品として無料で配布されることも珍しくありません。しかしそういうバッグはシルクスクリーン印刷という手法を使っていて、印刷コストがとても安いのです。

 ところがはやぶさの「ラストショット」は非常に微妙な濃淡で地球を表現していますし、そもそも100万画素のモノクロの旧式デジタルカメラで大急ぎで撮影して、はやぶさが燃え尽きるまでの短い時間に大急ぎでデータを地上に落としたものですから、解像度もとても低いのです。こうした画像をシルクスクリーン印刷で表現することは不可能です。生地の目の粗さも影響します。

 何軒も印刷業者さんに当たり、何度も試験印刷をしてもらい、ようやく、子どもたちに気軽に手にとってもらえる値段で作れて、品質も満足出来る業者さんを見つけ出すまでに、2ヶ月もかかりました。

ブックレットの制作

 印刷業者さんを探すのと同時に取り掛かったのは、住田さんとのコンタクトです。

 このプロジェクトの原点にあるのは、彼女が「ラストショット」に感じた感動や共感です。初めてあのレポートを読んだ時、私もまた住田さんが感じた感動や共感を共有することが出来ました。あの文章から伝わってくるものを、できるだけ多くの人に、日本の子どもたちに感じてもらいたい。

 就職してからの住田さんとは殆ど連絡を取っていなかったので、私は改めて、考えられるあらゆる手段で彼女に連絡を取りました。学生時代に使っていた学籍番号のメールアドレス。SNS。彼女の勤務先は卒業の時に聞いていたので、そちらにも問い合わせを送りました。何とか住田さんと連絡が取れた私は、あのレポートを子ども向けに書き直してもらえるよう頼みました。住田さんは快諾してくれました。

 それからおよそ1ヶ月の間、住田さんとは原稿のやり取りと修正を重ねました。文字数は本文が7000字弱で、これにはやぶさ年表の日本語版が付録として付きますから、合計1万字弱、12ページのブックレットになる予定です。小学6年生の息子にも読んでもらって、文章が子どもにも理解出来るかどうかをチェックしました。

 そしてついに、これならはやぶさの「ラストショット」について、何故こんな低い解像度なのか、何故モノクロなのか、何故滲みのようなものが入っているのか、そして、何故、にもかかわらずこの写真が尊いのかを、子どもたちにも伝えられると確信出来るものが完成しました。

 

これがブックレットの表紙(予定)です。デザインは多少変わるかもしれません。

ブックレットのサンプルを確認する住田さんとうちの息子です。

 

 このやり取りにはもう一つ、思わぬ副産物がありました。

 仕事の中で落ち込むこともあった住田さんが、久しぶりに自分のやりたかったことに取り組むことで、また学生時代のような元気を取り戻してくれたのです。これは本当に嬉しいことでした。

撮影当日は息子も手伝ってくれました。

 

何故クラウドファンディングなのか

 こうして、「はやぶさ」のラストショットのミュージアムグッズというコンセプトによる、住田さんの(ささやかな)サイエンスライターデビューの準備は整いました。

 ですが、あと一つ、足りないものがあります。

 知名度です。

 私たちは個人事業としてこれを始めましたので、ISBNも付きませんし書籍取次会社やミュージアムグッズの問屋さんへの伝手もありません。このまま全国の科学館のミュージアムショップにこれを売って下さいとお願いしたとしても、なかなか話は聞いてもらえないでしょう。

 ですが、クラウドファンディングでこれだけのご支援がいただけたんですよ、という実績の数字があれば、話は違ってくると思います。ですので、敢えて最初はクラウドファンディングでご支援を募ることにした次第です。

製品版のサンプルです。宇宙の無機質さを表現するためにバッグ本体は純白に染められています。

後ろに写っている生成りのキャンバストートバッグと比較していただければ、白さがおわかりになるかと。

サイズは縦37cm、横36cm、底マチ幅11cmです。

持ち手幅は2.5cm、持ち手長さは47cmです。

本体素材は12オンスのコットンキャンバスです。

社会人4年目の住田さんに持ってもらいました。

サイズ感は「これくらいが丁度いいと思う」とのことです。リケジョらしく国立科学博物館前にて撮影。

こちらは手持ちの場合。

リターンについて

 「ラストショット」トートバッグと付録ブックレットのセットをリターンとしてお送り致します。

最後に

 私は「はやぶさ」をリアルタイムでは体験していません。住田さんのレポートで初めてその存在を知り、このプロジェクトのために沢山の文献や論文を読んで、「はやぶさ」のことを知った人間です。

 しかし、様々な文献から情報を集めて年表を作っている間、その、あまりにも不思議な、そして過酷な旅に何度も感動し、泣きそうになりました。打ち上げ直後の太陽フレアの直撃、リアクションホイールの故障、イトカワ着陸失敗、姿勢制御システムからの推進剤漏洩、通信途絶、バッテリーの故障、イオンエンジンの故障。プロジェクトマネージャーとして「はやぶさ」の旅を見た時、大きなアクシデント2回までなら何とか出来るかもしれないけれども、ここまで色々なことが起こったプロジェクトが全てを達成して最後まで行き着いたというのは、「指輪物語」でフロドが「一つの指輪」を滅びの山の火口に投げ込んで生還したのと同じくらいにあり得ないことだと思います。

 ファンタジー小説でも、ここまで過酷な旅を主人公に課すことは滅多に無いはずです。

 どんな困難に襲われようとも再び起動し、電気を蓄え、たった一人で進み続けた「はやぶさ」。

 手前味噌にはなりますが、受験や就職活動、さらにその先にある人生の様々なイベントにおいて困難に立ち向かわなければいけなくなった時に、このトートバッグは、ささやかではありますが、心の支えにしていただけるのではないかと思います。

ネクストゴール達成! イオンエンジン四兄弟の漫画をブックレットに収録したい!


 皆様の温かいご支援により、なんと公開から15日で目標を達成することが出来ました。

 心より感謝申し上げます。

 さて、これでめでたしめでたし、あとはトートバッグとブックレットを売るだけだと思っておりましたが、ブックレット著者の住田さんが、皆様のご支援への感動のあまり、ブックレットに書き足したいことが色々と出てきてしまいました。

 原稿は1000字ほど増えて、現在10829文字。

 更に、漫画も載せたいんですけど・・・・と、ネーム(漫画の下書き)が送られて参りました。

 はやぶさに搭載されていた4基のイオンエンジンを主人公にした漫画です。

 ここで唐突に明かされた秘密。住田さんは同人作家だった! しかも活動歴もサークル知名度もそれなりにある!!

 (私も知りませんでした。真夏と真冬にビッグサイトでやっているあれにサークル参加したことも一度ではないとか)

 ネーム全体を見せてもらいましたが、ゆるふわで、ちょっと切ない作品になるようです。

 こちらの漫画を私としては是非とも収録したいのですが、ここで問題が。

 漫画を掲載しますと、ブックレットのページ数が増えてしまうのと、原作専門の住田さんに代わって原稿を漫画として仕上げてもらう漫画家さんへの謝礼が発生致します。この部分は当初のコスト計算の中に入っていなかったのです。

 クラウドソーシングサイトで安く募集しても良いのですが、住田さんと普段からタッグを組んで作品を作っている方にお願いした方が結果が良いのはわかっていますし、私はクリエイターへのお支払いは値切らないことが大事だと考えています。自分自身クリエイターとして、一番やる気が削がれるのは、値切られることと、後から色々と文句を付けて値引きを要求されることだからです。

 お願いするからには、最初のギャラ提示で快諾してもらえる金額を設定したい。

 既に金額はOKしていただいております。

 あと5万円、ご支援を頂くことが出来れば、住田さんの本当に作りたいものを、漫画家さんにも引き受けて良かったと思ってもらえる金額をお支払いした上で、作ることが出来ます。

 どうか、追加のご支援、よろしくお願い申し上げます。

10/13 ネクストゴール達成いたしました。ありがとうございました。

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    おはようございます。トートバッグの工場出荷日が11/21で確定致しました。お手元にお届けするまで、もう少しお待ち下さい。画像は試験的に販売しているオンデマンド製造版ラストショットトートバッグです。CAMPFIREクラウドファンディング版よりサイズ小さく画質も悪くブックレットも付かないものです。

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