私、奥村佳子は、30年にわたって看護師・助産師として臨床に従事し、多くの出産に立ち会ってきました。しかし、病院では毎日迫る分娩への経過から目が離せないため、お母さんが出産後、退院したらそれまでで、大変な産後と育児を迎えるお母さんに十分には寄り添いきれない状況でした。私は産前・産後のお母さんに寄り添う役割が必要だと思い、病院を退職後、2013年から助産所を運営し、産前産後のお母さんに寄り添い、育児の相談に応じてきました。 しかし、育児はお母さんだけでできるものではありません。お父さん、祖父・祖母などご家族のサポートも大事です。頼れるご家族が近くにいないお母さんには、地域のサポートも必要です。そこで、地域全体で子育てを支える人間関係をつなぎ、誰もが安心してお子様を育てられる環境づくりを目指して、2015年からは「NPO法人つなぐプロジェクト」を設立しました。「地域を大きな家族に」を合言葉に、活動内容としては、母親の産前・産後の心身のケア、バランスボールやヨガの講座、親子の遊びや運動のイベント、離乳食教室、地域の交流会などを行ってきました。 私たち「つなぐプロジェクト」は、様々な子育て支援活動に向き合う中で、岐阜市、羽島郡、各務原市、大垣市など近隣地区にお住いの、幼いお子様を育てているご家族が、育児休暇明けにお子様の保育先に困っている状況をいくつも目の当たりにしたのです。特に、体調が悪くなりがちなお子様や、他のお子様と発達状況に違いがあるお子様の中には、保育園への入園を断られてしまうケースもあると聞きました。せっかく大変な出産を乗り越え、育児に慣れた頃に、預け先がないことに戸惑う現実がありました。育休明けに保育先を確保するための「保活」に奮闘したにも関わらず、預け先が見つからなかったお母さんは、育休の延長を申請するか、退職して、働き方・キャリアをあきらめる選択まで迫られていたのです。 お母さんだけでなく、お父さんやご家族ももちろんのこと、地域も一緒になって、子育てしやすい環境をつくりたい。元気なお子様はもちろん、体調や心身に不安があるお子様でも、子ども達の育ちのスペースが速いこの時期だからこそ、安心してお子様を預けられる保育園が必要とされている。そう考えて、私たちは保育園を開設することを決意しました。
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