2014/12/02 18:32

CAMPFIREのパトロンの皆様、お世話になっております。
「世界の終わりのいずこねこ」監督の竹内です。

先行上映が渋谷、神戸、仙台、広島、横浜、多摩と次々と終わっていき、年内の上映は残すところ12/18の名古屋シネマスコーレ、12/20の渋谷WWWのみとなりました。
上映のたびに、嬉しいご感想を戴いております。
遠方から駆けつけてくださる方がたくさんいらして、本当に感謝しております。新たな場所で上映する際でも毎回、お馴染みの方を見かけるたびにホッとします。

長らく活動報告をご無沙汰してしまって、大変失礼しました。
時間と気持ちに余裕がなかったというのは言い訳に過ぎませんが、正直、映画を撮る前は不安でいっぱいでした。

3月の活動終了を受けてから撮影まで、不安を解消するためにスタッフと撮影期間の何倍もの日数をかけて打ち合わせを重ねて、それでもやはり劇映画を初めて監督する身として、茉里さん、サクライケンタさん、ファンの方々が全力を注いできた「いずこねこ」の映画化は大きな挑戦であり、プレッシャーでもありました。
普段から一人で制作する事が多いため、大人数の映画の現場はおそらく演技経験の少ない出演者の方々と同じくらい初心者でした。
それでも、現場経験の豊富なスタッフのサポートのおかげで完成までたどり着くことができました。
竹内の監督作品ではありますが、これは「いずこねこ」の作品であり、共同脚本の西島大介さんの作品であり、いろんなスタッフの力が結集した作品であると思います。
心を動かしてくれた方のご感想を読むと嬉しくなります。それは、自分の作品でもありますが、まるで誰かの手によって作られた好きな作品のように他人に勧めたくなるからでしょうか。
たとえば、茉里さんのクライマックスの表情がいいんだよ、サクライさんのここの音楽がヤバいんだよ、伊集カメラマンの構図が素晴らしいんだよ、照明の小川さんの面談室の照明が美しいんだよ、石井助監督のクラスメイトの配役が面白いんだよ、西島先生の挿入イラストが最高なんだよ、
…言い出すときりがないくらい、オススメのポイントがあります。それほど多くのスタッフとキャストに恵まれました。
そして、何度申し上げても尽きません。
今回、映画のためにご支援くださった方々に心より感謝いたします。この場を借りて、お礼申し上げます。

個人的な話になりますが、竹内はもともと映画に携わりたいがために兵庫県から上京し、映画の専門学校に入りました。
大学を卒業してから入るので、これ以上親に迷惑はかけられないので自分で学費と生活費を稼いで上京したものの、半年間でお金は尽きてしまって退学する事になりました。
映画の編集の仕事に就きたくて選んだ道でしたが、挫折を味わいました。長らく別の仕事をやりながらライブ撮影を趣味で行っていたら、いつの間にかそれが仕事になり、映像にまた舞い戻ってきました。
だからこそ、今回、劇映画を作れた事は本当に幸運に思っています。
企画の直井さんが声をかけてくれなければ、この映画は実現しませんでした。昨年の夏頃に直井さんから「いずこねこヤバいんだよー。大森靖子も絶賛してるんだよー。」って教えてもらわなかったら、僕はいずこねこに関わる事はありませんでしたし、茉里さん、サクライさんとも知り合わなかったし、映画のスタッフとも出会わなかった。
たった一言だったり、行動だけで、色んなものが変わってくるんだなと実感します。直井さんの「良いもの」を探る嗅覚にはいつも尊敬します。

映画の現場で、茉里さんは改めて物凄い表現者だな、と痛感しました。他のスタッフが口を揃えて言いますが、「本当に役者経験ゼロ?」って首を傾げるくらい吸収力が早くて、臨機応変で、柔軟性がありました。多くの場面で助けられました。
特に、配信シーンの長回し(まだご覧になられていない方もいらっしゃると思いますので、内容は伏せて語らせていただきます)なんて、あんなに長いセリフとそれに伴う動作をよく覚えられたな…と思います。
ライブでも色んな表情をされますが、映画でも色んな顔を映すことができたと思います。
その一方で、お弁当の時間が本当に幸せそうで、時折気まぐれに喜怒哀楽を表現する様はまさに「ねこ」そのものでした。

そして、サクライケンタさんの劇中音楽はすでにご覧になられた方ならお分かりかと思いますが、鳴るだけで心が動きます。
こちらも言い出すときりがないのですが、特に前半でイツ子とスウ子が将来について話す廃工場のシーンの音楽がすごく好きです。同い年だからか、好きなものが似ているからか、どこか幼少期から聴いていた音楽のように慣れ親しんだメロディで、それでいて新しくて、悲しくて。
撮影後から約一ヶ月という短い期間の編集は過酷でしたが、サクライさんの音楽のおかげでもあってテンションを保つことができました。
無音の映像に音楽をはてはめていく作業が、なんとも気持ちがいいんです。

8月20〜22日はイツ子の家のシーン
8月23・24日は学校のシーン
8月25日はスウ子の家とヤマト先生の部屋のシーン
8月26日はグリーンバック合成でニュースキャスターとレイニー&アイロニーの宇宙のシーン
8月27・28日は廃工場、田んぼ道と車内のシーン
9月16・17日は追加撮影で荒野と大阪のロケ

以上の日程で撮影は進みました。
9月末に映画本編の映像の編集が終わり、10月中旬のテアトル新宿でのパトロン様限定の試写会まで、配信のコメント(約4000個)を竹内の自宅で毎日打ち続けていました。
何度か気を失いそうになりましたが、ここまでやり切れたのは支援してくださった方々と、現場で活躍してくれたスタッフとキャストの方々、そしてサクライさんの音楽のおかげです。
「これを最高の形で世に出さなければ」
その使命感は、大きなプレッシャーでしたが、撮影前の不安はなかったです。撮影後は、「いいものが撮れた」って気持ちしかありませんでした。
ギリギリまで編集を粘り、テアトル新宿の上映前に映像チェック。その節はご入場を少しお待たせしてしまって、大変失礼しました…
いざ上映。この瞬間は、息が止まりそうでした。
茉里さんもサクライさんも、他のスタッフも、完成を観るのはここが初めて。それまでラッシュ(画を繋ぎ合わせたもの)などは何人か確認してもらいましたが、とにかく緊張しました。
いずこねこのために何百、何千もの22時22分を過ごしてこられた方々に、お見せするものができたのか…
その答えは、上映後にしか分からないものでした。

上映後、テアトルを出た時に多くの飼い主の方々が集まっていて、竹内に話しかけてくださったのが本当に嬉しかったです。
あの時の皆さんの笑顔ほど、救われたものはありません。いずこねこってこんなに優しくて熱い方々に見守られていたんだな、それくらいの存在なんだな、と思いました。
あーーーーー、頑張ってよかったーーーーっ!
あの夜は忘れられません。

ご支援くださった方々に続々と特典が届いているかと思います。
石井助監督編集のメイキング映像、貴重なシーンがたくさん入っています。特にエンディングで流れる新曲のレコーディング風景は、僕も興味津々で見入りました。あと、ご飯を食べるところなんて茉里さん全開ですよね…
サクライさんの劇中音楽、僕はすでに携帯に入れて移動中に聴かせてもらっています。音楽を聴いて映画を少しでも思い出してもらえたら嬉しいです。
飯田えりかさんの写真も、デスクトップの壁紙にしたいくらいです。廃工場に佇むイツ子がすごくかっこよくて、少女の瑞々しさだけでなく力強さも感じます。「今」の姿を残してくれてありがたいですし、写真展も楽しみです。
あと、竹内が撮影・編集しましたライブDVD(USBでは映像データを2つにわけています)「THE END OF IZUKONEKO」は、映画の本編撮影で使用したカメラで撮影した映像も含まれています。こちらはハリウッド映画の大作などでも使用されている凄まじいカメラで、このカメラで茉里さんのいずこねこの姿を残せてよかったです。
そして、ラストライブは竹内の一台のカメラで撮影しました。最後のいずこねこMIXは絶対に撮り逃さまいと思って、全力で客席にカメラを振ったつもりです。
それでなんですが、この場を借りてお詫び申し上げます…
最後のライブの会場名を間違えて、ジャケット及び映像に入れてしまいました…
自分もその場に行って撮影したというのに!
本当に申し訳ないです。DVDは200枚分を手作業で印刷し、カッターナイフで一枚一枚切って、ケースに入れて、梱包しました。手作り感溢れる作りになっていますが、大事なところで誤ってしまって本当にすみませんでした…
でも!
内容は良いものになっていると思いますので、どうか末長く楽しんでいただけるとありがたいです。

色々と不手際をかけてしまって申し訳ございません。
来年の本公開まで見守っていただけるとありがたいです。
西島大介さんのコミカライズ、飯田えりかさんの写真展の開催も、すごく嬉しいです。ぜひマンガを読んでください。そして、写真展にいらしてください!

気がつけば、ものすごく長ーいブログになってしまいましたね…
失礼しました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

「世界の終わりのいずこねこ」監督、竹内 道宏