監督の竹内です。
映画『世界の終わりのいずこねこ』がいよいよ明日公開になります。
未来のお話ですが、「今」を描きました。
長いようで短かった、この1年間。と、卒業シーズンにお決まりの文句が思い浮かびます。
撮影から約半年が経ちます。もっと遡ると企画をいただいてから1年以上が経ちます。多くの方々のご協力のおかげで映画が無事に完成し、上映する機会を戴けました。CAMPFIREさんを通じて、このプロジェクトをご支援くださった方々に改めて厚くお礼申し上げます。
この映画は「みんなで作り上げた」という感覚が大きいです。西島大介さんのプロットから全てが始まり、石井助監督とともに脚本を練り続け、サクライケンタさんが同時進行で楽曲を制作し、現場では茉里さんが初めて演技に挑戦しました。
映画のみならずコミック版、写真集、オリジナルサウンドトラック、衣装展、展示。映画の枠を超えて、様々な分野で形を残すことになり、いずこねこは12月を通り過ぎて、13月、14月、そして15月の映画の公開まで続きました。
遠くからも、近くからも、この映画に協力してくださった方々にこの場を借りて改めて深く感謝いたします。
映画の公開が偶然にも別れの季節、3月。大人になってから「卒業」に疎遠になりましたが、転職でも異動でも引越しでも、永遠の別れでも、お世話になった方にはきちんと別れを告げたいものです。
歌詞にある「電子溢れた世界の果て」に、インターネットで繋がる宇宙があるのでしょうか。
アイドル、地球、人。すべてに目に見えない隕石が降りかかり、タイムリミットが今も時を刻み続けています。主人公・イツ子がそこで何を感じ、何をやり遂げるか。退廃的な廃工場の景色と、空が落ちてくるような閉塞感。孤独すら感じさせる作品かも知れませんが、その孤独はそこに誰かの不在を感じるがゆえであることを忘れたくないです。
劇中、イツ子のお父さんが使用するカメラは、竹内がいつもライブ撮影で使用しているカメラですが、これは故人のものです。
私事ですが、この作品を私の人生できちんと別れを告げられなかった人に捧げます。
光が放たれると必ず陰は生まれます。でも、陰があるとそのぶん光を強く感じます。
「アイドル」はどうなのでしょうか。
この世界を素晴らしいなんて言えず、思えず、陰に包まれて遠くに行ってしまった人へ。
スウ子の「行っちゃったね、ずっと遠くに。」というセリフは、その人に向けて書きました。
先生、僕は映画を作りました。
頑張らなくちゃ、人生には必ず終わりが来るから。
2015.3.6 竹内道宏