▼はじめにご挨拶
福島第一原発に溜まっている総放射性物質はチェルノブイリ原発の40倍以上!
福島第一原発事故(2011年3月11日)は、世界最大の原発事故です。環境に放出された総放射性物質は、チェルノブイリ原発事故(1986年)の約2倍と推定されています。まだ環境中に放出されず福島第一原発の何処かに留まっている総放射性物質は、チェルノブイリ原発の40倍以上です。
チェルノブイリ4号炉
201人の子どもが甲状腺がんと診断
福島県の「県民健康調査」検討委員会(2018年9月5日現在)によると、福島県内の小児甲状腺がん患者(悪性及び悪性疑い)は、202人でした。(ただし、202人のうち1人は良性)
チェルノブイリでの健康被害を総括したA.ヤブロコフは「甲状腺がんの症例が1例あれば、他の種類の甲状腺疾患が千例存在する」と「調査報告チェルノブイリ被害の全貌(岩波書店、2013年)」で指摘しています。
これに従うと、福島県では38万人中20万人以上の子どもに今後いろいろな疾患や障害が生ずる可能性があるということです。
※写真はイメージです
このような重大な状況の中、福島県も政府も事実を明らかにする意思がありません。南太平洋で大気圏内核実験が行われていた時、沿岸部の各自治体では乳歯中ストロンチウム-90の測定をしていました。しかし現在では、どこも乳歯中ストロンチウム-90の測定をしておりません。政府が行っていないのです。
日本はいまだ「原子力緊急事態宣言」下にある
福島第一原子力発電所事故が発生した当日に日本国政府が発令した「原子力緊急事態宣言」は、7年半以上経った今でも解除されていません。日本は今でも「原子力緊急事態宣言」下にあります。これによって、年間1ミリシーベルトという日本の被ばく上限規制は、20ミリシーベルトに引き上げられたままです。
検査した全乳歯からストロンチウム-90が検出される
ストロンチウム-90は、40年以上体内に留まります。したがって、乳歯中のストロンチウム-90を測定する事は、科学的に福島第一原発事故が及ぼした健康被害を記録するための最適な方法です。(ストロンチウムと乳歯について詳しくはコチラから)
乳歯に含まれるストロンチウム-90を個別測定する検査機関は、スイス・バーゼル州研究所しかなかったため、私たちは提供された乳歯をスイスに持参し分析を依頼しました。その結果、持ち込んだ込んだ224本の乳歯からすべてストロンチウムが検出されました。
この結果を受け、私たちは日本の子どもの乳歯中のストロンチウム-90を一本一本正確に検査して、次世代に役立つ測定データとして体系的に保存・整理・解析する目的で、プルトニウム-90を測定するラボラトリーを(医師、物理学者、化学者を中心に)立ち上げました。
乳歯を分析する民間測定所開設に向け、話し合いを進める松井英介医師(右から2人目)ら=岐阜市で(写真:2017年10月4日 中日新聞朝刊1面より)
呼びかけ人は専門家はじめ300人
2015年9月、私たちは「放射線内部被ばく研究会」「乳歯を保存するプロジェクト」「福島避難者支援グループ」など全国で活動してきた団体・個人と連携して「乳歯保存ネットワーク」を設立しました。現在、全国・世界から、学者・文化人、医療従事者、現発事故被災者・支援組織のおおよそ300名が呼びかけ人として登録されています。(呼びかけ人の一部はこちらから)
岐阜環境医学研究所の松井英介所長(写真:徳島新報2017年2月19日号)
▼このプロジェクトで実現したいこと
「乳歯中のストロンチウム-90の測定で、福島第一原発事故による内部被ばくの実態を記録していきたい。」
環境に放出されてしまった膨大な量の放射性物質が日本全国に食品や飲料として消費されています。放射性物質の1つであるセシウム-137については規制値もあり、不十分とはいえ測定はされています。しかしながら、原発において1対1で生成されるストロンチウム-90については、規制値もなければ測定もされていません。
体内に取り込まれた(内部ひばく)ストロンチウム-90は、骨あるいは歯に蓄積され40年以上体内に留まります。骨を測定することは現実的ではありませんが、歯であれば(特に自然に抜け落ちる乳歯は)測定が可能です。
乳歯中のストロンチウム-90の測定によって、福島第一原発事故による内部被ばくの実態を記録する事ができるのです。
※ストロンチウム-90の測定には複雑で14日間を要する化学処理を必要とします。
検出器。同時に16試料の測定ができます。
▼プロジェクトをやろうと思った理由
「福島第一原発事故による内部被ばくの実態を、科学的に把握する必要がある」
福島第一原発事故による内部被ばくの科学的な調査を実施している機関は、日本には、日本国政府も含めてありません。このままストロンチウム-90の測定をしないでいると、福島第一原発事故による内部被ばくの実態を科学的に把握することは、永久にできなくなります。
世界では、唯一スイス・バーゼル州立研究所が1950年代から50年以上にわたり、乳歯中のストロンチウム-90の個人別測定を実施しています。そこでわれわれは、この研究所と提携して日本でも乳歯中のストロンチウム-90の測定を実施する事にしました。
▼これまでの活動
2016年: スイス・バーゼル州立研究所と提携。日本人の乳歯200検体以上を先行測定(ストロンチウム-90)。日本より3名がバーゼル州立研究所にて研修(2016年9月)。
2016年8月より「はは通信」開始。2016年10月〜2017年2月: 「放射市民講座」。
2017年2月2日: 米国のBenefit Corporationを模範として「株式会社はは」を設立。
2017年4月〜2018年12月: 資金募集(株式21,740,000円、及び寄付2,119,000円)。
2018年 1月〜9月: 測定所の準備及び機器の設置。
2018年10月: スイス・バーゼル州立研究所にて測定手順の確認(日本より4名)。
▼これまでに取り上げられた記事
朝日新聞デジタル 2018年2月13日
中日新聞 2017年10月4日 1面
内部被ばく 乳歯で調査 岐阜に初の民間測定所 福島事故受け 全国の子対象
徳島新報2017年2月19日号
▼資金の使い道
検査費用............250万円(500検体×5,000円)
薬品代..................................100万円(500検体×2,000円)
冊子の製作費............................. 100万円
冊子の発送費用等............................. 50万円(1000冊×500円)
合計 500万円
▼リターンについて
➀3000円...............「原発のミニ手引書」1冊。
②5,000円............... 「原発のミニ手引書」2冊。
③10,000円以上.... 「原発のミニ手引書」2冊と乳歯のストロンチウム-90測定。
備考
➀②③出版社の販売許可取得済み
③日程:2019年6月以降順次
場所 :全国(郵送)
▼最後に
私たちは、子どもの命と健康を守るために、力を尽くしたいと考えています。被ばくから子どもたちを守り、これ以上被ばくをさせない、危険な地域から移住できる権利を保障すべきだと考えます。
そのために、脱落乳歯の保存とそこに含まれるストロンチウム-90の測定(無料)をすることにしました。ストロンチウム-90を調べることによって、脱落乳歯は内部被ばくの貴重な証拠試料となります。
人の歯は、受精してから5〜6週にできはじめ、母親の胎内にいる間、空気や食べ物から母体を介して、胎児の歯や骨にストロンチウム-90が取り込まれます。
生まれて6〜8ヶ月頃になると、最初の歯が生えはじめます。そして、4歳頃から乳歯は抜け始めます。ストロンチウム-90の半減期は約29年と長いので、乳歯に取り込まれ蓄積されたストロンチウム-90の量はほとんど変わらず保たれます。抜けたその乳歯を保存しておけば、必要な時にストロンチウム-90を測定することが可能です。
私たちは、自らの測定結果をもとに、被ばく事実を確認し、被ばくによる健康影響を解析し、その基礎試料と解析結果を以って、一般市民や自治体に対し、より広範な調査や施策などを行うよう提言します。
▼プロジェクト代表者について
松井 英介(まつい えいすけ)
岐阜県立医科大学卒業後、岐阜大学医学部放射線医学講座助手、講師、助教授。 1981-82年 ベルリン市立呼吸器専門病院Heckeshorn病院留学。医学部退官後、愛知県犬山中央病院放射線科部長を経て、岐阜環境医学研究所・座禅洞診療所を開設、所長、現在に至る。 この間、呼吸器疾患の画像および内視鏡診断と治療、肺がんの予防・早期発見、集団検診ならびに治療に携わる。
厚生労働省『肺野微小肺がんの診断および治療法の開発に関する研究』等、肺がんの診断・治療法の確立に関する研究委員、日本呼吸器学会特別会員・専門医、日本がん検診・診断学会評議員、日本呼吸器内視鏡学会特別会員・指導医・専門医、東京都予防医学協会学術委員など。
日本気管支学会第一回大畑賞(2001年)、第13回世界気管支学会・気管食道学会 最優秀賞(2004年)。
「Handbuch der inneren Medizin IV 4A」(1985年 Springer-Verlag)、「胸部X線診断アトラス5」(1992年 医学書院)、「新・画像診断のための解剖図譜」(1999年 メジカルビュー社)、「気管支鏡所見の読み」(2001年 丸善)など執筆。
「低線量」放射線内部被曝に関連した松井英介の著書
「見えない恐怖―放射線内部被曝―」(2011年)旬報社、単著
「放射線被ばくから子どもたちを守る」(2011年)旬報社、監修、分担
「放射能汚染 どう対処するか」(2011年)花伝社、分担
「地震と原発 今からの危機」(2011年)扶桑社、分担
「内部被曝からいのちを守る」(2012)旬報社、分担
「福島原発事故の放射能汚染」(2012年)世界思想社、分担
「中・高校生と学ぶ 福島原発事故と放射能Q&A」(2012年)平和文化、分担
「改訂第8版 内科学書 Vol.1 内科学総論、臨床症状」(2013年)中山書店、分担
「『脱ひばく』 いのちを守る 原発大惨事がまき散らす人工放射線」(2014年)花伝社
「国際法違反の新型核兵器『劣化ウラン弾』の人体への影響,アフガニスタン国際民衆法廷 公聴会記録 第7集」(2003年)耕文社、分担
「The Trojan Horses of Nuclear War, World Uranium Weapons Conference 2003, Hamburg Oct. 16.-19,」(2004) Gewaltfreie Action Atomwaffen Abschaffen and NEIS, 分担
▼関連サイト
備考
「All in 方式」での募集となります。仮に目標金額が集まらずに終了した場合でも、プロジェクトを実行し必ずリターン をします。
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