2019/01/15 12:12

この活動報告書をご覧になってくださっているみなさん、はじめまして。

学生団体UMFです。


学生団体UMFは2012年に発足してから音楽フェスの企画・運営を行い、今では全国7都市に広がるほどにもなりました。


そんな当団体がなぜ、今回のプロジェクトを行うことになったのかという経緯を、まずはじめにご紹介させていただきます。


(一部、プロジェクト本文中と内容の被る部分がございますがご容赦ください。)



学生団体として長く活動していると、学生を対象とした社会課題解決プロジェクトへの協力要請のお話が日々、入ってきます。私たちも今までにたくさんの選挙関連のプロジェクトに参画してきました。


その中でも常に課題として取り上げられていたことが、・若者の投票率の低さ・大阪府民の投票率の低さの2つでした。


決して投票率が高いことが望ましいというわけではありませんが、他の年代層や全国平均よりも低いことで確実に「若者、または大阪を主の対象にした政策」の優先度や可決数は下がると考えています。


このことについて強い危機感を覚えた出来事がありました。

それが、2015年の大阪都構想の住民投票。


(※学生団体UMFは政党政治の問題に関して中立の立場を取っています。)


結果としては、賛成が694,844票、反対が705,585となり、否決。

その中で注目をすべき項目は某テレビ局の出口調査の結果(世代別・性別)でした。

このデータによると、50代女性、そして70代以上の男女以外は賛成数が過半数を占めています。

特に20~40代の男性は約2/3の人が賛成票を入れている、にも関わらず反対多数で否決された。


このグラフだけを見ると70代の方々の母数が多く、若者の意見が通らなかったのかな?と思う方もいるかもしれないが、それは間違いで他のデータも含めると、実際は若者の投票率の問題であるということがわかります。


大阪市の人口統計(2014年10月)によると各年代の人口は下記の通り、20代 32万5010人・30代 37万9719人・40代 40万8282人・50代 30万4597人・60代 35万2285人・70代 30万1201人・80代~100代 17万8802人となっていて、先述した70代以上の人口は約48万人。一方で20代と30代を足せば70万人を超えるので、必ずしも高齢者の母数が多いから若者の声が政策に反映されないではなく、真の問題は若い世代の投票率が低いことにあると言えます。


もちろん、都構想を可決にしたいから私たちは頑張っているというわけではありません。

この現状を冷静に見た時、自分が政治家であった場合に誰のための政策を優先して作っていくでしょうか。

そして、こうした若者世代の社会課題を率先して解決していくべきは、若者世代だとも感じています。


そこで私たちができること。それが音楽フェスであり、エンターテイメントでした。

エンターテイメントの真の力は「ゼロからイチを生み出す」、つまり興味が全くなかった層を巻き込んでいける、興味関心を持たせることができるということにあります。


例を出すと、世界で流行した『アイス・バケツ・チャレンジ』が成功の事例です。これは筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の研究を支援するための資金集めを目的としていて、バケツに入った氷水を頭からかぶるか、またはアメリカALS協会に寄付をするという運動です。


この運動に世界の著名人が参加し、結果として3週間で1,330万ドルの寄付金を集める(前年同時期の同協会への寄付額は3万2,000ドル)という驚くべき反響がありました。


ALSの研究はとても重要な意味を持っていますが、その現状や課題を興味関心のない層にまっすぐに伝えたとしても興味を生み出すことは難しかったでしょう。でも、こうしてエンターテイメント要素をしっかりと取り入れることで参加の裾野を広げ、多くの笑顔と感動、そして資金を生み出すことができます。


話は戻りますが、学生団体UMFも今までにもたくさんのプロジェクトに関わってきました。

その多くのプロジェクトは「政治・選挙に興味関心のない若者に興味関心を持ってもらいたい」という趣旨でしたが、そこにひとつ欠けているもの、置き去りにされていたものがあります。それがエンターテイメント要素に全振りした企画がなかったということでした。


投票啓発イベントが堅い空気にならないようにモデルやアーティストを起用し、ファッションショーやライブ企画を交えるのはアプローチとしては素晴らしいことだと思いますが、そのタレントやアーティストを見に来る客層というのはショーやライブを楽しみたい客層であって、タレント・アーティストが政治や選挙に関してのトークを行うこと、ましてや政治・選挙に対しての興味関心はかなり薄いです。


有名人を使うことにより、SNSでバズったり、メディア露出なども結果として狙え、それなりの反響を数値化することも可能ではあります。しかし、その発信された情報を受信してくれる人たちとは元々、政治・選挙に関心があった人たちで、真の目的であった「政治・選挙に興味関心がない層に、興味関心を持ってもらう」ということには繋がりづらいという現状があります。


こうしたプロジェクトは主にNPO法人や一般社団法人などに多く見受けられますが、なぜこんな事案が発生するのか。

それはプロジェクトを実行するにあたって、予算を割き、形にするためで、予算を割くためには明確な結果・意義、内容の適合性も必要となります。それがタレントやアーティストにトークをしてもらうというコンテンツを生み出される要因にもなっています。


ちなみにですが、上記のようなイベントを批判したり、無意味だと思っているわけではなく、とても敬意と感謝の気持ちを持って取り組まさせていただきました。一定数、政治・選挙に興味関心のなかった人たちにもアプローチできている事実もありますし、なにより投票率が大きく下がっていないということ大きく貢献しているのはこうしたイベントがあるからだと考えています。


その中で私たち、学生だからできることが今回のプロジェクトだとも考えています。

メジャーな音楽フェス、そして私たちのフェスの客層は男女比に五分五分で、年代も~20代が6割程度、そして30代・40代で3割、その他1割というような比率になっていて、まさにアプローチを仕掛けたい層が集まりやすい傾向にあります。


なぜ、フェスなんだと思われた方もいるかもしれませんが、私たち若い世代の投票率が低いという問題の解決へのアプローチとしてフェスというものが最適なのではないかと考えています。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

投票済証というものの扱いについては賛否両論あることも承知していますが、自分たちにできることを形にしようと思い、踏み出した結論でもあります。ぜひみなさんとともに「どうあるべきなのか」や「日本・世界のためにできることとはなにか」を一緒に議論し、考えていけたらなと思いますので何卒よろしくお願いします。



#vote_for_fes


(学生団体UMF・高村)