アイリッシュ・フルートやティン・ホイッスルを吹いております豊田耕三です。
滑り込みでリレーエッセイもう一本追加です。
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このクラウドファンディングがスタートした時に、詩と音楽のコラボレーショングループにいながら昔から詩が苦手だったという話を自分のブログに書きました。
http://www.kozo-toyota.com/2019/03/02/voice-spaceについて/
もう一つ長らく苦手意識が抜けなかったことがあります。
それは声を出すこと。
VOICE SPACEでは楽器奏者と言えど、ただ楽器を弾いていればいい訳ではありません。
楽器を弾きながら、合間合間に声を出すことを要求されます。
あるいは作品によっては声のみの参加すらあります。
これがハードルが高かった!
何しろメインで声を出しているのは声楽科出身者がずらり。
邦楽の面々も普段から野太い声を出すところまでが仕事ですし、作曲家すらなぜかやたら歌がうまかったりする。
声楽の人達は、声量は勿論、声質、音程、滑舌、表現力に至るまで、まぁこれだけトレーニングしている人達も珍しいという位の人達ですし、他もそれに負けないくらい強烈な個性を持っています。
それを相手に、ずぶのド素人が声を出すわけです。
自分の声の録音って多くの方々はあまり聴きたがらないですよね?
それを声のエキスパートの人達と並べられて公開処刑されるような、如何ともしがたい辛さがありました。
ところが、VOICE SPACEの現在のレギュラーメンバーには男性の低声の人がいないんですね。
自分は結構声が低くて、無駄によく響いたり、声楽の人が逆にあんまりやらないような変な声の出し方もしたりするからなのか、ちょいちょいお鉢が回ってくる。
そういう訳で大抵楽器以上に練習が必要になるのです。
この15年の間には、勿論声楽の人達からの熱烈指導もありましたし、シンガーのさがゆきさんのこれまた熱血指導を受けて集中的なトレーニングもしました。
ついでに言うと、3年位前に結婚したのですが、妻がやはりシンガーでヴォイストレーナーだったりもして、そのスパルタレッスンも大きかったかもしれません。
そんなことをしている内に、気が付けば普段のライヴのMCを褒められたり、ラジオやテレビに出演して「声がいいですね」と言われたりすることが増えてきたのです。
実際に自ら意欲的に取り組んでみると声の世界って本当に面白いですよね。
同じ原稿をただ朗読するだけでも読む人によって本当に違う。
中には魔法使っているのかと思う位、魅力的で引き込まれる、そして、一瞬で意味が頭の中に入ってくる、そんな朗読、ありますよね?
最近は落語やラジオのDJの発音、発声、話し方なんかをよく聴いていたりしていて、図らずも声の世界に夢中になっている自分がいます。
今後も積極的に自分の声を使っていきたい、もっと可能性を広げて行きたいと思う今日この頃なのですが、さて、今回のVOICE SPACEの新しいアルバムでも声で参加している作品がいくつもあります。
中でも新曲「アンネリダタンツェーリン」と「蝉」の2曲は、とりわけ声の方に気合を入れて臨んだ作品です。
正直に言えば今回このアルバムで“会心のでき”感があるのは笛よりも声の部分かもしれないというくらいでして、残念ながらヨーロッパ留学中で新しいレコーディングには参加できなかったテノールの黄木透がレコーディングを聴いて自分の声の部分を良いと言ってくれた時には密かに小躍りして喜んでおりました。
そんな自分にとって新しいタイプの作品となるこのアルバムを是非世の中のたくさんの方々に聴いて頂きたい、また、7月の西日本公演、9月の東京公演で生のパフォーマンスをできるだけ多くの方に聴いて頂きたいと思っております。
本日が最終日となるクラウドファンディングへのご支援を宜しくお願いします。
本日が最終日となるクラウドファンディングへのご支援を宜しくお願いします。
VOICE SPACE
アイリッシュ・フルート、ティン・ホイッスル、声 担当
豊田 耕三
豊田耕三プロフィール
東京芸術大学卒、同大学大学院修了。同大学ケルト音楽研究部(g-celt)やIntercollegiate Celtic Festivalなど数多くの企画を立ち上げ、若手のアイリッシュ音楽ブームの火付け役となる。2016年アイルランド伝統音楽の祭典フラー・キョールのコンペティションで、ティン・ホイッスル・スローエアー部門3位入賞。ドラマ、ゲーム等の音楽に多数参加するほか、様々なジャンルの演奏家とのコラボレーションも行う。2017年「題名のない音楽会」、2018年「らららクラシック」出演。O'Jizo、Toyota Ceili Band等複数のアイリッシュ系バンドを主宰。