《Form on Words》は、ワークショップ《ことばのかたち工房》を経て誕生しました。
《ことばのかたち工房》とは、現代美術家の西尾美也によるワークショップです。
街で働く大人へのインタビューから導きだした「ことば」をもとに、子どもたちが古着を使って想像した「かたち」を創作し、街の大人の新しいユニフォームを生み出していきます。
敬老館の館長が自分の仕事着について「目立たないように、あたりさわりのない色を選んでいます」と言った時、話した人の情報や前後の文脈を取り除いて「あたりさわりのない色」というキーワードだけが子どもたちに提示されます。
これに対し、男の子が「あたったりさわったりしたくない色だから…毒とか、雷とか炎とか?」とアイデアを広げます。こんなふうに誤読したり、古着をいじって遊びながら〈ことば〉と結びつけたりして、自由にイメージを広げていきます。
このように、《ことばのかたち工房》では子どもたちに造形の機会を提供すると共に、装いの再解釈を通して、町と子どもたちの思いもよらない掛け合いを生み出してきました。
そこで、“人と衣服が出会うプロセスの中で生まれる豊かさ”を多くの人々と共有していきたい。そして、期間や場所が限定されやすいアートプロジェクトではなく、もっと感覚的にも身体的にも身近なものとして提供していきたいという想いから、ファッションブランド《Form on Words》は誕生しました。
今後は、ファッションだけに留まらず、美術、演劇、ダンス、教育、福祉の領域を横断しながら、多くの人々が「新しい装い」の文化に参加できる環境づくりを行っていきます。
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《ことばのかたち工房》について
《ことばのかたち工房》とは、子どもたちと古着を使って協働で作品を作るワークショップ。
2008年より、現代美術家の西尾美也と、児童館をアーティストのアトリエとして活用するプログラム「アーティスト・イン・児童館」(東京)で始まり、大阪、香川、愛知など、日本各地で開催されています。
町の人たちへの「仕事着」にまつわるインタビューから導いた〈ことば〉をもとに、児童館で遊んでいる子どもたちが古着を素材に自由にイメージした〈かたち〉を作ります。次に、完成した〈かたち〉をインタビューした〈ことば〉の持ち主が身にまとい、その写真を撮影します。このプロジェクトでは、子どもたちに古着を使った造形の機会を提供すると共に、装いの再解釈を通して、町と子どもたちの思いもよらない掛け合いを生み出すことを目的としています。
アーティスト・イン・児童館《ことばのかたち工房》
http://jidokan.net/project/project-no1/