横笛の出口煌玲です。
今日は、日本で一番古い種類の笛を紹介したいと思います。
上の写真、何故か石ですね。
漬物石ではありません。
笛なんです。
穴が空いているのがわかるでしょうか?
四国の聖地・剣山の頂上で採取された石で、この石自体が御神体だったりするのです。
剣山の標高は1955メートルありますが、太古の昔は海底でした。
その当時、貝が石を溶かして穴が空きました。
その後、地殻変動で海底は高い山となり、穴の空いた石も頂上に。
これが最も古いスタイルの日本の笛・磐笛です。
この穴に息を吹き込んで音を鳴らします。
倍音と高周波域に富んだ音で、神を降ろします!
磐笛(いわぶえ)といって、古神道の神事で奏でられてきました。
音程のコントロールは困難で、器楽アンサンブルで使うことはまず無いです。
ですが、日本の横笛の音の基となりました。
篠笛・龍笛・能管などの音の、高域が異常に通るのは、
大陸から伝わった横笛の音色を、神と繋がり降ろす磐笛に近づけようと 創意工夫されてきたからだと言われています。
龍笛は、横笛の音律と磐笛の音魂を高度に両立させようとさせてきたのですが、
能楽で奏でられる能管に至っては、さらに磐笛の音に近づけたために音律そのものを捨さってしまいました。
僕は、音律と磐笛的パワーの両立させようというスタンスですが、時々、原点である磐笛は鳴らしています。
この笛も磐笛ですが、生成の歴史がまた別のものです。
洞窟で、一箇所に長年水滴が落ちて空いた穴に 息を吹き込んで鳴らします。
どちらの笛も、気の遠くなる年月でできた自然の造形物です。
これら磐笛の音色とパワーが、日本の横笛の音色の原点なんです。
これらは、ご縁があって僕の手元にありますが、
どんな音か? 機会があればお聴かせしますね。
これは、水晶に人工的にドリルで穴をあけた笛。
ほんの最近のものですが、綺麗な音が出ますよ。