2019/04/17 15:13

こんにちは。認定NPO法人アジア・コミュニティ・センター21(ACC21)の辻本です。

今日は、プロジェクトページでも紹介しているアンジェリカさんについて、もう少し詳しくお話ししたいと思います。

つい2ヶ月前に21歳になったアンジェリカさんは、マニラ出身のマニラ育ちです。8人きょうだいの末っ子で、貧しい生活を送ってきました。彼女が5年生のとき、初めてチャイルドホープの路上教育に出会い、興味をもって参加するようになります。

アンジェリカさんにとって学校の勉強は少し難しかったのですが、路上教育で扱うようなこと-道徳的な行いや考え方、人と人との助け合い、大人になるとはどういうことか、将来のことなど-は、とてもわかりやすかったそうです。

このときの路上教育で学んだことは、今も財産として残り、これからも彼女の人生を助けていくことでしょう。


わずか14歳のとき、アンジェリカさんは、路上で出会った男性との間に子どもを産みます。

10代のうちから親になるストリートチルドレンは、決して珍しい存在ではありません。早すぎる妊娠・出産は、母体の負担になるばかりではなく、将来のために学ぶことのできる時間が奪われ、また保健・衛生や栄養などについての知識が十分でないと、子どもにも悪い影響が起こりえます。家事や子育てに追われ、仕事に十分な時間が割けなければ、路上から抜け出すこともままなりません。これが、ストリートチルドレンの子どもがまた、ストリートチルドレンになってしまう一つの要因です。


アンジェリカさんはある日、友人と遊んでいるときに、罪なく巻き込まれ、警察に捕まりました。「拘束は1年2ヶ月も続いてとても長かったし、痛みにも耐えなくちゃいけなかった。私にできたことは、待つことくらい。それでも、息子と家族のために、自分の人生を続けなきゃと思ったの」 

アンジェリカさんは昨年、私たちの自立支援プロジェクトについて知り、息子と家族を養うために参加することを決めました。はじめはプロジェクトに参加する他の若者たちとの間にいさかいが絶えず、現地担当者のアランも手を焼いたと言います。しかし、ライフスキル・トレーニングを通じて人との信頼関係の作り方やストレスの前向きな対処の仕方などを学んだことや、同じ目的で努力する仲間たちとの友情が芽生えたこと、アランの働きかけなどによって、徐々にまわりと信頼関係を築けるようになります。

周りからの働きかけと本人の努力によって、プロジェクトを最後までやり遂げ、飲食サービスの『国家資格II類』までも手にしたアンジェリカさん。この“やり遂げる”という経験が、彼女の新しい財産になり、これからの人生を助けてくれると思います。

「私は、プロジェクトを通じて得た経験をとても誇りに思っています。このプロジェクトを通じて、皆さんが私たちのようなストリートチルドレンを助けてくれていることを知りました。路上で暮らす私たちの人生を、変えるために。ありがとうございます」

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応援をよろしくお願いします。


※本記事のトップ画像の少女は、アンジェリカさんとは別人です