2019/06/17 02:03

NO BORDER開演まであと半月となった。

そして「今までになかったもの」が世にでる時に必ず直面する問題に直面している。

最大のボリュームゾーンは「今流行っているらしいから行ってみよう」というフォロワー集団であるから、この集団に到達するためにアーリーアダプター(新しいものに敏感な層)をどれだけ刺激できるかという段階がある。でそのためにはそういう層に体験してもらうための期間が必要ななるのだがテクノロジーが新しすぎて(このライブに合わせて初めて世に出すようなもの)その完成がギリギリになるので体験してもらうのがスタート半月なのにまだできていないのだ。

これは「今までになかったもの」を世に出す時に明らかなハンデを背負っている状態だ。

しかしこれはその体験期間が初演まで短かったとしてもそれが全体で二週間遅れているとすれば、世の中のボリュームゾーンに届くのが二週間遅れるだけだから実はまあどうということはない。

しかしここで思い返したいのが電波少年のユーラシア大陸ヒッチハイクの旅が日本中を巻き込むブームになった時に起こったことだ。このことを振り返りながらこのあとNO BORDERに起こるであろうことを予測しようと思う。


「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」という企画は僕の頭の中で生まれた。それは忘れもしないバブルの匂いの残る六本木の今はなき「青山ブックセンター」深夜3時だった。

「深夜特急」が文庫になって平積みされている光景に出くわした。そこで「香港〜ロンドン」

「バスではなく(スペシャルでやり始めた)ヒッチハイク」「毎週の連続もの(ドラマの経験から)」この思いつきから様々な検討が始まりそして「半年空いている芸人コンビ(つまりド新人)」のオーディションが始まった。ここで猿岩石に出会い選んだ。この後のあるポイントを考えると重要なキャスティングになるのかもしれない。
そして技術体制はディレクターが民生機のカメラを持って撮影することにした。(これは当時からするとかなり大きなジャンプだ)いよいよ生放送の中で何も知らない猿岩石有吉、森脇の二人に企画が言い渡された。生放送の混乱の中で二人は出発した。

次のポイントは香港から深圳に入る出入国ゲートだ。改めてビザを取って入国するという日に僕はそのゲートに会いに日本から行った。そこで猿岩石の二人に言ったのは「もしやっぱり嫌だ、日本に帰りたい、と言うならここから一緒に日本に帰ろう。行くんなら行かされるんじゃなく自分達の意思で言って欲しい。それが旅というものだろうから。行くか行かないか?(これがこの後の電波少年の企画のスタート時に僕が言うことになる『やりますか?やりませんか?』の原型である)二人は「行きます!」と言って国境のゲートをくぐって行った。この言葉を言ったことが有吉、森脇がリタイアできなくなる言葉としてこの後重くのしかかることなど全く意識しないで。

こうして香港〜深圳〜ベトナムとヒッチハイクの旅が続き最初に渡した10万円が尽きたのとベトナムの次の国ラオスの検問所に行ったのはほぼ同時だった。ところがこれが土曜日だったのだ。ベトナムとラオスの国境検問所で出国の手続きをするのは土日は休みだったのだ。これで金無しの状態で2泊48時間ベトナムの公園で野宿をして過ごすことが決定した。

これが“もし”何か順調に行って金曜日に検問所に着いていたらそのままラオスに入っていたら。

今ユーラシア大陸横断ヒッチハイクのハイライトシーンを作るときに使われるベトナムの公園で有吉が虚ろな目で横たわっているシーンはなかっただろう。そして何より月曜日に検問所でハンコを押された時の「このハンコのために三日。。。」と言う絞り出すような有吉の声は撮れていなかったと思うのだ。

この瞬間からそれまで「誰だかわからない二人組のヒッチハイクなんてやめてまっちゃんのアポなし見せろ!」と言う視聴者からの声は消えた。

つまり期せずして起こったドラマ、国境に到着したのが週末でその時ちょうどお金も使い果たしていたからなす術なく48時間ベトナムの公園で寝ているしかなかったと言う時間。

これがターニングポイントだった。このシーンで見ている人たちもこの企画の本質とこれから起こることがちょっと見えた。

「今までにないもの」が広く届くためにはこのようなドラマが必要になる。

NO BORDERにもこの後きっとそんな事件が起こり、のちに「アアあれがターニングポイントだったね」と言う瞬間が訪れるだろう。

それはとても意外なところから現れるに決まっている。

誰かが体験してそれがその人のSNSにアップされてそれが予想以上に反響があってなのか?その人も本当は来る予定がなかったけどたまたま巡り合わせで来たとか。
そこには偶然の重なり合いの奇跡みたいなものが起こるからだ。

でも必ずある。その瞬間に立ち会いたい。
まもなく大阪での日々が始まる。

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