2019/08/02 08:00
ご支援いただいた皆さまへ

皆さまの暖かいご支援のおかげで、解体着工前に無事に3次元計測を実現することができました。応援いただいた皆様に心より御礼申し上げます。建物の記憶を後世へ伝えるため、活動費の足しになればと始めたクラウドファンディングではありましたが、目標額を2日で達成することができ、建物への関心の高さ、名建築の価値継承、長年親しんできた地元の風景への愛着、市民会館での思い出、新たなアーカイブ手法への期待など、たくさんの想いを受け取ることができました。

また現地では大雨の中での計測となりましたが、応援メッセージを頂いたり、地元の方が挨拶に来てくれたりと、暖かな励ましにとても勇気づけられました。誠にありがとうございました。

いただいたご支援は、3次元デジタルアーカイブの活動資金として大切に活用させていただきます。早速、取得したデータの解析や撮影した写真から3Dモデルの生成が、現地での計測からまだ1ヶ月も経たぬうちに、どんどん進んでおります!


本日は都城市での計測風景をご紹介します。

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旧都城市民会館 3D Digital Archive Project 〜計測編〜

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◆いざ、宮崎県都城市へ

建築家・菊竹清訓氏が設計したメタボリズムの代表作「旧都城市民会館」の記録をデジタルデータで後世へ継承するため、解体着工前に宮崎県都城市を訪れました。3次元計測では、gluonとともに、KUMONOSによる3次元レーザースキャン、xRArchiの藤原さんと長坂さんによるフォトグラメトリ、福岡大学の大隣さんによるドローン撮影の技術を組み合わせ、写真や図面だけでは記録しきれない複雑な形状や構造を立体的に記録しました。


◆空間のデジタル記述で培ってきた技術を活用し、3種の手法で計測を実施

(1)3次元レーザースキャン

豊富な測量実績と新しい測量手法を切り拓くKUMONOS(クモノス)の3次元レーザースキャン技術によって、建物の形状を立体的にスキャン。取得したデータは、原寸で計測されており、点群データと呼ばれる、点が集まって空間を形容するデータとなります。世界遺産や文化財のアーカイブ、復元、修繕工事のシミュレーション、CGモデリングなど幅広い応用性を持っており、3次元データとして永遠に残すことができる技術として注目されています。

解体前の旧都城市民会館で3Dスキャナーを用いて3次元計測を行うKUMONOS CORPORATION

大雨警報が鳴り響く中、屋根裏の空間も3次元スキャンを行いました。

屋根裏には鮮やかな緞帳が残っていました。


(2)フォトグラメトリ

xRと建築の未来を考えるコミュニティ「xRArchi(イクスラーキ)」から、藤原さんと長坂さんが駆けつけてくれました。フォトグラメトリとは、360度あらゆる方向から撮影した写真をコンピューターで解析し、3Dモデルを立ち上げる技術です。カメラやスマートフォンなどで撮影した写真から生成が可能なことや、PCやフォトグラメトリ用のソフトが高性能化してきていることから、スキャナーなどの特殊な機械がなくても3Dモデルが作れる手法として話題になっています。

フォトグラメトリで作られたお二人の作品はこちら。

銭洗弁天VR(制作:藤原龍)、Takanawa Underpass(制作:長坂匡幸

少しずつ移動しながら、大量の写真を撮っていくxRArchiのメンバー

フォトグラメトリによって3Dモデル化された市民会館のロビー


(3)ドローンによる空撮

特徴的な屋根の形状や構造を記録するため、ドローンによる空撮を実施し、上空からの三次元計測とそのデータを使った解析を行いました。空からの撮影では、福岡大学工学部社会デザイン工学科で測量関連の助手を務める大隣さんにご協力いただきました。大学では緑地管理にドローンを活用する研究を行っています。計測の日はあいにくの大雨でしたが、雨が止んだ一瞬を狙い、高度な飛行スキルで屋根の上を満遍なく撮影しました。

ドローンによって特徴的な屋根の形状を上空から撮影

雨が止んだ瞬間を狙って撮影。空を飛ぶドローンは近所の小学生達にも人気者でした。


◆撮影した写真の総数は10,000枚以上。各チームでデータの解析がスタート。

現地計測を終え、早速、各チームで取得したデータの確認・解析が始まり、データのやり取りや試行錯誤も含めたノウハウの交換がオンラインで日々行われています。現地では7月23日より解体作業が始まり、建物は仮囲いに覆われ始めましたが、物理的な市民会館の解体が進む一方で、デジタルの市民会館は着々と生成が進んでいます。

撮影した10,000枚以上の写真を解析し3Dモデルを生成する。


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「旧都城市民会館 3D Digital Archive Project 〜計測編〜」は無事に現地での3次元計測を終えましたが、今後も「〜3Dモデル生成編〜」として、点群データの公開に向けたデータ解析が続いています。

デジタルデータの活用に関するトークセッションや、点群データから建物のウォークスルーをつくるワークショップの開催もございますので、どうぞお楽しみに!

引き続き、活動へのご支援どうぞよろしくお願いいたします!