はじめに・ご挨拶
はじめまして。今回このプロジェクトを立ち上げた秋山真一と申します。
僕は山梨県の富士吉田市という、富士山のふもとにある人口5万人ほどの街で暮らしています。
富士山と共に歴史を歩んで来たこの街には、御師(おし)と呼ばれる古くから続く家が存在しているのをご存知でしょうか。
古くは室町時代から、遠路より富士山を目指してこの地を訪れた人々を迎え、宿坊としてその人たちに宿を提供し、登山の無事を願って祈りを捧げてきた。それが御師の家です。
富士吉田市にはかつてはそうした御師の家がたくさん存在していました。
僕はその御師の家の一つである「菊谷坊」を再興させるため、このプロジェクトを立ち上げました。
このプロジェクトで実現したいこと
このプロジェクトの目的を簡単に言えば、富士登山のかつての歴史と文化をたくさんの人々に伝えるため、菊谷坊という御師の家を「複合型の体験スペース」として再興させることです。
そこで体験できるのは、かつてあった富士山にまつわる様々な文化。
例えば富士登山者が食べていたご飯であったり、着ていた服装であったり、読み上げた書物であったり。
現在とは大きく違う、過去に富士山に登っていた人々が見た景色を体験できる場所にしていきます。
そんな場所を富士山の北の玄関口である富士吉田に作ることで、日本一高い山というだけではない富士山の別の魅力を、多くの人に伝えていくこともこのプロジェクトの目的です。
プロジェクトを立ち上げた背景
年々減っていく御師の家と、忘れられていく文化を守りたい。
この写真は大正時代の富士講の方々を写したものです。
御師の家と歴史的に深い関係にあり、信仰による登山のために永きに渡って富士山を訪れていた人々、それが富士講です。
その興りは室町時代まで遡ります。江戸時代に入ると町人や農民などの一般の民衆の間に爆発的に広まり、江戸を中心として関東一円にこうした信仰登山をするための富士講がたくさん作られることとなりました。
そして富士山に登るために各地からやってきた富士講の方々を、富士山の玄関口である、いまの富士吉田でお迎えしていたのが「御師の家」です。
こちらは大正時代の御師まちの様子。
江戸時代から昭和初期にかけて、御師の家が軒を連ねる御師まちは富士講の方々で大変にぎわっていたとされています。しかし時代とともにその様子は変わっていきました。
近年の富士登山のレジャー化や、五合目までの直通道路である富士スバルラインが開通したことなどの影響で、そのにぎわいはしだいに過去のものに。
“江戸八百八講、講中八万人” とまで言われた富士講は急激にその数を減らし、最盛期は90軒近くあったとされる御師の家も、その姿を今に留めているのはわずか数件しかありません。
菊谷坊も当時の建物こそまだ残っておりますが、かつて多くの富士講の方を迎えていた往時のにぎわいはありません。
昨年、また一つかつて富士講を迎えていた御師の家の建物が、老朽化のため取り壊されてしまいました。現代形式の住宅へと建て替えるためです。
このままでは消え去ってしまうかもしれない御師の家とその文化を守り、現代に伝えたい。そのためにこのプロジェクトを立ち上げました。
御師の家ってどんな家?
御師の家は富士山に登るためにこの地を訪れた人々に宿を提供し、心身を清めるためにご祈祷を捧げ、食事などのお世話をしていました。現代風に言えば神職と宿屋を合わせたような職業です。
元々は「御祈祷師」の御と師をとって御師になったと言われています。
今回オープンする御師「菊谷坊」は昭和の中期までたくさんの富士講の方々を迎えていました。そのため家屋も昔のまま残っているところが多く、家の中には「ご神前」と呼ばれる神社を模した屋根付きの祭壇のある部屋も残されています。
菊谷坊の座敷です。昔はこちらに50人ほどが雑魚寝していたこともあったとか。
「マネキ」と呼ばれるもの。今でいう旗のように使い、富士講社ごとに違う色や図案を使っていました。富士講社の方々が御師の家に来られると、そこへ来た証として奉納していったそうです。
こちらがご神前と呼ばれる部屋です。家の一部が小さな神社のようになっており、菊谷坊に宿泊した富士講の方々はこの部屋でお祓いや祈祷を受けていったと伝わっています。
御師の家「菊谷坊」のある富士吉田市のご紹介
富士吉田市は富士山の北側に位置し、富士登山の玄関口として栄えてきました。現在でも吉田ルートは富士登山ルートの中で最も登山者数が多く、富士山と縁の深い街です。
上の写真は街の観光名所である「忠霊塔」ですが、この場所をはじめ近年は外国人観光客への人気が高まり、少しずつ国際色のある街となっています。
晴れていれば街のどこからでも富士山を見ることができ、東京から来られた方にはそれだけで驚かれることも。
富士山を身近に感じられる、この街の魅力も一緒に伝えていきたいと思います。
プロジェクトメンバーの紹介
僕と一緒に共同でプロジェクトを進めてくれているメンバーを紹介します。
ーー以下、桑原淳より寄稿ーー
■挨拶と自己紹介
皆様、こんにちは。
はじめまして。今回、御師の家 菊谷坊の再興プロジェクトの立ち上げに共同で携わらせていただく、桑原淳と申します。
まずは簡単に自己紹介させていただきます。
富士吉田で生まれ育ち、高校卒業とともに美容師になることを目指し上京しました。
2014年、25歳で美容室を退社しハサミを持って世界一周の旅へ。
各地で1000人の髪を切ることを目標に旅を続け、最終的には世界39ヶ国で1301人の髪を切り終え帰国。
その後東京にてビールが飲める美容室をオープンし、旅のブログが書籍化しました。
2018年、故郷である富士吉田市に戻り世界から集まる旅人を受け入れるべく【サムライゲストハウス】【遊べる居酒屋俺っち】【ほうとう&吉田のうどん作り体験教室】をオープンし、日々様々なお客様に利用いただいています。
そして今回、より富士吉田の歴史と文化を国内のみならず世界の多くの人に知っていただきたいと思いプロジェクトを立ち上げることとなりました。
■プロジェクトにかける想い
僕は世界の様々な国と地域を巡り、多種多様な文化に触れてきました。
ただの観光ではなく、髪を切ることでより現地に溶け込むことができ、様々な人と話をしてきました。その中で幸運なことに普通じゃできないような"体験”もたくさんさせてもらいました。
ペルーの美容学校でカットを教えたり、チリの大学の先生をさせてもらったり、トルコのお土産屋さんを手伝ったり。
体験をすることでその国の文化や歴史や生活、そして人々の考え方もより深く知ることができました。
その特別な経験から、自分も日本に帰ったら【日本の文化体験】をテーマに活動していきたいと当時から考えており、現在は郷土料理作り体験などを行っています。
今回の御師の家再興プロジェクトを立ち上げたのにはそういった背景もありますが、一人の地元の人間として一人の日本人として純粋に「この日本一の富士山の文化をもっと知ってもらいたい」という想いが強くあります。
意外と知られていませんが富士山は世界自然遺産ではなく世界”文化”遺産として登録されています。美しい景観もとても素晴らしいのですが、富士山と共に歩んできた文化は富士山を語る上でより重要であると考えています。
古来より富士山は信仰の対象であり、聖なる山として崇められ、多くの人にとって大切で、なくてはならないものでした。御師の家はそういった富士山の文化の中心的存在であり、ともに歩んで長い歴史がある重要な文化です。
しかしテクノロジーの進歩や近代のレジャーとしての登山カルチャーにより、現在は残念ながら衰退してしまい、現存する御師の家はごくわずか。
平成から令和へと時代が移り変わり、目まぐるしいスピードで様々なことが変化したり消えていく世の中ですが、伝統ある重要な文化や歴史は決して失くしてはいけないと思っています。
なので室町時代より続くこの富士山と御師の文化を再興し次の世代に伝えていくこと、またそれを”体験サービス”として多くの方に実際に触れていただくことに大きな意味があると考えています。
そして、新しい観光スポットとして富士吉田を訪れる旅人にとって思い出に残るような場所になれれば幸いです。今回のプロジェクトを支援していただける方にはリターンとして【サムライゲストハウス1泊提供】【ほうとう作り体験】【桑原淳と行く富士吉田御師まち散策】を設定させていただいております。
ぜひ富士山と御師の文化を知っていただき、支援していただけると嬉しいです。
ーー寄稿終わりーー
資金の使い道・実施スケジュール
いただいた資金の使い道は以下の通りです。
▶︎文化財展示のためのケース設置
菊谷坊に残る富士講の隆盛した当時の道具や資料などを多くの方に見てもらえるように、建物内に展示のための設備を整備します。
▶︎施設の修繕
老朽化が進む菊谷坊の建物の修繕費用の一部にします。
▶︎その他雑費
体験スペースとしてオープンするために必要な備品を整備します。
実施スケジュールについては7月中にオープンを予定しています。
リターンのご紹介
リターンには御師の家菊谷坊で体験できる様々なことをご用意しています。
富士講の方々が着ていた白装束「行衣(ぎょうい)」の着用体験や、「牛玉(ごおう)」と呼ばれる富士講社の方々に配っていたお札を刷る体験など、昔の文化に触れると同時に、純粋に楽しむことができるものをご用意するつもりです。
最後に
少しずつ姿が消えつつある富士山と御師の文化を、誰でも楽しく体験できる場所を作ろうと思っています。
どうかご支援よろしくお願い致します。
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
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