2019/07/27 10:08

僕が名作だと思うマンガの一つに

福本伸行さんの『天 ~天和通りの快男児~』

という作品があります。

 

これ、全体的に面白いのですが、

特に最終章が秀逸。

 

何がすごいかって、麻雀マンガなのに

一切麻雀が出てこない!(笑)

 

麻雀が出てこないなら、何を描いているのかと

いうと、“アカギ”というキャラクターの葬儀の

模様がひたすら描かれます。

 

 

この“アカギ”こと赤木しげるがとにかく

スゴイんです。

 

彼は並外れた度胸と強運の持ち主で、

麻雀・ギャンブルの天才として描かれてます。

 

口数が少なく常に冷静で、自らの信念には

命をも賭け、狂気じみた熱さを持ち、

数々の修羅場をくぐりぬけた伝説の雀鬼。

 

 

最終章は、そんなアカギの葬式が催されると

言うことで、以前彼と麻雀で戦った仲間や

対戦相手たちが全員集まります。

 

しかし、一通り葬式が終わった後、

驚くべきことに彼は平然と姿を現します。

 

そう、アカギは死んでなかったのです。

 

 

ところが、アカギは同時に

「数時間後に死ぬ予定である」ことを

明かします。

 

体は五十代で健康そのものでも、

アルツハイマーにかかってしまい記憶が

どんどん失われていっているとのこと。

 

何もわからない状況で生きながらえるよりも、

最後の一瞬までアカギとして死ぬために彼は

『安楽死』を選びます。

 

 

小さな部屋で、スイッチ一つで点滴から

安楽死する薬剤が流れ込んで死ぬ仕掛けを

整えたアカギ。

 

彼は、そこで集まった一人一人と順番に

最後の会話を交わし、その後に死ぬと

淡々と宣言します。

 

集まったメンバーとしては、言葉を尽くして

止めようとするものの、逆にそれぞれが 

 

「お前はなぜ生きる?」

「お前にとって生とは何だ?」

 

ということを突きつけられ、一人ずつ説得に

失敗していきます。 

 

 

・・・こう書いていくと、とっても暗い話の

ようですが、この話のラストはとても希望に

あふれるもので、僕はとっても好きです。

 

最終的にアカギは死んでしまいますが、

アカギ亡き後、仲間たちは生きてる時以上に

 

「アカギさんだったらどうしたかな…?」

「アカギさんと比べたらまだまだだ…!」

 

とその存在を近くに感じていきます。

 

だから読み終えた後、不思議と悲しい印象は

残りません。

 

 

『上を向いて歩こう』を作詞した

永六輔さんはこんな名言を残しています。

 

「人って言うのは二度死ぬんだよ。

個体が潰えたら一度目の死。

そこから先、まだ生きているんだ。

 

死んでも、誰かが自分のことを思って

くれている。

誰かが、自分のことを記憶に残している、

時折語ってくれる。

これがある限りは、生きている。

 

そして、この世界中で、誰一人として

自分のことを覚えている人がいなく

なったとき、二度目の死を迎えて人は

死ぬんだよ」

 

 

これを『肉体の死』と『存在の死』と言うなら、

『存在の死』を避ける方法が、僕は音楽であり

作品だと思っています。

 

音楽で『肉体の死』は防げない。

 

でも「肉体亡き後も多くの人に自分の存在を

留める力」として、音楽以上に大きな力を

持ったものってないんじゃないか。

 

 

生きた証を、遺そう。

 

誰かの心の中で、生き続けよう。

 

音楽の使命はもっともっと大きい。

 

今回のキャンペーン、そしてCD制作を通して

そんなことを感じてもらえたらと思っています。

 

 

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