ご覧いただきありがとうございます。今回は宇宙機の熱制御についてお話しします。こちらは私の扱っている断熱材と少し近いものとなっています。ぜひ読んでいただきたいです!
宇宙開発といってもいくつかの種類に分類できます。
①ロケット
②人工衛星
③宇宙ステーション
④月・惑星探査
大まかに分けると上記のように分類されます。これらすべてのものに断熱材は非常に大切となってきます。
宇宙空間は空気がない分太陽光を受けることで熱が直接宇宙機に入ってしまうためものすごく熱くなってしまいます。逆に影になっている部分は熱が入ってこないのでものすごく冷たくなってしまいます。太陽光がない状態の宇宙空間の温度は-269℃(絶対温度4K)です。
宇宙機(地球の周りにあるもの)に入る熱としては、①直接入る太陽光、②アルペド(地球に入った太陽光が反射して宇宙機に入ることをアルペドと言います。)、③地球赤外放射(地球から放出される赤外線が宇宙機に入っていきます)の3種類です。
伝熱(熱が伝わること...そのままですね笑)のメカニズムをお話しします。
①熱伝導:固体中の熱移動のこと。お鍋に火をかけると、火が当たっていない部分も時間が経てば暖かくなりますよね。それは熱が高いところから低いところに移動するからです。どうして移動するのかというと、固体には自由電子といって、電子が自由に動けるものがあります。熱を加えることによって電子がエネエルギーを得て自由に動き出します。その動きが徐々に動きが活発でないところにまで到達するので、熱は高いところから低いところに移動します。
②対流:固体表面と接する流体との熱移動のこと。流体とは流れる物質(ここでは空気や液体を表します)のことです。宇宙空間には液体も気体もないので宇宙空間では関係ありません。
③放射:電磁波による熱移動のこと。温度に応じて物体は電磁波を発しています。例えば、手と手を近づけたときに温かさを感じますよね。これは両方の手が電磁波を放出していて、それを感じているから暖かいと感じるのです。
④相変化:物質の相変化による熱移動のこと。気体から液体に変わるとか、液体から気体に変わるとかといった相変化をするときに吸熱、発熱することで熱が移動しているということです。こちらも宇宙空間では関係ありません。
以上が大まかな熱の移動のメカニズムとなっています。では、次にどうして熱制御を必要とするのかについてお話しします。
パソコンを思い浮かべて欲しいのですが、パソコンをずっと使っていたり、負荷をかけ続けていたりするとパソコンは熱くなりますよね?もちろんスマートフォンとかの電子機器も同様です。これは電子機器を動かすと電気エネルギーを電子回路を動かすのに利用しているのですが、100パーセントの効率で使用することはできないため熱エネルギーとして消費されてしまうからです。パソコンが熱くなったとき、ものすごい勢いでファンが回っていませんか?スマートフォンが熱くなりすぎたときに、熱すぎるからストップしますと表示されませんか?これは電子回路が熱に弱いからです。もし熱いまま使用すると、機能異常を起こしたり、寿命が低下したり、安全性が保証されなくなってしまったりするのです。そのために、熱制御というものが存在します。
では、宇宙機ではどのような対策をしているのかについてお話しします。
①受動型熱制御システム:放射熱と伝導熱を制御するシステム
②能動型熱制御システム:放射熱制御、伝導熱制御、発熱制御、流体伝熱型熱制御、冷却制御
の二つに分けられます。
中でも最も有名なものとしてヒートパイプが挙げられます。
一般的なヒートパイプとは、相変化を利用した熱制御システムで毛細管現象を利用しています。ものすごく細い管に冷媒を入れたヒートパイプを電子機器の近くに置くことで、ヒートパイプに伝わった熱が外に排出されるという仕組みです。
ヒートパイプにもたくさんの種類があり、いまだに研究され続けているものです。ご興味がございましたら、「ヒートパイプ」でご検索いただければたくさんの論文が出てきます。日本語のものもございますので、ぜひご覧になってください。
ものすごく長くなりましたが、最後までご覧くださりありがとうございます。
本文の方をクリックしてみていってください!ご支援いただけたり、拡散してくださるとものすごく嬉しいです!ありがとうございました!