はじめに・ご挨拶
ナガサキの郵便配達制作プロジェクト代表の齋藤芳弘です。生業はグラフィックデザイナー、主に広告キャンペーンのアートディレクションの仕事をしてきました。40歳の頃から自分の作りたいと思う本を作り始め、50歳を過ぎて写真撮影の仕事もやり始めました。今までにフランスの三つ星シェフのレシピブックや、伝えたい日本の美しいものシリーズでぽち袋や帯留め、豆皿などの本を出版しました。また、歌舞伎俳優の四代目市川猿之助さんの舞台写真を10年間、全公演を撮り続けています。
ここ数年は活字の本を出筆したり、日本ペンクラブ会員として沖縄や、松本などで平和の集いなどのイベントに携わっています。2014年から、デザイン事務所で蒐集した6000冊に及ぶ書籍を公開して、ブックカフェも開いています。
↑ブックカフェ・エスパスビブリオの店内風景
↑スーパーエディションが上梓した書籍の一部
左から「伝えたい日本の美しいもの」シリーズ、帯留め、ぽち袋、豆皿、和花、
レストランよねむら、ギーマルタンの芸術
プロジェクトをやろうと思った理由
友人の映像作家川瀬ミカさんから絶版になっている「ナガサキの郵便配達」のお話を聞いたのが始まりです。すぐにネットで探し、1985年にフランス語から翻訳され早川書房から出版された本を購入して一気に読みました。1946年8月9日、長崎の地で郵便配達の途中に被爆した16歳の谷口稜曄少年の生死を彷徨う凄惨な被爆体験とその後の人生を通じて、原爆の恐ろしさ、戦争の怖さ、虚しさが書かれ、戦争に突き進んだ日本政府と軍部、はからずもその戦争の後押しをした日本国民。そしてポツダム会議を経て、何故アメリカが降伏直前の日本に2度にわたって原爆を落とすに至ったのか。原爆を投下する直前のコクピット内のパイロットの心の高揚や会話、さらに日本軍が降伏に至った御前会議における天皇陛下と軍部の発言など、客観的事実とドラマチックな物語部分とが織りなすドキュメンタリー物語です。
私にとって書かれている全てが始めて知る事ばかりで、唯一の被爆国である日本人としてこの歳になるまで、こんなことも知らなかったという恥ずかしさにもにた新鮮な驚きと感動に溢れました。この本を平和の教科書として全国の高校生に読んで貰おうとの思いを抱き、2014年に長崎の被団協の事務所で日本原水爆被害者団体協議会代表委員の谷口稜曄さんその人とと始めてお目にかかり、84歳とは思えない谷口さんのキラキラとした少年のような眼差しで、フランス語からの翻訳ではなく英語の原書からの翻訳で復刊して欲しいと依頼され、この人のたどってきた被爆者としての人生のために自分の出来る事は何でもしたいと改めて思いました。
そして、紆余屈折はありましたが2017年8月9日、長崎の原爆祈念日に初めて英語からの完全邦訳版を出版する事が出来ました。残念ながら本が出版される1年前に、谷口さんは旅立たれてしまいました。悔やまれて仕方がありませんが、きっと天国で再会されている原作者のピーター・タウンゼントさんと谷口稜曄さんのためにも、この本を世界中の人々にお届けしたいと誓いました。
制作費のほとんどを全国の皆さんのご支援で賄って作り続けるサスティナブルな出版活動のスタートです。2017年の長崎の原爆平和祈念日には、イギリスから原作者ピーター・タウンゼントさんの娘さんで著作権者のイザベル・タウンゼントさんをお招きして記者会見も開き、色々なメディアで紹介していただきました。昨年は長崎市内20数校の高校生に3150冊を寄贈する事が出来ました。
今年も9月、10月にイザベルさんと一緒に「ナガサキの郵便配達」を広めるキャンペーン活動をします。今年はいよいよ原爆保有国5ヶ国の言語で出版する壮大な夢に向かってスタートします。
↑2018年8月8日完全邦訳版出版の記者会見会場
↑1984年イギリスで出版された英語版とフランス語版。
フランス語版から翻訳された日本語版。2018年に始めて英語の原書から翻訳された日本語版。
英語版とフランス語版では、章立てと内容が違っていた。
↑朝日新聞、読売新聞などに掲載された記者会見の記事と、
長崎市内21校に本書を寄贈した様子を伝えた長崎新聞。
このプロジェクトで実現したいこと
2018年、ノーベル平和賞を受賞したI CANの川崎さんにお目にかかる事が出来、「英語版の出版が出来れば、世界中の人々に原爆の恐ろしさを伝える事が出来ますよ」とアドバイスをいただき、そこで思いついたのが、日本語版だけに留まらず、英語版、いや、核兵器保有国のアメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリス、インドのNPT批准5ヶ国の言語で翻訳し、出版すると言う壮大な計画です。アメリカとイギリスは英語、インドはヒンズー語、あとは中国語、フランス語の五つの言語です。
日本語版の出版より、さらにお金と時間のかかる大変な仕事になります。翻訳者と各国の出版社探し、印刷と製本はクオリティを考えると出来れば日本でしたいと思います。
その思いは日増しに膨らみ、幸い国際ペンクラブの副会長で、ここ数年ヨーロッパを中心に広島・長崎の原爆シンポジウムをワークショップのようなカタチで開催していた作家の堀武昭さんにご相談したところ、すでにスロベニアペンクラブが「スロベニア語のナガサキの郵便配達」を作りたがっているから、5大国の言語版も実現しましょうと意気投合しました。
いま、I CANの主導で国連の核兵器禁止条約の批准はされたものの一方で、米露の対立から核軍縮とは逆方向の動きも出始めています。核兵器保有国の言語版「ナガサキの郵便配達」が出版出来れば、この動きに歯止めを掛けることも出来るはずです。
いま、国連の軍縮部のトップは中満泉さんという日本人女性です。彼女にも英語版の出版を即されています。
各国に働きかけていただき、何とか実現したいと考えています。
↑核兵器保有国の言語版の表紙
イメージ右から3番目のスロベニアは、核兵器保有国ではありませんが、
スロベニア・ペンクラブの要請で出版します。
右から2番目の英語版は、8月中の完成を目指しています。
これまでの活動
自分の企画による料理本や、歌舞伎俳優の写真集、古伊万里の豆皿のコレクションの本など数多くの編集、エディトリアルデザイン、そして出版の仕事に携わってきたことで日本ペンクラブの会員に推薦され、ここ数年、日本ペンクラブ平和委員会に所属して日本各地で平和イベントを開催してきました。
広島と長崎、二度の原爆投下を経験した唯一の被爆国、沖縄の基地問題、福島の原発事故、その他たくさんの自然災害に毎年見舞われる日本の課題は数多くあります。幸いにも日本は戦後70年間、戦争に参加することなく過ごしてきました。憲法九条のおかげかもしれません。
しかし、この平和が少しづつ侵されているようにも思います。にもかかわらず各地で平和の集いを開催して思うのは、若者の参加が非常に少ないことです。
昨年は長崎の純心女学校で市内20数校を代表していただき「ナガサキの郵便配達」3150冊の寄贈式をする事が出来ました。この本が戦争を知らない若い方達にとって平和の教科書として読み繋ぐことで、戦争の放棄を謳った日本国憲法九条の精神に少しでも役立つこと願っています。
↑日本ペンクラブでの平和活動のポスター
資金の使い道
各国語の翻訳者を探し、日本で見つからなければその国に出向くことにもなります。
渡航費用や滞在費。翻訳料、印刷代、製本代、部数は最初から多くは刷らずに様子を見て徐々に増やすつもりです。利益は目的とはしません。
ただし、サスティナブルに作り続けるためには売れた本の僅かな利益をつぎの印刷代に回していかなくてはなりません。一言語あたり1000冊の制作費は、およそ200万円、5ヶ国の言語版だと1000万円となりますが、始めに570万円を計上してスタートしたいと考えました。
リターンについて
リターに関しては、この書籍をメインに、今後作る、朗読版のCDブックやナガサキの郵便配達組曲のCD。私が、撮影、構成、アートディレクションをしたフランス三つ星シェフのレシピブックなどを用意します。
実施スケジュール
各国語版の制作にあたり、まず英語版を8月中に出版したいと考えています。他の言語版は同時並行で進め、一ヶ国語ずつ完成出来次第にイベントを開催して発表して行く予定です。なるべく早くスタートしたいと考えています。
最後に
平和の教科書「ナガサキの郵便配達」をあなたの手で世界に読み繋ぐプロジェクトに参加してください。あなたのご支援が世界の誰かの手に渡る平和の教科書の一冊となり、世界の平和活動に参加する事になります。
本プロジェクトは、All-in方式です。目標金額に満たない場合でも、英語版の出版からスタートし長い旅立ちが始まります。
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