2019/08/28 11:06
日本の〈街の本屋〉が、アジアの本屋から学ぶこと。


 これからの〈街の本屋〉はどうすべきだろうか。この問いに答えを出そうと、多くのひとの努力にもかかわらず、いまだ正解は見つかっていないように思います。しかし一方で思うのは、私たちが本屋について語ろうとするとき、経営的・経済的な視点に偏ってしまいがちなことです。その前に、私たちはこんな問いに向き合う必要があるのではないでしょうか。それは、「なぜ、本屋なのだろうか」ということ。書店にとっては「なぜ、本屋をやるのだろうか」、読者にとっては「なぜ、本屋に行くのだろうか」。これらの問いに答えるためのヒントが、隣国・韓国、香港、台湾にあります。日本ほどに自由ではなかった国の本屋は、どうしてきたのだろうか―――。

 イベントでは、『本屋がアジアをつなぐ』(ころから刊)に登場する書店の様子をおさめたスライドを交えながら、著者の石橋毅史さんにアジアの本屋を取材したときの様子を振り返っていただきます。また、会場である街の本屋石堂書店の店長・石堂智之さんと、同書店の二階に拠点を置く三輪舎の中岡祐介との鼎談で、これからの街の本屋について語っていきたいと思います。


シリーズ〈暮らしの街で本と本屋を考える〉について


 本屋はかつて、暮らしの一部でした。
 週刊誌や月刊誌を買うために、 または話題の書籍やコミックを買いに、 どこの街にも一軒は営業していた「まちの本屋」へ、 多くの人が定期的に足を運んでいました。しかし、 ネットとスマホが普及したことで、 雑誌や本を本屋で買う人は少なくなりました。 営業を継続してほしいという多くの声は、 けして後押しになることはなく、私たちの生活から、 本屋は徐々に消えつつあります。
 私たち石堂書店もまた、「まちの本屋」です。暮らしの街・ 妙蓮寺で70年間、地道に営業を続けてきました。しかし、 時代が急速に変わりゆくなか、 私たちにもそろそろ変化が求められています。 地元のお客さんにとってあるべき「まちの本屋」 の姿とはどんなものか。自分たちの役割を定義しなおそうと、 地域のひとたちと様々な取り組みをはじめています(詳しくは「ま ちの本屋リノベーションプロジェクト」へ)
 その取組のひとつとして、〈暮らしの街で本と本屋を考える〉 という連続トークイベントを企画しました。「本」「本屋」「街」 というテーマで毎回著者や関係者をお呼びして登壇いただき、 トーク・セッションやディスカッションをおこないます。


登壇者について


石橋 毅史
1970年東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。出版社勤務を経て、出版業界専門紙「新文化」の記者、編集長を務める。2010年フリーランスとなる。著書に『「本屋」は死なない』(新潮社)、『口笛を吹きながら本を売る』(晶文社)、『まっ直ぐに本を売る』(苦楽堂)、『本屋な日々 青春篇』(トランスビュー)など。『「本屋」は死なない』が台湾で閲読職人大賞(2013年)を受賞している。

石堂 智之
石堂書店 店主。1980年生まれ。大学卒業後は朝採れ野菜の配達、飲食業などをしていたが、実家の事情で地元の妙蓮寺に戻った際に、地元の人たちの温かさに触れたことをきっかけに家業の石堂書店の3代目を継ぐことになる。地域に根差し、本を介して人と人をつなぐ場づくりを目指している。まちの本屋リノベーションプロジェクト代表。

中岡 祐介
株式会社三輪舎代表、編集者。1982年生まれ。カルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱に8年間勤務後、子どもの誕生を機に三輪舎を2014年に開業。〈おそくて、よい本〉をモットーに出版・編集した書籍に『本を贈る』など。2019年8月より妙蓮寺の街の本屋「石堂書店」の二階に事務所を引っ越すとともに、「まちの本屋リノベーションプロジェクト」を立ち上げる。


開催概要

日 時 2019年9月13日(金)19:00開場/19:30〜21:30
会 場 石堂書店(横浜市港北区菊名1丁目5−9)
最寄駅 東急東横線・妙蓮寺駅徒歩2分
入場料 1,200円 ※石堂書店にて本書を購入される方は1000円(書籍は石堂書店店頭で別途ご購入ください)
申 込 peatix、または店頭にてお申し込みをお願いします。
主 催 石堂書店/三輪舎


入場について

チケットはpeatixまたは石堂書店店頭で購入できます。
参加費は1200円(税込)ですが、石堂書店店頭で当該書籍を購入された皆様は200円引き(1000円)となります。
「入場チケット+書籍購入割引(200円引き)」を選んだ方は、当日の開催10分前までに石堂書店店頭で書籍を購入してください。