今更ではあるのですが、本プロジェクト指導の発端となる私自身の考えについてまとめた企画書の一部を、こちらに掲載させていただきます。ご参考になれば幸いです。
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現在の登山人口、ひいては登山ビジネスのターゲットの大きな割合を占める高年齢者層が、さらなる高年齢化に伴って、近い将来登山から徐々にリタイアしていき、市場規模が縮小することが懸念されています。
また近年の若年層は、これまでの消費者層に比較して物欲に乏しい傾向があり、特にインターネットによる情報収集により効率・コスパを重視するようになっており、高価な商品をあまり購入したがらない傾向が見られます。
ガイドやツアーの利用、山小屋宿泊などの利用率も高年齢層に対して低く、彼らにアプローチする新しい方法の模索が必要になってきています。
そんな中で近年非常に活発になっているのが、漫画やアニメといった「キャラクター・コンテンツ」によるアウトドア・アクティビティへの新規顧客流入です。
『ヤマノススメ』など登山を取り扱った作品や、それに影響を受けて登山を始める人が増えておりますし、それらのキャラクターグッズは人気を博しています。ジャンルは変わりますが、キャンプを取り扱ったアニメ『ゆるキャン△』は多様なグッズ展開の他に、山梨県がコラボをしてたくさんの観光客の誘致に成功しています。
若者文化・インターネット文化全体を見てもキャラクター・コンテンツの勢いは強く、東北の復興支援のために生まれた『東北ずん子』『東北きりたん』などが動画投稿サイトなどで爆発的に人気になったり、キャラクターとYoutuberの間の子である「バーチャルYoutuber」が隆盛し、サントリーなどの企業がプロモーションのために自社オリジナルバーチャルYoutuberを擁立するなど、キャラクター・コンテンツ市場の活発さは眼を見張るものがあります。
そんな流れを受けて、登山そのものをモチーフにしたキャラクター・コンテンツを制作し、登山事業・ビジネスなどの様々な場面に活用できないかと考え、プロジェクトを始動しました。
今回誕生したキャラクター「山案内娘 島々ヤク」は、ヒマラヤ山脈などの高所に生息する登山と縁が深い動物「ヤク」と、チベット・ネパールなどの山岳民族、さらに日本の登山文化の歴史を彷彿とさせるクラシカルな登山装備、日本アルピニズムの発祥の地の一つである北アルプスの玄関口、かの「日本アルプス開拓の父」ウォルター・ウェストンが入山時に拠点に使ったと言われている、長野県松本市は安曇の「島々地区」などを要素に取り込んで制作されました。
デザインもいわゆる「萌えキャラ」のような、アニメファン(オタク)にのみ向けたものではなく、幅広い層へかわいいと受け入れてもらえるようなコンセプトで制作されております。
通常、アニメや漫画のキャラクターはビジネス利用・コラボなどの際に、版権関係や契約がハードルとなることが常ですが、「島々ヤク」はキャラクター利用の規約などを明確化し、簡便・低コストでご利用いただける仕組みづくりを進めています。
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