2017/03/17 00:55

戦後以降、兵庫運河は貯木場として利用されてきました。プカプカと水に浮かぶ丸太は製材され、建材として適材適所で使用できるように加工を施され、使用する箇所に適した形に整えられます。木材を削って形を整えること、それが木材加工所の主な仕事です。

伝統的な日本家屋は、木造の軸組と土壁で主たる構造が構成されており、時と場合に応じて襖や障子で簡易的に間仕切り、ハレとケの空間を演出します。襖や障子には戸車や吊り金物はなく、溝をついた鴨居と敷居の間をすべらせて開閉します。「溝をつく」という削り加工は、最近の住宅ではめっきりと出番がなくなりました。

木材加工を営む工場は年々減少しています。そのため、木材加工技術そのものが貴重なものとなりつつあります。このような状況のなか、兵庫南部地区界隈において、小池加工所は現役で稼働している数少ない工場のひとつなのです。

 



↑小池加工所の内部の様子

 

↑小池加工所で加工してもらった無垢材削り出しの取手

 

2016年6月に小池加工所を会場として開催された1日限定のアートイベント・FILMLESS CINEMA LIVE CONCERT 「ことばの舟着き場」では、絵と音と、言葉のユニット・repairによる生演奏コンサートと、黒田武志、江崎武志、ka-ji- によるインスタレーション展示がおこなわれました。普段は即物的な町工場でも、空間演出を施すことで魅力的なアートスペースに変身することがわかりました。



↑2016年6月に実験的におこなった「ことばの舟着き場」repairの演奏の様子
 (※FILMLESS CINEMA フェイスブックページより転載)



↑「ことばの舟着き場」のインスタレーション展示の様子


小池加工所に限らず、町工場がもつ技術は、貴重な地域資源のひとつです。こういった地域資源をネトワークとして活用していくことが、マルナカ工作所プロジェクトの重要な役割のひとつと考えています。


ことばの舟着き場
http://filmless.businesscatalyst.com
https://www.facebook.com/filmlesscinema.repair/