目標額100%達成を受けて、制作進行のAさんから(2019.11.26.追記)
みなさん、こんにちは。今回スタジオ4°Cを提訴することになりました。原告のAです。現在クラウドファンディングは100%を達成することができました!
皆様の支援の意思、ほんとうに嬉しく思います。心よりお礼を申し上げます。自分の予想のはるか上をいく反響をいただいております! 正直いろいろと行動を起こすのはなかなか怖くて毎回不安とおっかなびっくりでやっていますが、これだけ声をいただけるだけでも勇気を出して良かったなあ、と思えました。それはなにより皆さんお一人おひとりのおかげです!
支援いただきましたお一人おひとりの気持ちを想像すると、僅かにでもこれからのアニメに関してポジティブななにかを感じることができます。みなさんの気持ちが、他の何よりもこれからのアニメにとって、そしてこれまでのアニメにとって大事なものだったのだなあ、と生意気にも実感しています。
いよいよこれから裁判も開始し戦いが始まります。この戦いの始まりが未来のより良いアニメ業界の始まりであり、皆さんの支援が確実にその傍らにあった、そんなふうに振り返ることができる未来を一生懸命目指します!
もちろん今回のクラウドファンディングの後も、このあと自分の事件が終わったあともアニメという場はいろんな意味で戦いがしばらく続くのだろうと、自分は予想しています。アニメ業界はいま変化のときなのです。
クラウドファンディングの締め切り日までもう幾日かあります。ここまでいただいた支援からさらにみなさん一人ひとりの声を社会的な声として大きくするために、どうか最後まで情報を拡散していただいたり、支援いただきこの戦いに参加していただければと思います。
それは必ずこのあと具体的に戦いをするもの人たちの力になります。自分よりあとにも続いていく人は必ず現れます!
はじめに・ご挨拶
こんにちは。様々な業界で働く若者を支援し、団体交渉や訴訟支援をつうじて労働問題解決を支援する労働組合・総合サポートユニオンの坂倉と申します。
総合サポートユニオンでは、業種を超えてブラック企業問題に取り組むブラック企業ユニオン、業界の労働条件に取り組む介護・保育ユニオン、私学教員ユニオン、自動販売機産業ユニオン、エステ・ユニオン、学生のブラックバイト問題に取り組むブラックバイトユニオン、労災の問題に取り組む労災ユニオンなど、様々な業界・社会問題ごとにユニオンの支部を立ち上げて、企業や業界の労働問題を改善してきました。
近年、総合サポートユニオンには、アニメーション制作やデザイン・映像制作など、クリエイティヴ業界の労働相談が多く寄せられています。
そんな中、2019年10月10日に、映画『海獣の子供』『鉄コン筋クリート』などで知られるアニメ制作会社STUDIO4℃で働く制作進行の20代の男性Aさんが総合サポートユニオンに加盟、長時間労働と残業代未払いの現状に疑問を感じ、同社を提訴しました。事件の詳しい経緯はこちらをご覧ください。
彼が特に問題にしようとしたのが、「裁量労働制」の違法な適用でした。
クリエイティヴ業界に蔓延る「定額働かせ放題」制度=裁量労働制の悪用
クリエイティヴ業界の長時間労働・賃金未払いの手口として最も深刻に蔓延している制度の一つが、裁量労働制です。裁量労働制は、1日何時間という「みなし労働時間」をあらかじめ決めることで、実際の労働時間にかかわらず、そのみなし労働時間分のみ働いたものとして扱われる制度です。
もし、1日のみなし労働時間を8時間と決めていれば、実際に1日15時間働いたとしても、8時間分の業務しか行ったことにしかなりません。何時間働いても残業代を払わなくてよく(深夜割増と休日割増は必要です)、「働き方改革」で定められた残業時間の上限規制にも囚われなくてよくなります。このため、裁量労働制は「定額働かせ放題」制度とも批判されています。
理想的に運用されれば、裁量労働制は、1日1時間しか働いていなくても、みなし労働時間分(上記の例で言えば8時間)の賃金が払われる制度です。何時に出勤・退勤しても自由のはずであり、業務に上司からの指示を受けないことになっています。このように、裁量がある労働者にとっては理想的なはずの制度です。
本来、裁量労働制は、業務内容や業務の進め方に「裁量」がある労働者にのみ認められています。しかし、実際には裁量のない労働者に対して「定額働かせ放題」制度として悪用され、「働き方改革」の合法的な抜け道にすらなってしまっています。
裁量労働制の悪用に対する総合サポートユニオンの実績
こうした違法状態を改善すべく、私たち総合サポートユニオンでは、裁量労働制の問題に取り組むべく、2017年に裁量労働制ユニオンを立ち上げ、50件を超える相談を受け、団体交渉を通じて過去の裁量労働制の適用を否定して残業代を払わせたり、裁量労働制を廃止させるなどして、事件解決に取り組んできました。
しかし、実際に相談を受けて企業ごとの改善はしてきましたが、裁量労働制を適用している企業は非常に多く、表面化しないところで違法な運用がまかり通っています。
その理由の一つとして、裁量労働制には、具体的な業務内容や業務の進め方についての詳細なルールがほとんどないという事情があります。そこで私たちは、裁量労働制の悪用を違法とするために、裁判を起こして具体的な判例を作っていくことが必要だと考えました。判例があれば、それが企業を超えたルールになるのです。
社会に影響を与える裁量労働制の判決を目指します!
実は、裁量労働制は、裁判所による判例がほとんどない制度です。1988年の制度実施以降、労働の実態として裁量がないことを理由として裁量労働制の適用が否定された判決は、わずか2件しかありません。それほどに、クリエイティヴ業界で労働問題に声をあげることが難しいということだと考えられます。
そんな最中、私たちのユニオンに、アニメ制作会社STUDIO4℃の労働相談が飛び込んできました。ユニオンでは当初団体交渉での改善を追求しましたが、労働条件に関する資料が一切提出されず、第一回の団体交渉の途中で社長が退室してしまうなど、団体交渉に対する態度は不誠実なものでした。
そこで、Aさんと何日も検討し、裁判所に訴訟を提起することに決めました。判決が出るまでは、およそ2年ほどかかることが想定されます。しかし、Aさんは自分の残業代の支払いに長い年月がかかったとしても、自分が声を上げたことで、アニメ業界やクリエイティヴ業界全体で働く人たちが報われることに繋がるのなら、裁判をして最後までたたかい、判決を勝ち取りたいと決断したのです。
今回の訴訟でAさんが勝訴し、アニメ業界の制作進行の業務に裁量労働制が当てはまらないこと、Aさんのような働かされ方では裁量労働制が当てはまらないことを定めるルールが新しくつくられれば、アニメ業界はもちろん、クリエイティヴ業界に対しても幅広い影響を及ぼすことになります。
資金の使い道
とはいえ、裁判を起こすためには、資金が必要です。制作進行のAさんの給与は決して高くなく、入社4年目でありながら、基本給に至っては15万円台しか払われていません。声をあげる意志があっても、裁判費用を工面できなければ、業界を改善したいという思いは腰砕けになってしまいます。そこで、今回のクラウドファンディングで得られた金額を、裁判費用に当てたいと考えています。
また、Aさんと同様に、クリエイティヴ業界で裁量労働制の違法性を巡って訴訟をしたいと立ち上がった人たちが、金銭面の心配をしなくてすむように、新たな訴訟の労働相談があれば、その費用のために使うことを予定しています。
さらに、労働相談をしづらい人たちのための宣伝やイベントの開催の経費への使用なども予定しています。
具体的には以下の通りです。
1.訴訟経費
・原告・弁護団・証人の交通費
・印刷費
・学者意見書費用
など
2.相談・宣伝活動に関する費用
・WEBサイト制作費
・デザイン費用
・イベント開催費
・広報費
・調査・研究費
・事務員人件費
など
3.手数料
・GoodMorning掲載手数料
・GoodMorning決済利用手数
担当弁護士からのコメント
・大久保修一弁護士(旬報法律事務所)
アニメ・クリエイティブ業界において、長時間労働・低賃金に悩みながら働く人は多いと思います。
この裁判は、業界が抱える問題に一石を投じるものになります。ご支援お願いいたします。
リターンについて
・総合サポートユニオンと訴訟の原告の制作進行のAさんによるお礼のメールをお送りします。
・総合サポートユニオンによる訴訟と活動の報告メールをお送りします。
・原告の制作進行のAさんによる訴訟と活動の報告メールをお送りします。
・総合サポートユニオンの特設ウェブサイトにお名前を掲載します。希望される方のみ、備考欄から掲載希望の名前をご連絡ください。
・総合サポートユニオンのグッズをお送りします。
・アニメ制作会社の組合員やアニメ業界の専門家による、アニメ業界の労働問題を語るイベントにご招待します(2020年3月ごろ開催、場所は東京都内近郊、交通費は自己負担です)。
実施スケジュール
2019年10月18日 提訴記者会見、クラウドファンディング開始
2019年11月30日 クラウドファンディング終了
2020年1月ごろ 特設ウェブサイトにお名前を掲載
2020年2月ごろ 総合サポートユニオンのグッズ提供
2020年3月頃 アニメ業界・クリエイティヴ業界の労働問題をテーマにしたイベント開催
最後に
アニメ業界の過酷な労働はよく知られていますが、実際に現場で働いている人たちが声をあげることは非常に稀です。政府がアニメや漫画などの日本文化を世界的に打ち出す「クールジャパン」政策を掲げる一方で、現場の長時間労働や低賃金で疲弊し、企業や業界を辞めていく労働者は後を絶ちません。安心して文化を楽しめて、持続的に働くことのできるクリエイティヴ業界をつくるために、まずは蔓延する裁量労働制から歯止めをかけていきたいと思います。ぜひ皆さんのご支援をお願いします。
<All-in方式の場合>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
最新の活動報告
もっと見る会社側の一方的な全額振り込みによる裁判の終了のご報告(STUDIO4℃制作進行の原告Aより)
2020/06/23 19:29こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
本日の朝日新聞でSTUIDO4℃との訴訟が取り上げられ、原告Aさんのコメントが掲載されました!
2020/04/19 09:29こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
裁判第2回期日のご報告(STUDIO4℃制作進行の原告Aより)
2020/02/14 12:00こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
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