パトロンの皆様、そしていつも応援いただいている皆様。
まずは、この度のコロナウィルスに感染された方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々に衷心よりお悔やみ申し上げます。
私個人は幸いにして今のところ健康面に問題はありません。また、4月から在宅勤務しております。今後とも細心の注意を払って日々を過ごしていこうと思っております。
本題に入りますが、なぜこの時期に、と思われるかも知れませんが、配合相手の繁殖牝馬候補は3月中に決定しておりました。ただし、フライング気味に公表して混乱を招いてもいけないので、種付け終了時点で公表するつもりでおりました。
しかしながら、肝心の繁殖牝馬の発情がまだ来ていません。それ自体は焦る話ではありませんが、このところ大きな進展のご報告もしておらずパトロンの皆様にご心配をおかけしておりますので、このご時世に少しでも明るい話題をお届けする意味も込めまして、繁殖牝馬を先に公表することといたしました(もちろん、クラックステーブル村上社長のご了解をいただいております)。
なお、種牡馬登録は完了したとの報告を得ておりますが、ジャパン・スタッドブック・インターナショナルのデータベースに掲載されるには時間がかかるようです。こちらも、掲載が確認出来たら事務局ツイッター等でご報告いたします。
で、少しばかり昔話を。
今週末はG1がお休みで、来週末に天皇賞・春が行われます。数多の名勝負が繰り広げられた長距離戦。個人的にはマヤノトップガンの繊細なレース運びとゴール前の末脚の素晴らしさが印象に残っていますが、その2年後、1999年にはダービー馬スペシャルウィークが天皇賞・春を制しています。ご記憶の向きも多いかと思われます。ちなみに2着は前年の覇者メジロブライトでした。
この2頭は、前哨戦となった阪神大賞典でも対戦し、同じように1着スペシャルウィーク、2着メジロブライト、そして4着も有馬記念馬シルクジャスティスだったのですが、3着だけが本番と前哨戦で違っておりました。ちなみに本番の3着は皐月賞馬セイウンスカイ、上位4着までをG1馬が占めるという、まさに天皇賞・春にふさわしいレースでした。
セイウンスカイは日経賞から本番に臨んだため阪神大賞典には出走していませんが、阪神大賞典では単勝73倍の伏兵馬がシルクジャスティスに先着して3着に食い込み、その後の飛躍へとつなげていったのです。
その馬の名前は、スエヒロコマンダー。
スエヒロコマンダーは、この阪神大賞典の後に天皇賞をパスして臨んだ小倉大賞典で初の重賞タイトルを獲得すると、同年の鳴尾記念(当時はG2)も制し、それから中長距離の重賞の常連として活躍しました。G1タイトルには手が届かなかったものの、母系の優秀さから種牡馬入りすることができ、数少ない産駒からイナズマアマリリス(2008年ファンタジーS)という重賞勝ち馬も出すことができました。競走馬としても、種牡馬としても、一定の成功は収めたのではないでしょうか。
そして、オールドファンの方々、とくにテイオーの現役時代をご存知の方々にとっては、母馬の方が印象が強いかも知れません。テイオーの2歳下で、現在の阪神ジュヴェナイルフィリーズに相当する阪神3歳牝馬Sを、9番人気の低評価ながら大外一気の末脚を繰り出し快勝した、ご存知スエヒロジョウオーです。ホワイトストーンの主戦としても活躍した田面木騎手の唯一のG1タイトルになったことでも印象に残るレースです。
すみません。前置きが長くなりました。では、繁殖牝馬を発表します。
キネオスイトピーという、クワイトファインと同じ2010年産まれの黒鹿毛馬です。
父アドマイヤムーン、母スエヒロジョウオー。
つまり、スエヒロジョウオーの娘、スエヒロコマンダーの妹にあたります。
クラックステーブル村上社長に、繁殖牝馬の候補を依頼したとき、こちらからは何の条件も出していません。年齢が極端に高くなく、また初産でなければ、どんな馬でもありがたく借り受けようと思っていました。
そして、複数の候補からこの馬の血統を見たとき、思わず、(いい意味で)目を疑いました。
G1馬を母に持ち、重賞2勝馬を兄に持つ馬です。普通にセリに出したとしても、ブラックタイプは目を引くこと間違いなしです。
他の候補馬もそれぞれ魅力的ではありましたが、これだけの馬を断る理由は正直何もありませんでした。その日の内に、「キネオスイトピーでお願いします」と返事をしました。
スエヒロジョウオーから連なる血統は、小泉牧場さんが大事に守ってきた血統だと聞いています。先ほど名前を挙げた2008年ファンタジーSの優勝馬イナズマアマリリスは、スエヒロコマンダーを父に持ち、同じく小泉牧場の生産馬で1991年のクイーンSの優勝馬イナズマクロスの孫にあたります。まさに、小泉牧場の血統の結晶とも言える馬です。今回、無事に受胎し無事に出産できれば、トウカイテイオーとスエヒロジョウオーの血を引く馬を持つことができるわけです。
まだ種付けもしていない段階で言うのもよくないかも知れませんが、本当に楽しみです。産まれた仔が牡馬であれ牝馬であれ、日本競馬の歴史に名を残した名馬の血を受け継ぐ仔になるわけです。楽しみであると同時に、責任の重さも痛感します。なんとかして、種付け→出産→成長→育成と無事に進んでいけるよう、主催者として気を引き締めて臨みたいと思っています。
先般事務局からもありましたように、コロナウイルスの影響で現地での撮影権などのリターンも延期を余儀なくされていますが、これから、データベース登録、種付、受胎と、希望が持てるご報告ができますよう頑張りますので、今後の報告をお待ちいただければと思います。