2017/04/06 01:53

僕は文章を書くときは必ずiPhoneのメモ帳を使う。

せっかく良いPCがあるのにスタバでカタカタなんてことはあまりしない。

 


電車に乗ればみんながみんなスマホを弄っているのかと思えば、

ふと降りた駅のホームでは老人がゲラゲラと笑っていたりする。

 


「避難者は自己責任で」なんて言ってしまう復興担当大臣がいる。

でも別に政治的な感想はない。

正直なところ、

原発から半径**km立入禁止なんて漫画の世界みたいで

面白おかしくて笑ってしまう。

 


あれから6年が経って手当が打ち切られるとかなんとか。

まああまり自分とは関係のない話なのだけれども。

 


 


夢の中で、そんな立入禁止区域のような、誰もいない広大な草っ原の上で僕は寝転がっている。綺麗な星空を前に、プラネタリウムにいるような感覚にさせられる。手を伸ばせば星の一つや掴めそうだったあの頃とはもう違う。

 


逆にプラネタリウムに行くと、世界は、星々は、宇宙は、綺麗なものなのだと教えられる。「壁が光ってるだけじゃん」とか心の中で思ってしまう。世界や宇宙と僕の距離感が大体わかってくる、わかってきたような感覚になる。

 


夢から醒めて、顔を上げると夢で見た星空と同じように、目の前にスカイツリーが聳え立っている。

 


タイペイに行くと、まず台北101が目につく。

僕は"台北101が目につく"タイペイしか知らない。

きっと、僕の友達もそう。

 


台北101の展望台に登ると市内、或いは山に囲まれた台北の盆地が一望できる。スカイツリーに登ると、限りなく広い平野が一望できる。海も見える。

 


景色を、土地を俯瞰しながら、この景色は多分変わらないだろう、なんて思ってみたりする。

 


でも実際、台北101よりブルジュハリファの方が高くなってしまったし、スカイツリーから東京タワーをわざわざ眺めなくても良い。

 


 


ふと顔を上げると、桜が咲いている。

老人が酒を飲みながらゲラゲラと笑っている平日の昼間に、僕は草っ原で寝転がりながらこんな散文を書いている。

 


何かを伝えようとしているわけではない。誰にも伝わらないけど、呼吸をすることと同じようにただカタカタとiPhoneのメモ帳に文字を打っている、だけである。

 

 

監督 増田 捺冶

 

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