かんじゅく座 ヒコです。
一連のコロナ騒ぎで、多くの演劇が中止になったり延期を余儀なくされたりで、既にギブアップを宣言した劇団や、存続を諦めてかけている劇団が後を絶たない昨近です。
こうしたなかで来年とはいえ、全国から改めて結集してシニア演劇大会を開けるのは本当に幸せなことです。
改めて、エマさんの労を多とします。
参加する各劇団の団員は私を含めて全員が文字通りシニアです。シニアにとって1年後という目標ができたことはある意味で大きな励みになります。反面、1年後も元気に生きているということが大前提になりますが(笑)。
さて私事で恐縮ですが、私は昨年6月、定期公演が無事終った後に体調を崩し、急きょ検査入院する羽目になりました。そして診断の結果はステージⅣの直腸癌でした。
即、手術。そして、8月と9月は転移した肝臓への抗がん剤治療のため、3泊4日の入退院を4回繰り返し、仕上げとして11月に手術を受けました。お陰様で2度の手術は成功し、年末年始は家族と楽しく過ごすことができました。
年が明けて、前から気になっていた前立腺を検査してもらいましたら、こちらはステージⅡの癌。入院はせず、放射線治療でもなく、ホルモン剤療法で完治できるという見立てでホッとしています。
入院した病院が大型病院で、外科と泌尿器科の連携が良く助かりました。
昨年の後半は直腸癌の、そして今年初めは前立腺癌の治療に注力してまいりました。現在は、直腸、肝臓そして前立腺の経過観察治療を3ケ月に1度受けている状態です。医学が発達して、今では癌は不治の病でなくなりました。
6月、直腸癌の宣告を受け、今後の治療方針を決める日に、私は主治医に「来年1月に芝居の稽古に復帰したい。」と恐る恐るお伺いをたてましたら、気持ちよく受入れてもらい、1月から逆算して直腸の手術、そして転移した肝臓治療の日程を決めていただけました。
癌の宣告を受けた後に「来年も舞台に立つ」という夢を持ったことで癌の治療という荒波を乗り越えることができたのです。
「癌に勝つ!」のではなく、「癌に負けない!」ようにする。「癌と共存して生きていく」というのが現在の心境です。
突然死ではなく、癌のようにジワジワと病状が進行し悪化していく病の場合、生を支える根源的な条件の第一は「自分を表現する手段をもっていること」かつ「自分を表現する機会に恵まれていること」だとホスピスケアの先駆者のドクターが言っています。
「芝居を演じる」ことはまさにこの条件にかなっています。
私は今年2月に喜寿を迎えました。
なんとか「人生復帰」がはかれましたので、来年には元気に「舞台復帰」をはかるべく、これからの1年、コロナになぞ負けずに、焦らず・動じず・静かに日夜精進してまいる覚悟です。
なにしろ、80代になっても舞台に立って、ただ今小学校低学年の孫2人にカッコいいジージの晴れ姿を見せたいと思っていますから!(完)