2018/08/18 19:11

 「本気のクリエイター発掘大作戦!」の作品募集も終わり、皆さんそろそろ「どの作品に投票しようか」と迷っている頃かもしれません。そこで気になるのは「そもそもこのリターンに設定されているプラキットって一体どう言うものなの?」と言うことだと思います。そこで今回は、リターンに設定されているプラキットについて、その魅力をご紹介していこうと思います。第一回目は陸上自衛隊07式戦車「なっちん」についてです。

Moi氏との出会い

 我々がこの作品をプラキット化するきっかけは実のところ全くの偶然でした。いや、それは偶発と言って良いかもしれません。と言うのも、元々この「なっちん」をデザインしたMoi氏とはTwitter上繋がっているだけの(やや薄い)関係でしかありませんでした。ところがある日そのMoi氏から突然DM(Twitter上のダイレクトメール)が送られてきたのです。しかも文章が途中から始まっていて一度読んだだけでは何やら要領を得ません。実はこれ、Moi氏が他の方とやり取りしていたDMが誤って私に送られてきたものだったのです。そしてその内容が

「どうやったら自分のオリジナルロボットを商品化できるのか、誰か私に教えて下さい!」

と言う悲鳴に近いものでした。この人はなぜいきなりこんなことを言い出したんだろう?ちょっとヤベー奴かな?と一瞬思いましたが、取りあえず返信をしてみると「イベントの時に会いに行くんで教えてください!」とのことでした。何だか「間違い電話から始まる偶然の出会い」みたいでちょっとドキドキもしましたが、イベント会場に現れたのはごく普通のオッサンでした。

 しかしお話しを伺ってみるとMoi氏の「オリジナル」に対する想いはどうやら本物のようで、その日のうちに「なっちん」に対する熱い想いと、実はこの「なっちん」が単なるイラストだけでなはなく、重厚なストーリーを持った世界観の一部であることを知らされました。

ストーリーのあるイラストから生まれたオリジナルロボット

Moi氏曰く、

 この「なっちん」と呼ばれる未来の陸自の戦車には未来予測型サポートAIと言う人工知能が搭載されています。それは搭乗者の身体・生活状況を出生時から記録して全てのデータを蓄積(その人間の生活行動全てを記録)することで、搭乗者に対して未来予測や最適な行動パターンの提案や、時には自立運転までも行う機能を持っています。ただ主人公(ヒロイン)とそのAIが強く結び付くことによって、彼女の乗る「なっちん」のAIだけがなぜか独自の成長と変化を遂げていきます。そして物語中盤以降に現れる「Unknown」との接触やこれとの交戦を通じて、そもそもなぜこの07式がこの世界に存在しているのか?と言う謎が次第に解き明かされていくことになるのです…。

広がり続ける「なっちん」ワールド

 Moi氏の口から語られた、「なっちん」の可愛らしい外見からは想像もできないハードでSFな世界観はその装備にも表れています。

それにしても、このイラストの「分かってる感」はズルいですね。そしてさらに分かっているのは「なっちん」バリエーションの豊富さです。

ここにあるだけでも36種類。中には「??」なものもありますが、この07式が単なる軍事車両(戦車)ではなく、この世界では広く一般に普及している「人型車両」であることがこのイラストから見てとれます。こんなイラストを見せられたら全部作ってみたくなるに決まってるじゃないですか。取りあえずはお手軽なパトカーバージョンから始めて、最終的にはフルアーマータイプまで…。それが終わったら次はさらなるレベルアップで多脚型に!

ここまで来るともはやパーツの流用すら思いつかないレベルです。しかし何にせよバリエーションが豊富なことはオリジナル作品にとっては大きな武器です。その辺はMoi氏も心得ているようで、以前は私の作品に登場する「人型重機」タイプのバリエーションもデザインしてくださいました。

「なっちん」を待ち受ける衝撃のラスト!

 この様に我々の予想を遥かに上回るペースでバリエーション展開を続ける「なっちん」ワールドですが、オリジナル作品の肝は何と言ってもそのストーリーです。その点、Moi氏の考えるストーリーは意外にも骨のある「SFもの」であり、加えて言うならそれは若干タイムトラベル的な要素を含むものでもあります。そう言われて見ると、このちょっと可愛い猫型ロボットが未来から来たターミ〇ーターの様に見えてくるから不思議です。でもそこが面白いのです。

 以前Moi氏から聞かされた「なっちん」のラストは中々に壮絶なものでした。タイトルに上げたイラストがそのシーンにあたるのですが、あの愛らしかった「なっちん」が片腕をもがれたまま戦闘を続けているなんて、ちょっと想像の斜め上を行っています。「なっちん」のいるこの世界で一体何があったのか…?それは今後Moi氏が発表する小説なり漫画なりに期待しつつ、今はプラキットの仕上がりを楽しみに待つことにしましょう。

「なっちん」ミニプラキットの最新事情

 さていよいよリターンのプラキットですが、こちらは現在ちょうど金型ができあがったところです。「なっちん」は大きさ(小ささ)の割にはボリュームがあるデザインなので、大きさの制限があるミニプラキットにはとても向いているアイテムであると言えます。

上の写真はランナー状態をイメージした3Dプリントのサンプルですが、これだけでもパーツがギッシリ詰まった感じが分かっていただけると思います。

そしてこれはそのサンプルを組んだ状態。とても全高約5センチとは思えないディティールが見てとれると思います。これは金型の元になる3Dデータが将来的には「ミニ」ではない「14センチサイズ」のキットにも応用出来るよう、あらかじめ作られているからです。つまりこの「ミニ」プラキットはあくまでもエントリーモデルであって、ここで人気を博したアイテムが将来的には人型重機と同じ「14センチサイズ」のプラキットで登場することを我々は想定しています。9月27日から開催される「全日本模型ホビーショー」では最初のテストショットを公開する予定です。

それまではMoi氏の描いたイラストを眺めながらどのバリエーションを作るか妄想を膨らませておいてください。

それではこれからも「世界中でここにしかないオリジナルクリエイターの作品をインジェクションプラキットに」プロジェクトをどうぞよろしくお願いします。