クラウドファンディングの締切まで2週間を切りました…
おかげさまで達成率は94%となり、あと一息で目標をクリアできそうですが、引き続きご支援を募集中です。なにとぞよろしくお願いいたします!
さて、今回は現在進めているデータベースの構築について、報告させていただきます。
ご存じの通り、このプロジェクトは、日本の木造住宅をヴェネチアへと運ぶというものですが、実際にやってみると、その作業は壮絶を極めるものでした。
ヴェネチアに住宅を運ぶためには、いったん部材レベルのエレメントに解体する必要がありますが、解体した部材をそのままにしておくと、建物のどの部分にあったものなのかがわからなくなってしまいます。
そこで、すべての部材にQRコード付きのIDシールを貼り、管理することを考えました。
解体現場で部材にIDシールを貼っていきます。
解体してバラバラになるものは、細かな部材にもすべてIDシールを貼ります。
時にはシールが剥がれて、別のものにくっついてしまうことも!このように情報の紐付けにエラーが起きると、部材は存在するのに、そこにあったはずの情報が失われてしまうことになります。
IDはすべて、スプレッドシートにまとめていきます。通関(輸出入に際して税関を通す手続き)のために、いったん倉庫に持ち込んだ部材をすべて採寸し、専門家の意見を聞きながら材質も調べ、IDとともにデータベースに記入していきます。イタリアの税関での確認も必要になるため、同時並行で英語にも翻訳していきます。
モルタル壁など解体すると壊れてしまうもの、土壁など輸出入に大きな制限がかかるもの、下地材などの端材などなど、やむなく廃棄したものもありましたが、それでもデータベースに掲載した部材の数は、全部で1,189個という膨大な数になりました!
柱や梁などの主要な軸組材は、時間が許す限り3Dスキャンしていきます。
たびたびトラブルに見舞われながらも、3Dスキャンは根気強く進められ、軸組材についてはなんとかすべてスキャンすることができました!最終的には、303本の線材と94枚の面材がスキャンされ、3Dデータへと落とし込まれていきました。
なお、ここで生成された3Dデータは、1部材あたり平均で17GBと非常に大きなものになります。3Dスキャナーはとても敏感で、機械実測だとデータを取り過ぎてしまうわけですが、このままだと重くて使いづらいので、現在はこのデータを軽量化し、通関で使ったデータベースと紐付ける作業に取り組んでいます。
データベースは公式ウェブサイト( https://www.vba2020.jp/ )にも実装し、それぞれのエレメントの展覧会後のゆくえもわかるようにするつもりです。
このデータベースは、物質としての建物が備える過剰性をよく表現するものになるのではないかと考えています。どうぞご期待ください!
最後に、データベースにも搭載予定のエレメントの3Dモデルのデモを掲載します。ご覧いただけると幸いです。
3Dモデルのデモ:http://none.tsnym.nu/db/a2_x_rt_beam_c-2.html
そしてなんと!エレメントのARでも遊んでいただけるようにいたしました!
エレメントのARのデモ(スマートフォンでご覧ください):https://bit.ly/3iMcoRl
なぜこんなことを必要があるのか、わたしたち自身もいま一つわかっていないのですが、とにかくさまざまな可能性を検証しています。秋の夜長に、何十年もの旅をしてきたエレメントを身近に感じ、時間の流れに思いをはせてみるのも一興なのかもしれません。