本プロジェクトに参加している、唯一の企業「北海道アルバイト情報社 くらしごと編集部」です。ゲストハウスを運営していない裏方だからこその視点で活動レポートを書き起こしました。
そもそものこのプロジェクトの始まりは、「北海道でゲストハウスサミット」を開催したい!ので関わって欲しい!というご相談が来たところまでお話しがさかのぼります。
北海道はもちろん、全国からもゲストハウスオーナーが集まり、未来について語ると同時に、来場者を多く呼び込んで交流をすることで、ゲストハウスを「人」の視点から知ってもらうイベント。北海道でこれほど大規模なイベントは初めて。札幌開催に向けて、弊社ビルのイベントスペースを活用し、昨年2019年より準備開始。2020年3月の開催直前に、コロナウイルス拡大防止の観点から、延期するという苦渋の決断となりました。
しかし、熱く煮えたぎった想いを抑えることができず、何かやりたい、何かやらなければ!という気持ちをもったゲストハウスオーナーのみなさんの考えにジョインさせていただいたというのが本プロジェクトの始まりです。
「苦しくなるからお金を頂戴したい」が主目的であれば、この企画に関わることはなかったでしょう。しかし、このプロジェクトに関わっている全ての方の考えはそうではありませんでした。
「少しの間、来られなくなるかもしれないけど、忘れないでいて欲しい。これをキッカケに、北海道にはこんなに素敵なゲストハウスがあるんだということを知ってもらいたい」
それが一緒に集まり、運営していく目的でした。
一方で、弊社が運営するWebサイト「北海道の人、暮らし、仕事。くらしごと」(https://kurashigoto.hokkaido.jp/)は、2016年の開設から、取材費・掲載料はいただかず、サイトに有料広告も一切表示しないという非営利の活動で、北海道の様々な暮らし方や取り組みを「人を通じて」紹介してきました。
なぜ掲載料を取らないのか、なぜアフィリエイトしないのか。よく聞かれます。それはとても単純で、そしてちょっと恥ずかしいのですが「北海道のためになるから」です。
そして私たちは、求人メディアの運営を母体とした企業。「仕事」の情報を発信していくなかで、仕事よりも前に「暮らし」があることを、少子高齢化や過疎化が叫ばれる世の中で痛感し、人々の暮らし方や生き方・取り組みを発信していくことで、その人々が暮らす「マチ」に興味を持ってもらえるのではないか、「人」に会いに行きたいと思うユーザーがでてくるのではないか、ひいては「仕事」にも目を向け、担い手が減ってきている小さな町にも移住したい方々やUターンしたいという若者がでてくるのではないかと本気で考え活動しています。
大企業にスポンサードされることもなければ、お祭りやライブの告知に華やかに広告を打つこともありませんので、本当に地道に地道に、北海道内のさまざまなマチに伺い、丁寧にお話しを聞いて、記事として配信しています。その地道さ故に、また費用を頂戴しないからこそ、ホームページもお持ちでないような小さな団体や、個人、どこのメディアにも取り上げてなかったようなみなさんまで、取材することができています。
そういった活動を通じ、知り合い、その存在意義を強く感じるようになったのが「ゲストハウス」。北海道の、観光だけではない地域の玄関口として、地域との交流の入り口として、みなさん活動していたのです。
ようやく「ゲストハウス」という言葉が、一般の人にも認知されるようになり、「安い宿」「ちょっと怖いかも」というイメージから、「地域を知れる宿」「出会いや気づきのある場」という感じに、一段上にあがろうとしていた最中のコロナウイルスによる影響。ここで、立ち止まってはいけない、さらに続けていくことで見えてくる新しい北海道の未来があると本気で考えています。
移住対策や、過疎化対策、担い手対策などで、さまざまな公的資金が使われていくなか、ゲストハウスの関係者へ流入する資金はほとんどないといっていい状況。これだけ「関係人口」という言葉を体現してきたみなさんであるにも関わらず…です。それはまだ、認知が進んできてはいるが、まだまだこれからであるという事実。もっと世の中にその存在意義を認めてもらえるように、私たちもサポートを続けていきたいと考えています。まずは取材し、ゲストハウスを運営するみなさんの想いを発信していくという地道なところからですが。
ゲストハウスを運営しているみなさんと個別に連絡をとったり、取材に伺うと、休業期間中に「農家さんに住み込みで働かせてもらってる」「バイトを始めました」「出稼ぎを考えている」といった声もちらほら。運営していくだけでなく、生活費を稼ぐためにいろんな苦労をされていました。でもどこか前向きで、明るいトーン。不安や不満、失望感に焦燥感がもっとあってもいいはずなのに。「世の中には自分よりもっと大変な人がいるはずさ」と言わんばかりに、毎日強く生きている姿に、心打たれます。そしてその想いや活動に私たちも頑張らねばという気持ちをいただけています。本当にありがとうございます。
世の中では、Web上で映像でのコミュニケーションも格段に進み、離れたところでもやりとりできる環境が進みましたが、でもやっぱり「会って話したい」がみなさんの本音ではないでしょうか。
「会って話せる場」を残していくためにも、ゲストハウスの新しいプロジェクトを展開していくためにも、残り短くなってきましたが、引き続き本プロジェクトを支援いただけましたら幸いです。
株式会社北海道アルバイト情報社
くらしごと編集部 編集長
三浦智昭
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*以下取材、撮影に応じていただいた、参加ゲストハウスの写真を一部載せておきます。
4月某日 旭川市にある「旭川公園ゲストハウス」にて、松本さんご夫婦に取材・撮影。
4月某日 江別市の大麻銀座商店街の中にある「ゲニウス・ロキが旅をした」の林さんに取材・撮影。
4月某日 札幌の中心部で取材・撮影。「GOEN LOUNGE & STAY SAPPORO」のみなさん。
4月某日 八雲町「古民家ゲストハウスSENTŌ」の赤井さん。地元のみなさんにも集まっていただきました。
4月某日 倶知安町「ニセコ宿 たびつむぎ」にて。取材を快く受けていただいた山田さん。