当店で保護した猫は、保護時に血液検査によるウィルスチェックを行い、猫免疫不全ウィルス(猫エイズ)、猫白血病ウィルスの抗体有無を調べます。1か月の隔離期間の後に再度チェックし、両方が陰性であることが確認できた猫が、猫ルームにスタッフとしてデビューします。
どちらか一方でも陽性が判明した猫は、猫ルームにはデビューせず、預かり様宅や、カフェエリアに設置した個室ケージ(隔離室)でご縁を待つことになります。
現在、隔離室には、3頭の猫エイズ陽性の♂(5歳~8歳)がいます。黒猫がチャーリー、茶白がタイガー、キジがチェリオです。同じ地域から未去勢で保護されました。猫エイズウィルスは、猫同士の喧嘩による噛みキズから感染します。この3頭も、おそらく縄張りを争って激しい喧嘩をして、感染したのでしょう。
当初は揃ってトイレ王子(人から隠れるためにトイレに蹲って出てこない、緊張している猫にはよくあります)化していた3頭も保護・去勢から1カ月半が経ち、いちばん物怖じしない性格のタイガーは、抱っこができるぐらいまで私たちに心を開いてくれました。その様子を見ていたチャーリーも、少しずつ態度を軟化させています。いちばんビビりのチェリオは、まだトイレに立てこもっていることもありますが、時々はおもちゃにも興味を示してくれるようになりました。
人とも犬とも、猫とも共存できるエイズキャリア猫
猫エイズウィルスに感染した猫は、4~6週間の程度、発熱やリンパ節の腫れなどの症状を示した後、無症状の潜伏期になります。その後、他の病気や生育環境の悪化などで免疫が低下すると、それをきっかけとして猫エイズを発症します。潜伏期の間は何ら普通の猫と変わりなく生活できますし、発症しないまま一生を終える猫も少なくありません。
猫エイズウィルスは人間や犬には感染しません。猫同士でも流血を伴うような激しい喧嘩をすることがなければ感染する可能性はほぼありませんし、ワクチンをしておけばノンキャリア猫との共存は十分可能です。代表宅で預かり療養中のスラクストンも猫エイズキャリアのシニアですが、ノンキャリアの飼猫と一緒に日常生活を送っています。
当店では、エイズキャリア猫についてはノンキャリアと同様に迎えていただくことができると考え、譲渡を進めています。これまでにも多くのエイズキャリアっ子が、幸せになっています。
スラクストンと同時期に保護されたエイズキャリアのスプリント(♀)は、隔離室ケージでのお見合いでトライアルが決まり、今は幸せに暮らしています。
隔離室の様子も、Facebookやブログで日々発信しています。来店いただけるようになりましたら、ぜひ会っていただければと思います。
下からタイガー♂推定5歳、チャーリー♂推定5歳、チェリオ♂推定8歳 。隔離室の掃除が格段に時間掛からず隅々まで綺麗に出来る様になりました。3猫と私達の距離は確実に縮まっています。とてもやり甲斐があり、その過程を楽しめるのも幸せです。
エイズキャリア猫の譲渡が普通になります様に…