【福島県いわき市】
天空の里山のバイオトイレ/循環する肥料
みなさんこんにちは、カルチェラタン室長です。
今回は、私がオーガニックコットンの栽培をしている福島県いわき市にある「天空の里山」での取り組みの一つをご紹介いたします。
こちらの里山では、人が自然と共存しながら生きていくことをテーマに、自然を壊さない「循環型」の生活の実現を試みています。
エネルギーも太陽光の自家発電を用い、冬は自分たちで薪を割って薪ストーブで暖をとります。
里山で収穫された食べ物はみんなで分け合い、助け合って生きていく。ここではそんな一つの共同体としての里山の在り方を目指しています。
今回は、そんな里山で取り入れられている「バイオトイレ」についてのお話。
バイオトイレとは、微生物の力によって排せつ物を液状の肥料にするトイレのこと。
その液状の肥料を畑に使うことで、栄養のある土で農作物を育てることができます。
ではバイオトイレとはどんな仕組みなのか?
それを簡単にご説明します。
屋外に設置されたトイレの地下には、2 メートル四方の深さ 1 メートルほどのタンクが埋められています。
トイレ内 にある便器の中は弁で蓋がしてあるので、タンクの中を見ることはできません。
足元のボタン(ポンプ)を踏むとごく少量の水が流れて弁が開き、排せつ物が下に落ちる仕組みです。
タンクには小さな穴が開いたパイプが繋がれており、排せつ物が落とされた分がそこから畑へと肥料が流れているため、タンクがいっぱいになることもなく、汲み取りの必要もありません。
ここで使われている微生物は粉状のもので、購入が必要ですが、1 回の購入で 2~3 年は使用することができます。
こちらの里山では1 回の購入につき2 万円ほどの費用がかかっています。
溜めておく、ということで臭いが気になるのではないか?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、臭いは殆ど ありません。
トイレの個室の中さえ清潔にしておけば、臭いに関しては水洗のトイレと変わりありません。
また、メタンガスはこの規模のトイレでは殆ど発生しないため、里山でのエネルギーとして使うには至っていませんが、牧場などの大きな施設では、牛の糞尿を処理するためにこの仕組みを利用し、発生したメタンガスを有効活用しているところもあるそうです。
自分たちが畑で採れたものを食べ、その排せつ物が肥料になり、それでまた畑の作物が豊かに育つという循環は、日本でも昔から用いられていた方法ですよね。
私が生まれるくらいの頃、私の実家ではまだぼっとんトイレでした。
自分たちで食べる野菜は自分の畑で育てていましたので、祖父が汲み取った糞尿はそのまま肥料として畑にまかれていたのです。
汲み取りを業者の方にお願いするようになってからも、私は小学生の中頃までぼっとんトイレを使っていましたし、トイレットペーパーではなくちり紙でお尻を拭いていましたが、近年では和式のトイレを使っているご家庭が少なくなっているのか、和式トイレの使い方をご存じない方もいらっしゃると聞きます。
ぼっとんトイレ、なんて水洗トイレですらありませんから、きっとびっくりされるでしょう。
正直、私の年代でもぼっとんトイレは珍しかったようにも思います。
しかしながら、昔のやり方を100%再現しようとすることは無理がありますし、殊更これに関しては衛生的な問題があります。
自給自足の生活といえども、単純に昔と同じ方法にすれば良いというのではなく、現代技術を使いながらどのように環境に配慮し、循環できる仕組みに変換していくか、それがいまの私たちの課題でもあり、生活を豊かにしていく一つの手段でもあるのです。
▼レポート
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