2017/08/25 02:57

 

こんばんは、書家の黒蛇です。

福岡、東京での県外遠征を終えて、

無事、宮崎に帰って来ました。

本当にありがとうございました!

沢山の人との出会いの中で

新たな自分になりました。

まだ成長し続けなくてはいけない、

そう感じて

今日、看板を作り直しました。

左が今日出来上がった看板です。

前回製作した看板と比較してみてください。

右の下手さが分かりますねw

これを上手いと思って、

ドヤ顔してたことは内緒です(笑)

さて、

帰って来て、興奮冷めやまぬうちにと

次の日、一番街でストリート書道を行いました

よし、始めるぞ。と1つ深呼吸をした時、

「これはあなたの作品ですか?」と

少しかすれた、柔らかい声が耳に入って来た。

目を向けるとそこには60〜70歳くらいの

小さなおじいちゃんが立っていた。

「これはあなたの作品ですか?」

そう言って指をさした方には、

僕が書いた失敗作があった。

「はい、これは僕が書いた作品ですが、

失敗作なんです。」

僕は素直にそう言った。

するとそのおじいちゃんは

「ますますその作品が欲しい!」

と満面の笑みでこちらを見ていた。

全体のバランスの悪さ、字の下手さ、

色紙の汚れ、

これらの理由で失敗と思った僕の作品を

欲しいと言ってくれた。

なぜだろう?

僕の中では?がいっぱいでした。

「おいくらですか?」

そのおじいちゃんはお金を払おうとしていた。

「失敗作なので、僕は値段を決めれません。

おいくらでも構いませんよ。」

そう言うと、

「そりゃーだめだよ、あなたが決めて!」

と眉をひそめるおじいちゃん。

「1つ条件を出していいですか?

この作品とは別にもう一枚書かせてください、

そちらと合わせて6000円でどうでしょうか?」

僕は精一杯考えて答えを出した。

おじいちゃん「よし、それ乗った。」

黒蛇「ありがとうございます!!」

僕はいつも通り、全集中を筆先、

色紙、墨、呼吸に注ぎ、

無我夢中で書に向き合った。

出来上がった作品を見て、

ふっと僕の息が抜けていくのが分かった。

そして、そのおじいちゃんの

拍手とウルウルした目を見て、

心が揺れた。

おじいちゃん「ありがとう!」

黒蛇「ありがとうございます!」

書いた僕も、見ていたおじいちゃんも

感動する一瞬がそこにはあった。

そして、6000円と提示したはずが、

1万円という対価に変わっていた。

僕は、この一瞬のために書いている。

作り手と受け手、その両方の

息が合った時、想像を超える作品が出来上がる

そのおじいちゃんはその一瞬と僕自身に

お金を支払ってくれたと感じました。

技術が伴わなくても、想いは伝わった。

少しかもしれないが人の心が動いた。

なんとも言えない達成感で満ちた。

とてつもなく幸せだと感じた。

僕には、僕にしか書けない作品がある。

目の前で見なければ、

体感することができない感動がある。

字の技術には自信が無いですが、

何かを伝えられる自信はあります。

自らを奮い立たせて、これからも

邁進していきます。

今後もどうぞご支援、ご声援のほど

よろしくお願いいたします。

書家 黒蛇