2020/07/21 14:52

7月18日(土)〜7月19日(日)に打上げ実施を試みました『ねじのロケット』について、打上げ延期の報告をさせていただきます。

『ねじのロケット』は、19日16:05に打上げを実施いたしましたが、点火器の温度上昇が確認できなかったため、コンピュータの自動判断により打上げシーケンスを停止し、メインエンジンに着火する前に打上げを中止いたしました。

記者会見でお伝えした内容を中心に、ご支援いただいたみなさまに経緯を報告させていただきます。

<記者会見動画はこちらからご覧いただけます>
https://youtu.be/qPvwDKMEkW0


▼『ねじのロケット』打上げ経緯

7月18日(土)11:00〜と16:05〜の打上げウインドウについては、いずれも上空風が強く天候基準を満たさなかったため、打上げを延期いたしました。

19日(日)5:15〜のウインドウでは、氷結層を含む雲の厚みが基準値を超える予想のため延期し、同日11:00の打上げを目指しましたが、このウインドウについても上空風が強く打上げを延期。16:05〜のウインドウでの打上げを目指しました。


19日(日)16:05〜の打上げについては天候基準を満たしており、打上げはGO判断。打上げ15分前からコンピュータによる自動シーケンスを開始。しかし、打上げ予定時刻(T=0秒)の0.2秒前に、エンジンの点火器の温度が時間内にあらかじめ設定した基準値を超えなかったために、コンピュータの自動判断によりメインエンジンに着火する前に打上げシーケンスを自動停止いたしました。

打上げの安全と機体の健全性のために、機体が打上げの手順を自動で判断して停止させることを専門用語では「アボート」と言います。


こちらの写真の、ロケットのエンジンの上に斜めに2本ついているのが点火器です。



図で示した通り、インジェクタ(燃料と酸化剤を噴射する装置)によりエンジンの燃焼室に燃料と酸化剤を燃えやすい形で送り、点火器による炎で着火し燃えることでロケットが飛ぶ構造になっています。

我々の点火器はハイブリッド点火器と呼ばれる、固形燃料(ローソクのロウ)と気体(ガス酸素)で燃える構造です。ローソクのロウを溶かしてちくわ状に加工し、その中にガス酸素を流し、点火器の点火のタイミングで点火玉に電圧をかけて種火をつくります。種火とローソク、酸素ガスが反応して炎がでる仕組みです。

2本ある点火器は、両方とも点火玉への着火は確認できていますが、そのうち1本について点火器内の温度が基準を下回ったために、打上げシーケンスを中断いたしました。正確には、温度上昇はしましたが、それが遅かったという現象でした。点火器にはセンサーをつけており、どの時間にどの温度まで達しているかを計測しています。点火器の着火が遅いことは、物理的に遅かったのか、センサーの検知が遅かったのか、どちらかの可能性が考えられるますが、現時点ではどちらの要因だったのかはわかっていません。

観測ロケットMOMOに関しては6回目の打上げになりますが、今回の現象ははじめてのことでした。リハーサルでは点火器は作動させない仕掛けにしているため、リハーサルでは確認する対象の項目ではありませんでした。

現時点では原因は不明ですが、機体自体は残っており、点火器という原因箇所も特定できているため、早急に原因究明をして再度打上げに臨みたいと思います。
次回の打上げ時期につきましてはなるべく早く、再チャレンジしたいと考えています。


『ねじのロケット』の打上げを楽しみにしてくださっていた方におかれましては、大変申し訳ありません。次回打上げに、期待していただけたら幸いです。


引き続き、応援をよろしくお願いいたします!!