2020/07/21 13:06

筑波大学 生命環境学群 地球学類 橋本 朝陽
(北海道札幌西高校出身、SSP2期生)


NASAのホームページに自分の研究が掲載」。そんなことが高校生であった自分の身に起きるとは思っていませんでした。

 今から約5年前、中学校を卒業して高校に進学しました。当時は特に趣味や目標もなく、ただそれなりに楽しい高校生活を送る予定でした。

ある日、SSPの案内チラシが授業中に配られました。先に述べたように何も考えてなかった自分は、ただなんとなく「研究者って一体どんなことをしているのだろう」という好奇心でSSPに応募しました。

 当時のSSPでは、1次試験に合格した人は2次試験のために2日間のスクーリングが行われていました。そこで一緒に受講した仲間は、知識が豊富で、科学に対する意識も高く、とても自分がちっぽけに見える空間でした。

 なんとか2次試験を通過し、実際の研究活動が始まりました。SSPでは受講生を高校生ではなく、研究者として扱います。より質の高い研究をするために、毎週決まった時間に教授とのオンライン会議を行い、議論を重ねていきました。テーマは「インドネシア森林火災を抑制するための新たな手法の開発」です。

インドネシアは大規模な森林火災が社会問題となっています。火災を減らすためには、乾燥している地域をリアルタイムに把握することが必要です。従来であれば、葉の乾燥具合を航空写真等で把握していました。しかし、森林が降水量を反映するのにはタイムラグがあります(水を根から吸い上げて葉っぱまで届かせるのには時間がかかる)。

そこで土壌水分量を、安価にデータを入手できる人工衛星データから推定することで、リアルタイムかつ安価に乾燥地域を把握できるのでは?という研究です。


・学会発表のためアメリカへ

 研究をはじめてから約1年半、日本での学会発表を経てアメリカで学会発表をすることになりました。発表への準備を進めていたある日、メールを開くと1通のメールが届いていました。その相手はアメリカ航空宇宙局、NASAからでした。「あなたの研究をぜひホームページに掲載したい」という旨が書かれており、まさに衝撃でした。

 その後、アメリカ、サンフランシスコにて学会発表を行いました。発表、質問共にもちろん英語。専門用語も飛び交う中での発表です。

 日本では、何かを発表する際に手に資料などを持って発表する人が多くいると思います。しかし、海外ではそのような人はほとんどいません。なぜなら、カンペを持つことは「準備不足です!」ということを聞き手に公表している事になるからです。

 そして、多くの海外の方は自分に興味がない話は聞いてくれません。話している途中でも平気でどこかに行ってしまいます。また、話が通じない(英語が通じない)と思われた場合も同様です。

 そんな状況での学会発表は高校生の自分にとって、とても刺激的でした。大学生になってからより一層思いますが、滅多に体験できるものではありません。


・更なる研究のため、インドネシアへ

 研究をさらに発展させるためには現地でフィールドワークを行う必要がありました。パランカラヤ大学の協力の下、2日間のフィールドワークを行いました。

 2年間も研究をしていると、現地を実際に訪れることの重要性を強く感じます。日本とは大きく異なる気候、文化などが大規模森林火災という1つの現象に大きく結びついています。

 他国の教授とのディスカッションは、現地を知り尽くしているからこそのアイデアが飛び交います。研究の進めていく上でとても大事な2日間でした。

 しかし、海外に行くということはハプニングがつきものです。泥炭地を訪れた際、なんとぬかるみにハマってしまいました!みんなに笑われ、車にはゴミ袋を履いて乗せられました、、、

 また、次の日はお腹を壊し、ゴロゴロピーのまま日本に帰りました。まさに「非日常」な二日間でした。

↑ぬかるみに落ちた直後

↑車内での様子

・終わりに

 最初のスクーリングでは周りに圧倒されていましたが、最終的には国際学会で発表できるまで成長することができました。ここまで来るのにかなり大変な思いをしましたが、「実際に体験する」ことの重要性を身をもって感じました。

 いくら人から話を聞いたとしても、自分が実際に体験することに越したことはありません。それは研究でも同じです!

 高校生だからこそできることがたくさんあります。是非、高校生のためのご支援お待ちしております!