みなさん大変お待たせいたしました!
石塚けんぞうです。
ついに【第二回 みやざき星空映画館】の
上映作品が決定いたしました。
1日目となる
5月5日 金曜日の作品は
あの「アメリ」を抜いて
世界的大ヒットを記録した歴代第1位のフランス映画
「最強のふたり」!!
© 2011 SPLENDIDO / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / TEN FILMS / CHAOCORP
貧困地区出身のアフリカ系青年ドリスと、
パリの邸宅に暮らす大富豪フィリップの交流を描く
実話をもとにしたヒューマン・コメディ。
パリジャンにして大富豪と聞けば誰しもがリッチな紳士像を浮かべるわけですが、彼には“不慮の事故による全身麻痺”という大きなハンディが伴っているのです。
そんな彼が新たな介護士として採用したのは
大らかで優しい男でもなければ、
ブロンドの美人介護士でもなく、
なんと
スラム育ちで介護経験ゼロという
素性の知れぬ強面の大男ドリス
発言は品に欠け、粗暴で危なっかしいことばかり。
正直はじめはイチ観客として、“そんなこと言っちゃダメでしょ!”と肝を冷やすシーンの連続。
しかし周囲は腫れ物に触れるような態度の人々しかいないフィリップにとって、それでも嘘のない真っ直ぐなドリスの姿とは「平等な世界」そのものだったのです。
障害者と介護士、富豪と貧民、白人と黒人...
社会的地位や生まれ育った環境の違いから、何度となく意見のぶつかり合うふたり。
しかしその度に逆境から理解と尊敬を見出して絆を深める彼らの姿とは、“人は他人と生きている”という当たり前なことに対して、実は誰よりも実直に向き合っているんです。
作品内に散らばる数々の要素は本来ならヘビーにのしかかるテーマであるにも関わらず、その湿っぽさをひっくるめて笑い飛ばしてしまう力強さは、かつてのハンディキャップ系映画の常識を覆すほど。
彼らの歯に衣を着せぬブラックジョークの掛け合いをスレスレ(いや、放送倫理的にはアウトかも)の笑いとして描きながらも、そこから観客の心を掴んで離さない感動へと昇華する脚本の器用さ、繊細さには初見時に驚嘆しました。
介護とは一般人にとって聖職にも近く、障害と聞けばコメディ映画が侵し難い領域です。一歩間違えれば“お涙頂戴”の胡散臭さすら放ってしまう難しい題材ですが、本作は荘厳な社会問題をあえて気持ち程度に抑えつつ、彼らの関係性が変化して、理解を深めていく姿にフォーカスを当てているところが親近感の湧く作り。
異なる価値観が響き合い、やがて迎えるクライマックスで魅せる完璧な着地点に思わず笑みが溢れながらも、なぜか涙が止まらないという不思議な高揚感。コメディ映画らしかぬ居心地のよさで劇場を後にした感覚は、あれから5年経った今でも忘れられません。
笑いながら泣かせるという、映画としてはイチバン難しいであろうことをやってのけた、フランス産の凄い映画ですよ!
フランス、ヨーロッパのみならず、本イベントの代表を務める大塚も含めて世界各国に根強いファンがいる本作。
フランス版アカデミー賞の位置付けにあるセザール賞では、
主人公ドリスに扮するオマール・シーが本作で
最優秀主演男優賞を獲得。
ハリウッドでのリメイクも決定とあり、まだまだ熱量の冷めやらぬ話題の映画です。
この機会に、ぜひ「みやざき星空映画館」でご覧になってはいかがでしょうか。
代表補佐 石塚けんぞう