2020/02/22 20:53

クラウドファンディング の締め切りまで残り少なくなりました。たくさんのみなさんからのあたたかいお気持ちに元気をいただいております。ありがとうございます。

今回は、プロジェクトのお仲間の野田一穂さんが、地元の夕刊デイリーに投稿してくださり、掲載された文章を紹介します。エンクロスでの写真展の文章もこの中から選んでいます。

まだお読みになってない方もおられると思います。長文ですが、ぜひお読みください。

神坐す山の奇跡―夏田山扇森稲荷神社復旧プロジェクトのこと
                      
12月23日24日の夕刊デイリー デイリーサロンより

 

 

無私の無心の手に神が宿る。
大変な災害に壊滅的な被害を受けた神社に集まった人の和を思うとこんな言葉が浮かびました。
9月22日、延岡を竜巻が襲いました。12年前と近いルートを辿り一瞬で木をなぎ倒し、多くの建物を壊滅状態に追い込みました。
夏田山扇森稲荷神社氏子総代の後藤福一さんは、外出中でしたが急を聞き、参道の入り口に駆けつけました。手作りの鳥居は倒れ、参道は大きな木が倒れて数限りない枝に埋もれています。とにかく神殿まで行かなければと、足を取られ滑らせながら、どうしても通れないところは遠回りをしながら這うように上って行きました。「大丈夫大丈夫」と自分と、おそらく神社に呟きながら、涙が出たそうです。たどり着いた神社は、屋根には椅子やドアが突き刺さり、何から手をつけて良いのかわからない状態になっていました。どうすればいいのだろう、頽れるような気持ちになりながら戻った後藤さんは、つい窮状をSNSで呟きました。それを見た友人知人が何かできることがないか、と声をかけてくれたのですが、その中に「ロハス南阿蘇たすけあい」とご縁がある人がいて、その方が「おやっさん」という愛称で皆から信頼されている代表の井出順二さんに連絡してくれました。
ロハス南阿蘇たすけあいとは、全国からの寄付だけで運営している災害ボランティア団体です。熊本地震の時に立ち上げました。いつもは南阿蘇村で活動していますが、災害が起 きたところへご恩返しと出向いて活動しています。今も東北などで活動されています。 おやっさんとお仲間はすぐに延岡にかけつけてくれました。おやっさん達はすぐに作業にとりかかり、それに呼応して地元のお仲間も復旧プロジェクトを立ち上げて神社の復旧作業が始まりました。熊本から福岡から遠くは東京から、おやっさんの投稿を見て、延岡に来て下さる。宿泊費もお礼も固辞し、中には名前も告げずに帰って行かれる。そして差し入れのお茶やおにぎりなどは地元の人々と和気藹々と輪になって座り気持ちよく平らげて下さる。この様子は毎日のようにSNS で報告され、それを見たお仲間達が投稿をシェアし、さらに支援の輪が広がりました。そこには気持ちだけで集う人達の暖かい和がありました。協力を呼び掛ける言葉も、1時間でも2時間でも手の空いた時にお気持ちがあったらという控えめなものでした。まなじりを決して頑張ることも大切ですが、復旧は長期戦です。誰でもがほんのちょっと何かできればなあと思い、その気持ちを持ち寄ることができる場なのでした。

人の手には到底処理の及ばない大木を切り倒し運んでくれたのは、延岡のボランティア団体とおやっさん達。集めた木の幹や枝を災害ゴミとして引き取って下さった会社もありました。それぞれの方がそれぞれ力をふるえる場所をみつけ、瀕死の山は少しずつ息を吹き返してきました。その様子はFacebookの「夏田山扇森稲荷神社復旧作業」のページで見ることができます。倒木に覆われ道も見えなかった参道が、少しずつ木や枝を取り払われ、やがては清々しく掃き清められた道に変わって行く様子を記録した写真は何度見ても感動します。おやっさんは支援の場の「受援力」という言葉を教えてくれました。支援する側と支援される側の信頼関係のようなものです。何かお役に立ちたいとかけつけた時、理解して受け入れてくれると復旧がスムーズに運びます。もちろん被災された方に言葉巧みに取り入って詐欺を働く悪い人達も現にいますから、それ無条件ということではありません。延岡では、まずロハス南阿蘇たすけあいがどういう活動をしいるのか知っている人が、後藤さんにつなぐことができました。そこから支援の輪が広がったのです。関わった人が次々に新しい仲間を連れてきてくれて、復旧が加速して行く。それはまだまだ善意というものがしっかり存在するのだと信じさせてくれる美しい光景でした。
そうしたつながりの中で、まさに時機が符合するように、市のクラウドファンディングプランコンテストが開催されました。後藤さんは今回のたくさんの支援に心から感謝し、何とか感謝の気持ちを伝えたいと思っていました。それは復旧した神社を見てもらうことだと思いましたが、倒れた鳥居一つでも元通りにするには、とても費用がかかります。そこでクラウドファンディングで協力してもらったらどうかという話も持ち上がっていたのでした。これもご縁のできた方が運んでくれた情報でした。夏田山扇森神社では毎年3月に初午祭をします。竜巻の惨状を見た時は絶望的になっていたこのお祭りを成功させて、こんなにも元気になりました、と力を貸して下さった方々にお知らせしたい、そんな思いが沸き上がりました。元々この神社は、地域の方々の病気を平癒祈願のため後藤さんのご先祖が何日もかけて本山に出かけ願をかけていたところ、ある日夢枕に神様がお立ちになって、その真心を誉め、その精勤の報いに山を開いて神社を立てそこで祈るようにというお告げがあり、開祖に至ったのです。人々を守るために建てられた神社が今度は人々に守られ、その御恩返しをする。きっと神様も喜ばれるのではないかと思いました。仕事の合間、何度もプレゼンの練習をしました。訥々とした後藤さんのお話ぶりは聞いている私達の心にしみました。誠実な思いと感謝にあふれていたからです。こうして挑んだ大会で見事グランプリを取りました。他の方々のプレゼンもどれもこの延岡を活気づけようという素晴らしいものばかりで、こうした方々との新しいご縁もまた嬉しいことでした。
その前に、ボランティアの皆さんへの感謝の気持ちを込めて、年末の29日9時半から神社のお掃除をします。まだ竜巻の痕が生々しい参道ですが、安全なところの清掃です。復旧プロジェクト、クラウドファンディング始動です。どなたでも歓迎いたします。ご一緒に初午祭に向けて祈りませんか?              

「野田一穂 延岡市安賀多町在住」