2015/10/27 17:00
廃品回収の中から新しい事業を見つける 転機となったのはリサイクルショップに入社して廃品回収の事業に携わったこと。2カ月半の勤めではあったが、ここでリサイクルの基本的なノウハウを身につけることができた。廃品回収に取り組みながら、次のステップへと飛躍する機会をうかがった。  一般的にはテレビやタンス類などはリサイクルがしやすく、ある程度の道筋もついていたが、その分、手がけている人が多く競争が激しい。寿命も長い。その結果、行き着いたのが中古タイヤのリサイクルだった。  車を買い替え、前の車を廃車するとなると、必ず中古タイヤが発生する。中には十分に使えるタイヤも多い。さらに車検制度が徹底している日本では、ミゾが減ってくると取り替えなければならない。このようなタイヤを自動車販売店から引き取り、磨き直して販売したり、車検制度のない海外へ輸出するのである。  県内を調べてみても、こうした事業を手がけている会社はほとんどないことが分かった。「これはチャンスだと思いました。やるからには県内でナンバー1の中古タイヤ販売店になってやろうと心に決め、一軒一軒販売店を訪ね歩いてタイヤを集めるところから始めました。当然ながら最初は門前払いでしたね」。しかし、置き場所に困っている販売店も多く、さらに高値で買い取ってくれるとの評判が広がり、数が確保できるようになった。  当初は資金的に苦しかったため、小さな店舗からスタート。販売の主力はインターネットやスクラップとしての販売だった。しかし、営業を続けるうちに、ネットで調べて直接店にやって来るお客様が多くなり、約1年後には現在の平出町に移転した。現在の店舗の総敷地面積は800坪あり、在庫タイヤの保管や工場に使っても、十分な広さが確保されている。在庫は常時1万本。「この規模は県内一ではないかと自信を持っています」と力強く語る。  創業以降、売り上げは順調に伸び、現在は店頭販売とネット販売が約3割ずつ、スクラップ販売が約2割、輸出販売が約1割といったところ。多角的な販売方法によってリスクの分散を図っている。お客様の要望で新品タイヤも扱うようになったが、主力はあくまでも中古タイヤであり、在庫となるのを防ぐために前金でお支払いいただくなどの工夫をしている。  もう一つ同社の特色はアルミホイールの再生に力を入れていることだ。車好きの人はホイールにも思い入れを持っている人が多い。そのゆがみや傷を、専門技術を持った社員が自社工場で丁寧に修理する。このサービスは愛好者にとても喜ばれているという。**