生活は便利になりましたが、想像も出来なかったいろんな社会問題が噴出する今日。
何かに追われて安らぎが失われつつあるように思います。
「貧しかったけれど心は満たされていた日本の時代をもう一度思い起こしてもいいのでは」と思い、私たちは「森崎伯霊 渡辺うめ 二人展」を開催することになりました。
この企画展を通じて多くの方に両氏の作品を知って頂きたい・見て頂きたいとゆう思いから、広報に係る費用をクラウドファンディングで援助して頂くことになりました。
ご支援、ご協力のほど、よろしくお願いいたします
出会えなかった二人が初の共演
二人のテーマである「田園賛歌」、「あぜみちの詩」、自然と共にひたむきに生きる人間の力強さ、美しさを五感いっぱいで感じる作品です。
渡辺うめさん
渡辺うめさんは、ご存知の方も多いと思いますが、1907年(明治40年)生まれ、2014年(平成26年)逝去されるまで日本の農村を愛し、人形を通じて私たちに心の在り方を伝えて頂きました。
2013年には私たちの桃井ミュージアムで展示会を開きました。その後ももう一度見たいとお声もたくさんいただき、渡辺うめの作品を知らない若い人たちに見て頂きたいと思い、再び企画しました。
●渡辺うめさんの作品
森崎伯霊さん
森崎伯霊さんは1899年姫路に生まれ、1992年に逝去されました。
地元姫路の田園風景を写実的に、かつ独特の色使いとタッチで見る人の心に溶け込む作品です。
●森崎伯霊さんの作品
2人の思いを同時に感じてもらう!
赤穂市御崎にある桃井ミュージアムには十分なスペースはありませんが渡辺うめさんの人形と森崎伯霊さんの絵画同時に見て頂くことで皆さまの生活に潤いが増すことを心より願っています。
(桃井ミュージアム)
(森崎大青さん)
1953年姫路市飾磨区中島に生まれる
7人兄弟の末っ子(四男)
ふたつの森 伯霊記念館の番人
川柳作家 〝ふところ句会〟代表
普段は植木屋
水無月の田んぼが大好きです。
稲作である米づくりは、八十八手間がかかると言われていますが、私は水無月の田んぼが大好きです。用水路から沁み入るように田んぼに水がはいると、田植えがはじまります。田んぼは一転して空を写し出しては広々と清々しい。
古くから、申し合わせたように蛙が鳴き出す不思議。
水路でほとばしる水音を聴いて、早苗が風に揺れる様を見て、当番でもしているみたいにこの時期は散歩をするのがたのしみです。
2008年1月1日、「農業共済新聞」の一面に、伯霊さんの「植田の朝」の絵を載せていただいたことがありました。同新聞コラム〝防風林〟では次のようなコメントが書かれていました。
これは何かの巡り合わせか――そんな思いをあらためて感じた。(略)
森崎伯霊作「植田の朝」
日本画「植田の朝」は、画集『田園散讃歌』(北星社)に収録。農村をモチーフとした森﨑伯霊さんの作品は、その場その時代を体感していなくとも、日本人の原風景を想起させる。都会の張りぼて文化とは違い、田園には心を休ませて暮れる作用があるようだ。(略)
作品使用にあたって伯霊さんの四男・大青さんからの手紙。「新春にはもっと似合う作品があるようにも思いましたが、田植えの稲作のスタートでもあるので、それも良いかと思いました」。そして「ご縁に感謝して」絵はがきセットをいただいた。(略)
渡辺うめさんとの出会い
伯霊さんの作品を掲載する縁で、画集を発行した北星社からは人形作家・渡辺うめさんを紹介する『うめさんからの贈り物』(吉田ふみゑ著)と作品集『あぜみちの詩・第四集』が届いた。75歳から本格的に創作を始め、89歳でテレビ「徹子の部屋」に出演し、今年101歳。作品は昭和20年代の農民の生活を浮かび上がらせる。作品集を紹介されたのは「新年号の表紙にぴったりの作品」と薦められたからだ。実は本紙記者が取材していた。記事は2004年の新年号に掲載。うめさんと、ぐるっと回って再会したわけだ。一つの絵を選んだことでさまざまな人とつながりができた。優れた芸術作品にも出合えた。(略)
この秋、桃井ミュージアムで伯霊さんと、うめさんの展覧会をすることになり、この新聞を思いだしたのです。
二人とも、明治、大正、昭和、平成と激動する世の中で、ひたすら生きて我が道を極めてきました。もう他界した二人の、初めての二人展になります。農村や農家の人々を見つめた二人が、伝えたかったことは何だったのか。作品の中から聞こえてきそうな気がします。うめさんはしっかり衣食住を語るだろうし、伯霊さんは剽々と絵のこころを語るであろう。くっきりと浮かび上がる時代が見えてきて、未来につながるヒントがうかがえるのではないかと今からたのしみにしています。
手のひらに米粒をのせてみて陽にかざすと、半透明の温かみが伝わってきます。確かに人が生きてゆくことの、まばゆい輝きのようにも思えるのです。
(吉田ふみゑさん)
1951年、多可郡多可町に生まれる。1988年、歴史民俗史誌「サーラ」4号から編集長。
1989年、農民人形作家渡辺うめさんに会う。以来サポートと紹介。
2006年、姫路文化賞受賞(姫路文連)。
著書に『うめさんからの贈り物』2007年北星社、『丹波布に魅せられたひと』2012年北星社。
“うめさんの同志に贈ることば”
うめさんが「農民人形」を作り始めたのは75歳からで、それまでは油彩で農家の人々の姿を描いていた。そんなうめさんに、伯霊さんの絵を見せたいと思っていた私は、姫路のギャラリーで伯霊さんの絵が展示されているのを知って案内した。わずか二点の絵であったが、食い入るように見て「こんな画家が姫路にいたなんて知らなかった。もっと他の絵も見たいね」と言われた。
うめさんが伯霊さんの絵をたくさん目に出来たのは、1994年、没1年が過ぎて姫路市立美術館で開かれた「ふるさと讃歌 森﨑伯霊 丸投三代吉展」だった。代表作50点が一堂に展示された素晴らしい展覧会だった。
その翌年の1月、飾磨中島の森﨑大青さんの家を訪ねる機会に恵まれた。
訪ねていくと、落ち着いた和室に大作を中心に数点が飾られていた。身近に見られるので、嬉しくてため息がもれた。春江夫人(故人・当時八六歳)が伯霊さんの絵の前に座っておられた。その姿はまるで空気のようだった。
ここに、うめさんを連れてきたいと思った。絵を見て、春江さんに会われたら、うめさんはどんな話をされるだろう。想像すると楽しかった。
他人の家に行くのは大の苦手といううめさんだったが、喜んで誘いに乗って下さった。
うめさんは、はじめて会った春江さんに、まずこう言われた。
「本当に、こんなに百姓の姿の絵をたくさん描いて残して下さって嬉しいです。よく応援してあげられましたね。ご苦労されたでしょう」
まさに同志に贈る、うめさんの言葉であった。
春江さんは明朗な声で答えられた。
「はい、いい絵を描いてくれました」
なんと得がたい二人の会話だったことか。
この度、桃井ミュージアムで、伯霊さんとうめさんの二人展が開かれる。なんというご縁だろう。心からお手伝いさせていただきたい。
二人展会期中には、吉田ふみゑさんと森崎大青さんを囲んでの茶話会を企画しています。
●吉田ふみゑさんと森崎大青さんを囲んでの茶話会
*9月 8日(日) 14:00~
*9月22日(日) 14:00~
●石野眞菜さん、吉田ふみゑさん、森崎大青さんによるギャラリートークショー
*10月26日(土) 14:00~
●渡辺うめ直伝!!スキー人形ワークショップ
*10月26日(土) 10:00~
資金の使い道
展示施工、運営費の一部に使用します。
(クラウドファンディング手数料を含む)
お問い合わせ先
〒678-0215 兵庫県赤穂市御崎634
TEL&FAX: 0791-56-9933