農業の世界はTPPや少子高齢化による需要の減少によって、明るい未来があるとは言えません。2015年の秋までは異常気象で大雨や本案件の台風などが多く日本中の農場で不作の年でした。逆に今は温度が高く、晴天率が高いため豊作傾向で市場価格が大きく下がっています。
今回のレポートでは自分がこの農場を将来的にどのような農場にしたいかを書かせていただきたいと思います。
目標その1:「地域の野菜室」になりたい。
「知り合い自給率」という言葉があります。政府の出す食料自給率でなくて、「知り合いの農家から買ってる割合」です。「安心・安全」という言葉がありますが、安全は科学的なリスクの低さ、安心はコミュニケーションによる信頼感だと思います。安全はもちろんですが、鹿児島の方、特に地元の方に「あそこのトマトなら安心だ」と言っていただき、「知り合い自給率」を上げる一因になれればと思っています。
目標その2: 「単位面積あたり売り上げ」を安定させるビジネスモデルを作りたい。
農業は普通の仕事と違う、とおっしゃる方は多いですが、マーケットや人為的な通常のビジネスリスクに加えて天候や災害などの「環境リスク」が大きな割合で加わるからだと思っています。そのため、農業の売り上げは毎年安定せず、収穫払いのためキャッシュフローは常にきついままです。
その中でオリザ鹿児島ファームの新しい取り組みとして、飲食店向けの区画単位での契約のテストを開始しています。農場区画を飲食店は自社農場としてPRに利用でき、固定価格を農場は管理料として受け取って生産物を送るモデルです。これなら毎月のキャッシュが収穫より先に入り、かつ安定させることができます。どの規模での契約になるか未知数ですが、今後、主力に成っていければと期待しています。
また資金調達の手段を補助金のみに求めるのでなく、今回のようなクラウドファンディングや各種ファイナンスの手段を利用する手法も経営リスクの低減のため、広がってほしいと思っています。
目標その3:「人材を育てる農場」になりたい。
農業生産法人における人のマネジメントは本当に難しいです。閉ざされた空間で肉体的にも精神的にも負荷の強い仕事が多く、天候次第では今回のような努力を水泡に帰すような災害も起きます。「倦まず諦めず」本当の意味でのプロジェッショナルとして態度が求められてきます。また今、農業は日本国内だけでは止まりません。今までオリザ鹿児島ファームでもインドでのパプリカ栽培や、タイへの輸出、アメリカ人の研修生受入、オランダでの研修や資材の直輸入など海外との案件を行ってきました。農場から経営も栽培も出来、国内外でも活躍できる、そんな人材が巣立ってくれればと思います。
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やや、クラウドファンディングの趣旨とは異なりますが、このクラウドファンディングの目的は皆様にオリザ鹿児島ファームという農場との「繋がり」を持っていただき、これにとどまらず色々なお付き合いをさせていただく事になります。この場を借りて所信表明をすると同時に、もう少しで達成ですので、クラウドファンディングにもお付き合いいただければと思っております。