アメブロにて、「瑠璃色の空」を連載しています。興味を持ってくださる方が増えることを祈っています。
#青春 #小説 の付いた活動報告
ここのところ、連日アメブロに投稿しています。自作を少しずつ紹介し、雑感を書いています。yumeasitae002これで検索してみてください。もちろんプロジェクトの紹介もしています。
今日はSF作品の人間消失シーンの一部のご紹介をします。「博士は なぜ、頭を抱えたのか。」暦は十二月になっていた。事件は静かにそして速やかに起こった。 ニューヨークの朝は冷え込んではいたが、澄んだ空気が遠くの景色を近く見せていた。証券会社のオフィスにやってきたジョージがミシェルと軽口を叩きながらデスクについてパソコンのスイッチを入れた。「おいミシェル、僕の誕生日を祝ってくれる人がいるみたいだぜ」ジョージのパソコンの初期画面にこんな文句が出ていた。(ハッピーバースディ。今日が人生で最良の日でありますように。この先にささやかなプレゼントを貴方に)「どうせ新手の広告でしょ」「ああ、でもどうして僕の誕生日が今日とわかったんだろう」「馬鹿ね、当てはまる人がクリックすればいいのよ。どうぞ」ミシェルがジョージのデスクにコーヒーを置いて背を向けて自席に戻っていく。「あぁ、ありがとう。それもそうだな。まっ、でも話のついでに覗いてみるか」 気配がなくなったような気がして振り向いたミシェルが見たのは、デスクの上のコーヒーカップと何事もなかったように揺らめく白い湯気だった。
今日は、「疾風となれ」の百メートル競技のシーンをご紹介します。目標に向かって頑張る中学1年生の男の子、駿の青春を描きました。「疾風となれ!」スタート地点に着いた。僕は四レーンからのスタートだ。ふとフィールド内を見ると男子の走り高跳びが行われていた。彼らの助走を見るたびにトムソンガゼルが目に浮かぶが百メートルのランナーは何に喩えられるだろう。こんな時にそんな考えが浮かぶのも不思議だった。 彼方のゴールに目をやった。僕の走るレーンを挟む白線が、決して交わることがないのに頂点に向かって延びているように見えた。 五十歩勝負だ!「ON YOUR MARK」「SET」「!」 うまくいった。目の前の赤茶けた路面が瞬時に川となって流れる。前傾のまま三十メートル。全力で加速。スパイクが路面を後ろに弾く。地球の自転を助けるように。スピードに乗れた。頭を上げて前を見た。左右の視野の片隅にのみ気配を感じた。さらに加速を続けた。六十メートル付近、互いにここがトップスピードの位置だ。百メートルはスタートしたらためらいも優越もかけひきもない。ひたすら前を向いて進むだけだ。耳を吹きすぎていく風の音だけが聞こえる。僕の手足は昆虫の神経節のように僕の意志に無関心を装って運動を続けている。 五メートル先を通過したとき、僕はギアをニュートラルに戻した。そのまま惰性で数メートル走り、ジョギング程度のスピードになったあたりで振り向いて計時を見た。十一秒三。危うくガッツポーズをしそうになった。よく見ると追い風二メートルと出ていた。参考記録だ。だが、僕は実際にこのタイムで走ったのだから嬉しくないわけがない。むしろ自己ベストを更新する十分の一秒を後押ししてくれた風に感謝だ。




