2020/07/30 21:54

「草の葉クラブ」が扉をたたいたのが「CAMPFIRE」だが、そのホームページを訪れると、最初のページに、「Mission」「Vision」「Value」が書かれている。その全文をこの冊子に植樹しよう。言葉がきらきらと光っている。それはこの会社の存在がきらきらと光っているからだろう。

Mission 資金集めを民主化し、世界中の誰しもが声をあげられる世の中をつくる。

Democratize financing, and make it easier for anyone anywhere to make their voice heard.

インターネットが普及したからこそ出来るようになったこと、を私たちはよく考えます。 それは、誰しもが、例え小さくても、声をあげられるようになった、ということではないでしょうか。 今まで一部の人たちや組織が独占していたりして手が届かなかったものが、インターネットによって一般の私たちにも気軽に使えたり参入できるようになりました。クラウドファンディングは資金集めを民主化した仕組みだと私たちは考えます。 「小さな火を灯しつづける」を合言葉に、私たちは誰でも声をあげられる世界を創っていきます。

Vision 優しい革命をおこす

Start a Gentle Revolution. 

「この国にはなんでもある。だけど希望だけが無い。」 村上龍「希望の国のエクソダス」で主人公がつぶやくこの言葉が、いまの日本を表している気がします。高度経済成長・近代化を遂げ、私たちは豊かになりました。 しかし、一方で行き詰まりを感じることも増えてきたのではないでしょうか。 少子高齢化、不景気、震災、心の問題、働き方。様々な問題が次から次へと噴出しています。 成熟した日本、ポスト資本主義をどう生きるのか。いま私たちは問われているのではないでしょうか。 ポスト資本主義の生き方。それは「あらゆるものを個人の手に取り戻す」ということなのではないか。 インターネットとはあらゆる権威を解体し民主化するものだと私たちは考えます。私たちはインターネットを通じて、革命を起こし、あらゆるものを個人の手の元に取り戻します。既存の仕組みを破壊するのではなく「アップデート」する。血の流れない革命、それを私たちは「優しい革命」と名付け、Visionとして掲げています。

Value CAMPFIREではミッションを達成すべく十のバリューを設定しています。これらはCAMPFIREのコアな価値基準であり、四半期ごとに行われる評価面談やフィードバックや採用時にも常に確認されます。

1 インターネットがあらゆる権威を解体するものである以上、僕らもまた権威主義、大企業病に陥いらないように気をつけよう。大企業病になることが最大のリスクである。

2 傍観者であってはならない、常に自分の頭で考え、他者や社会のために自分に何ができるのかを考え続けよう。give&takeではなくgive&give&giveの精神でいよう。パスを回すものにこそ、パスは回ってくる。

3 小さな火を大事にしよう。クリエイターやプロジェクトオーナーへ愛や敬意を持って接しよう。神は細部に宿る。細部まで丁寧な仕事をしよう。

4 人に優しくあろう。痛みを知っているからこそ、失敗を過去にしたからこそ、他者に優しくできる。

5 どんどん失敗しよう。失敗を恐れると、「何もしないこと」が正解になってしまう。大胆にチャレンジし、数多くの失敗から学んでいこう。個人も、チームも、組織も、常に変わり続けよう。停滞は後退だ。

6 相手を信頼して任せよう。信頼とは、疑うことではなく、任せるところから始まる。信頼するとは、見返りを求めず、相手の失敗をも引き受けるという態度である。

7 言葉を大事にしよう。言葉は態度となり、態度は必ず相手へと伝わる。常に謙虚な気持ちを忘れず、軽薄な言葉や、誰かを貶める発言に気をつけよう。

8 安易に答えを出すのではなく、常に問い続けよう。学びを怠らず、 慢心せず、謙虚な気持ちでいよう。正解なんて無い。この世は課題だらけだ。

9 チームで最高のプロダクト・サービスをつくろう。チームとしてどのような成果をあげているか、そこに個人としてどのように貢献できているか。オーナーシップを持って、執着心と責任感を持ち、プロとしてベストを尽くそう。

10 インパクトのあるイノベーションを生み出し、批判を恐れず、世の中をざわつかせよう。ざわつきとは熱量だ。炎上を恐れない。常にポジティブ、自由主義、楽観主義でいよう。

はげしいいじめによる引きこもりが、ぼくの原点だった  家入一真

CAMPEIREの創業者、家入一真(いえいり かずま)さんは中学のときにはげしいいじめにあって学校にいけなくなる。しかしそれはたんなる引きこもりではなく、新聞配達をして自己を保っていたようだ。そして芸大を目指して、毎日油絵を描いていたが、それも父親が再起不能の交通事故にあい、長男だった彼は一家を背負って就職する。しかしその就職も、やがて会社にいけなくなり、ふたたび引きこもりの状態になる。そんな試練を背負って立ち上げたCAMPEIREは「優しい革命」をめざしている。しかしその優しさとは厳しい試練に立ち向かってきた優しさで、革命は優しさだけでは生まれないことを彼はまたその会社に厳しく縫い込んでいる。      

──ぼく自身は、中二でほぼ学校にいけなくなって、いじめとかがきっかけになっているんですけれど、そうやって家にこもっている間は、もともと絵を描くのが好きだったので、油絵を好きなままにかいていたりしていて、途中からちゃんともっと絵を学びたいっていう気持ちが芽生えてきて、ちゃんと芸大とかに入って、絵を学びたいっていうことで、新聞配達をしながら、朝配って一日中絵をかいてまた夕方になったら、新聞配達をして、合格できたらいいなあと思っていたんですが、ある日、父親が突然、軽自動車で配達をやってたんですけど、その運送の途中で事故ってしまって、もう働けない身体になってしまって、ぼく長男だったので、妹と弟がいたんですけど、お前が働かんともう生活できないということになって、急遽、そういう絵をかくみたいなものをあきらめざるをえなくなったんです。

──なんとか絵をかいたりしていたこともあったので、福岡の片田舎だったんですけど、デザインの制作、さらに下請け会社みたいなところに入ることができて、そこで働きはじめたんですけど、ずっと引きこもって、まあ新聞配達はしてたものの、ほぼ引きこもりと絵をかくことしかしてこなかった人間なので、いきなり会社に入って、朝定時で出社して、打ち合わせとか、他者との交渉とか、もう本当に苦痛でしょうがなくて、やがて、時間通りにいくってことができなくなって、結局、また中学生のときの引きこもりのときと同じような状況になっちゃったんですよね。なんかもうぼくは、どこかで就職して働くってことが、本当にできないんだなっていうことを深く実感したと同時に、とはいえ生きていかなきゃいけない、じゃあ、人に会わずにできる仕事をなんかつくりだそうと思ったときに、レンタルサーバーだと思ったんですよ。

──とにかくぼくみたいな稼ぐことができないような人間だったり、あとは学生とかですよね、学生とかが、自分の描いた絵とか、作った音楽とか、日記とか、そういったものをもっと気軽にアップロードできるような時代にならないといけないと思っていて、まあ、いつかはなるんだろうけど、まだまだハードルが高いなと思っていたので、格安のレンタルサーバーを作ろうと思って作ったのが「ロリポップ」っていう一番最初のサービス、「ペーパーボーイス」っていう会社なんです、でも当時は、本当に起業したくて起業したわけじゃなくて、どちらかというすごく後ろむきで、やらざるを得なかったみたいな、生きる手段みたいな感じの起業でしたね、二四歳の後半とかです。

──人間ってだれしも一冊の小説になる分の人生は歩んでいるんだと思うんですけど、そのなかで、じゃあ自分は今何ページぐらいなんだろうなって考えますね、でもまあ例えば、年齢イコールページ数でもいいや、ぼくはいま三九ページまできているわけですけれど、今まで三九ページ分の小説っていうストーリーがあるわけですよね、それでいま福岡で生れて、中学校でいじめにあって引きこもって、その後起業してみたいな、でも失敗してみたいな、それがずっとストーリーとして、こう三九ページあって、じゃあその次の一ページはどう描こうか、さらに次のページはどう描こうか、その積み重ねだと思うんですよね、いきなり大きな事をしようとしたり、いきなり大きな夢をえがいてしまうと、やっぱり最初の一歩が踏み出せないで、そのまま日々がすぎていってしまうことって往々にしてあるじゃないですか。

──その時、大きな事とか、大きな夢とかじゃなくて、顔が思い浮かぶ身近なだれかを喜ばせるといったところから、小さな一歩ってはじめると思っていて、で、その先に同じような喜ばせたいと思う人が抱えている課題と、同じように課題をかかえた人が、もしかしたら日本中にいるかもしれないし、世界中にいるかもしれない、でもそれって最初の一歩からはじまるんですよね、きっと。なので、まずは最初の一歩を踏み出してくださいっていう単純な言葉で落ちていくんですけど、いつもなにをやっていいかわかんないとか、それで立ち止まっている子には、このアドバイスをするようにしていますね。