はじめに
短編映画『WAO』は2020年10月17日に行われる第10回きりゅう映画祭の公式作品として公開に向けて制作を進めております。
完成後はきりゅう映画祭のみならず、国内外の映画祭にもエントリー予定です。
『WAO』って?
舞台は真夏の桐生市。
"古典落語"と"ASMR収集"が趣味の男子中学生・小松和央は、
ある日近所のボウリング場で奇妙な3人組と遭遇する。
"にんじん好き"の大柴モナミと、"スケボー好き"の中野吾郎。
そして、ミステリアスなオーラを放つ大人の女・ウフ。
ウフは和央に「迎えに来たから一緒に帰ろう」と言う。
行き先は地球から遥か離れた場所にある惑星パルナス。
実は3人の正体は宇宙人だった。
「あなたも私達と同じ仲間なの」と言っても和央は信じようとしない。
ウフは驚愕のパワーを披露して和央を強引に納得させる。
突如地球を離れることになった和央。
しかし、ひとつだけ気がかりなことが。
それは、日頃から喧嘩の絶えない両親の存在だった。
和央は3人の力を借りて両親の仲を修復しようと試みるが、
それが思いもよらぬ結果を招くことにーーー。
制作経緯と想い
桐生映画祭の公式作品として制作が決まったのは2020年2月半ば。
遡ることその3週間くらい前、私は日曜の夜の新宿郵便局窓口に並んでいた。
何事にも期限ギリギリでなんとかどうにかやっている私はこの桐生映画祭の企画コンペ用の提出書類も消印ギリギリの提出となってしまっていた(実際には提出日を勘違いしており1日前だった…)。
その頃は春節の真っ只中でまだアジア方面を中心とした外国人観光客と思われる大勢の利用者が大きな荷物を抱えてにぎやかに順番待ちをしていた。
郵便局窓口での順番待ちは、その時のツイッター情報によると2時間以上の待ち時間だった。
急ぐのはもうあきらめて周りをよく見てみると、春節で浮かれた観光客かと思いきや多くの利用者はダンボール箱いっぱいに詰められた"マスク"を送る順番待ちをしているみたいだった。
少し不思議な光景ではあったけど、このときはまだ2020年の夏がまさかこんな事態になっているとは夢にも思わなかった。
ギリギリに提出した企画は2月半ば、無事コンペを通過・制作が決定して私の所属するダダビ内で小さな制作チームが結成された。
私の普段の仕事である広告映像案件の撮影は3月の頭までは、なんとか通常運転で行われていたが、世の中の状況は刻々と変化していた。
そして4月、新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間がはじまった。
イベントやライブ、舞台などが開催できなくなり、映画館も飲食店も営業できなくなった。
私もいくつかの仕事がなくなったりして、日々入ってくる情報に一喜一憂して落ち着かなかった。
一方で映像制作のトレンドは"リモート制作"に移行しており、それぞれの部屋の中からたくさんの作品が生み出されていた。
優れた作品もたくさんあったが、悔し紛れに「こんなのは映画じゃない」なんて言ってイキったりしていた(申し訳ありません…)。
しかし過度の心配性でもある私は、海外の繰り返されるニュース映像を見ながらもうこの事態は元に戻らず、人が大勢集まる映像の現場はなくなるのではないか、ましてや通常の映画制作なんてとてもできる状況には戻るわけがないと絶望したり、その次の日には"感染症と文化"みたいな本を読んで、この事態はきっと意味があることだし、映画にも活かそうなんて思って自分を奮い立たせたりしていた。
5月25日に緊急事態宣言が解除されて、6月半ば頃には少しずつ仕事も戻ってきていた。
自分の仕事や、周りの人々の活動が再開されつつあることから映画制作の希望も少しずつ見えはじめてきた。
企画の脚本化は少しずつ進めていたが、コロナ禍以前に企画した内容でそのまま進めるわけにも行かず、しかし情勢に流されすぎるのも良くないと思うこともあり、なかなかストーリーが決められずにいた。
別の作品を一緒に作っていた脚本家のアサダさんに相談して、脚本をお願いすることにした。
7月に入り、再び感染者数が増加しはじめた。
前述の通り危険厨の私としては予想していた事態だったので、制作への気持ちはブレなかった。
書類選考、リモートオーディション、対面オーディションを行いキャストの面々も素晴らしくフレッシュなメンバーが揃った―
多くの人が大変な事態に直面しているなかで不要不急の自主映画なんて、と思われても仕方がないと思います。
しかしこんな状況だからこそ、つくることはやめられない。
2020年以降、世界中の映画、そして映画祭、俳優たち、スタッフは一体どうなってしまうのだろうか?
私たちは予測できない事態に立ち向かいながらそれでもつくるしか、できることはないのだと思います。
そしてそれを成し遂げるには出演者、スタッフ、そしてロケーションを提供していただく地元のみなさんの安全を第一に考えて、少人数の精鋭チームでの新しい制作を築き上げながら制作することが重要であり、これからの映像作の現場の希望へつながることだと考えています。
監督 安村栄美
キャスト&スタッフ
◯和央:岡野敬
◯モナミ:宮下咲
◯吾郎:前出燿志
◯謎の女ウフ:筒井のどか
◯麻美:菊池明明
◯潤一郎:瀧川鯉八
キャストインタビュー
◯監督:安村栄美
Eテレ番組のディレクターを経て、2017年より広告・MV等制作活動の幅を広げる。
「LUMINE meets ART AWARD 2017」入選。映像作家100人2020選出。
◯脚本:アサダアツシ
ドラマ、バラエティからアニメ、漫画原作まで幅広い作品を手掛ける。
映画「his」の脚本を担当。
◯撮影:坪沼佑治
◯照明:三代宇宙
◯ヘアメイク:舟﨑彩乃
◯録音:川口陽一
◯VFXスーパーバイザー:坂本由紀夫
◯コンポジター:藤原美咲
◯サウンドミキサー:原貴士
◯音楽:宮﨑雨水男
◯プロデューサー:足達一秀
◯ラインプロデューサー:浅野宏
◯プロダクションマネージャー:高橋朋佳
◯制作協力:尾上駿平・近藤佑歩・田村星馬
◯テーマ曲「今夜悪いことしよう」
Words & Music by : tomodati
◯プロダクション:ダダビ
CM、MVなどの編集・企画・演出をはじめ、楽曲制作や広告・グッズのロゴデザインまで様々なものづくりを手がけるクリエイターたちが集うダダビ。個性豊かなクリエイターたちが手を取り合い、一から映像を作ることにも挑戦し始めています。
そんな一人一人が従来の枠にとらわれず、挑戦を続けるダダビにとって、今回がはじめての映画制作となりました。
スタートダッシュに相応しいフレッシュな作品へ、スタッフ一同最後まで尽力してまいります!
ご支援について
みなさまからいただきましたご支援は追加制作費、編集費、宣伝費、また映画上映費等に使用させていただきます。
リターンについて
ご支援額に応じてリターンをご用意しております。
さいごに
最後までお読みいただき誠にありがとうございます!
本作は、和央、モナミ、吾郎、そしてその周りの人々を通して、人間のおかしくも愛おしい姿を描き、肯定するストーリーです。この未曾有の2020年につくられた短編映画として永く愛されるような作品を目指して、丁寧な仕事で仕上げていきたいと考えております。
何卒よろしくお願いいたします!
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