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荒廃した奥地人工林を『低コストで管理できる森林』へ!

日本の林業は衰退に歯止めがかからず、里山奥地の人工林は管理がままならぬ事態へと陥っています。私たちは人工林に隣接する天然林から広葉樹の侵入を誘導し、放棄された奥地の人工林を効率よく天然林へと戻すことで、多面的機能が高く、「低コストで管理できる森づくり技術」の開発と普及を目指します。

現在の支援総額

1,560,000

173%

目標金額は900,000円

支援者数

145

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2020/10/20に募集を開始し、 145人の支援により 1,560,000円の資金を集め、 2020/11/30に募集を終了しました

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荒廃した奥地人工林を『低コストで管理できる森林』へ!

現在の支援総額

1,560,000

173%達成

終了

目標金額900,000

支援者数145

このプロジェクトは、2020/10/20に募集を開始し、 145人の支援により 1,560,000円の資金を集め、 2020/11/30に募集を終了しました

日本の林業は衰退に歯止めがかからず、里山奥地の人工林は管理がままならぬ事態へと陥っています。私たちは人工林に隣接する天然林から広葉樹の侵入を誘導し、放棄された奥地の人工林を効率よく天然林へと戻すことで、多面的機能が高く、「低コストで管理できる森づくり技術」の開発と普及を目指します。

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2021/08/31 18:14
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こんにちは。雨がやっと止んだと思ったら8月も終わりですね。過ごしやすくなるのが嬉しい反面、晩夏の空気に一抹の寂しさを覚えます。

林道整備の開始

さて、林道開設作業がいよいよ開始しました!活動報告には写真が間に合わなかったのですが、次回以降その様子をご紹介できればと思います!

昨年行った林道開設場所の下見。ここに道を通します!

本日のトピック

ということで、今日は次の4つのトピックをご紹介します。

1.  県立神島高校写真部の皆さんの来林
2.平井の送り火
3.土壌処理実験の経過報告
4.今後の実験の予定


神島高校写真部の皆さんが来林しました!

8月23日に、近くの田辺市にある和歌山県立神島高校の写真部の皆さんが来林しました!実はこの方々、高校写真部の全国大会である「写真甲子園」に7年連続で出場され、3年連続で優勝したこともある超強豪写真部です。県内のみならず写真を趣味にしていれば、どこかで聞いたことがあるという人がいるぐらい有名で、特に撮影者が風景に溶け込んでいるかのような視点から生み出される作品には驚かされます。

参考に神島高校写真部さんの作品のリンクも貼っておきます。

そんな方々がなぜ来林したかというと、僕が「ぜひ来てください!」と顧問の先生に頼んだからにほかなりません笑。快諾して下さった先生には感謝しております!ありがとうございました!

ではなぜ、一見すると関係なさそうに思える写真部の皆さんをお呼びしたかというと、大きく2つの理由があります。一つは、折角研究林で面白い実験をやっているので、地元の方々にも知ってほしいと思っていたからです。もう一つは神島高校の皆さんが持つ、風景に溶け込む能力と生態学的な視点を融合して、森の一部になった視点からどのような風景が見えるのか知りたかったからです。

補足1:学術雑誌「Ecology」の定義する生態学

後者の理由についてもう少し詳しく説明すると、私達は自然を観察するとき、どうしても1個体の人間として森を見てしまいます。例えばマムシやゴキブリ、ヒルやウルシは人間にとって有害なので、どうしても嫌なモノとして認識しがちですよね。しかし、森林の木や落ち葉、昆虫やキノコなど、森に住む当事者となって森林を見てみると、それぞれにまた違った役割が見えてくると思います。そして、そうした視点で人間を含めた世界の関係性を理解していくことが生態学という分野でもあります(補足1)。そのため、写真部の皆さんの活動は我々にとっても新たな発見につながるのでは!と思い、ワクワクしながら同行していました。

また、山だけではなく平井集落でも撮影の時間をとってもらうことにしました。どんな風に話しかけていくのかなと思って見ていると、あっという間に溶け込んで談笑していたので驚きました。後日、集落の方に話を聞くと「俺も撮ってもらった!」と嬉しそうに話してくれたので、お呼びして良かったなと一安心です。

今後も継続的にいらっしゃっていただけるようなので、美しい平井の四季折々の風景や、そこで暮らす方々を是非とも切り取って頂きたいと思います!


平井の送り火

神島高校写真部の皆さんが来林した1週間前、平井でお盆の迎え火や送り火が焚かれていました。迎え火は用事で見ることが出来なかったのですが、最終日の送り火だけは見ることができました。

東京出身の僕は、送り火と聞いて、割箸を折ってたき火みたいに小さく燃やす姿を想像していたのですが、平井の送り火は全く異なるものでした。

平井の送り火

大きな竹の先に松明を取り付け空高く持ち上げるのです。スケールの大きさに少々驚いてしまいました。なぜこのような形で送り火を行うのかは分からないそうですが、「山の中だから高く上げとかないと見えないんとちゃう?」という地元の方の説が妙に説得力があります笑。

平井の全ての家がこの形式で送り火をするわけではないそうですが、以前はもっと多くの家がこの送り火を行っていたそうで、神社からの道が延々と照らされてそれはそれは綺麗だったとか。是非もう一度その様子を見てみたいですね。

夕暮れ時、暗くなる熊野の山々を背景にゆらゆらと燃える様子はなんとも神秘的な光景でした。来年は僕も参加して集落で一番高い送り火をやりたいと思います!

集落で一番大きい送り火を焚くという職員さんのお家にお邪魔しました。設置するのも2人がかり。だたし、今年はこれでも小さい方らしいです⁈

また話を聞くと、迎え火は3本も松明を玄関先に並べるそうで、その光景も格好良いそうです。また最終日の朝には川まで降りておにぎりを乗せた船を流すそうです。これはご先祖様のお弁当だそうで、こちらも来年こそは見てみたいなと思っています!


土壌実験の経過

さて、実験の話へ移ります。以前紹介した土壌実験を開始してから1か月が経過しました。今のところ、枯死したのは2~3個体/500個体なので生存率に差は見られません。そこで葉の枚数で影響を評価してみることにしました。結果が下の図になります。

図1:葉の枚数の経過観察 8/27

注意して頂きたいのは、初期値を記録していないので、今後の葉の枚数の変化で土壌処理の影響を評価する必要があることです。それを念頭に、現時点のデータだけで統計解析を行ってみました。すると、アセビで殺菌済み土壌の方が有意に葉の枚数が多くなっていました(他の種については有意差は、地点、土壌処理の両方において有意差はありませんでした)。今後の観察で、この差が広がっていくかどうかが気になるところです。

図2:2020年秋調査での人工林30m地点と5m地点の樹高差を示す指数。プラスの値が大きいほど30m地点の方が樹高が高く、マイナスに大きいほど5m地点の個体の方が樹高が高いことを示す。

このアセビですが、昨年度の毎木調査の際に人工林内の5m地点と30m地点で、平均樹高差が比較的大きかった種です(図2)。つまり、僕の仮説が正しければ、母樹集団である天然林の天敵の存在を強く受けている種ということになります。一方で、マンリョウは出現頻度が低かった種、ヤマグルマは出現しなかった種です。場所特異的な土壌のフィードバックが働いているかどうかも今後の変化次第で明らかになるかもしれません。今後の経過が楽しみですね!


今後の実験の予定

9月の中旬から土壌実験と平行して、間伐施業地での秋季毎木調査を行います。この調査では、春に確認された実生を追跡調査し、生存率や成長量を明らかにします。Seiwa et al. (2008)によると、梅雨時は土壌由来の病害による枯死が発生しやすいそうので、その前後の調査結果を比較することで土壌の効果が見えやすくなっている可能性もあります。

さらに、皆様にご協力いただいた間伐の効果にも注目です。間伐した幅によって成長量や生存率に差が生じていると、最適な伐開幅の検討へつながりやすいだけでなく、「土壌ー植物フィードバックと光環境の関係性を見る」という次の実験にもつながります。調査が終わるまで何とも言えませんが、非常に楽しみな調査であることには間違いありません。恐らく結果をお伝えするのは11月ごろになりますが、どうぞお楽しみに。



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