2013年、2017年、そして2020年
トリエンナーレ「SMオペラ」
「SMオペラ」は2013年のワーク・イン・プログレス(試演)を経て、2014年、アトリエ劇場「藝術工場◉カナリヤ条約」(大阪)で、「SMオペラ〜上海編」として初演しました。仏・エロティック文学の最高峰「O嬢の物語」をベースにした作品で、寺山修司の映画「上海異人娼館」へのオマージュでもあり、演劇にバレエやコンテンポラリーダンスを融合させるのはもちろん、さらには伝説のストリッパー・飯干未奈の舞踊や、遠藤智子による日本随一のダイ族舞踊、そしてSMフェティッシュショーまでもをコラボした舞台でした。
3年後の2017年、「SMオペラ」は「Shanghai Maiden OPERA〜上海的處女」として、舞台芸術の殿堂「近鉄アート館」(大阪)で再演しました。主演には栗須香練を抜擢。大きな舞台に初出演にもかかわらず、ヒロイン「風鈴」の悲哀を見事に演じてくれました。またダンサー陣には初演時の飯干未奈、遠藤智子に加え、若いダンサーが即興アンサンブルを舞い、ダイナミックな舞台となりました。
そしてさらに3年後の2020年、「SMオペラ」は「Shanghai Misfortune OPERA〜上海的疫病」として戻ってきます。これまでの台本に、カミュの小説「ペスト」をモチーフとして引用して、コロナ禍の今、舞台作品から観客に伝えられるべき何かを探求しています。主演には、2017年同様、栗須香練。飯干未奈、遠藤智子、せんのさくらといったSMオペラにはお馴染みの顔に加え、今回は関西小劇場演劇界で活躍する田中之尚、山田まさゆき、竹内宏樹、西原希蓉美といった中堅俳優・女優も出演します。
【story】SMオペラ #3「上海的疫病」(R18+)
1920年、魔都・上海。
この町を支配しようとする欧米の列強国と日本。
それを阻止しようと組織された中国人民による叛乱軍。
さながらチェス盤上の駒のような町にある高級娼婦の館「春楼夢」。
ここに、とある西洋紳士がアジア人の若い恋人・風玲を連れて現れた。
そして「ここで客をとらせて、官能を磨かせたい」と、彼女を預ける。
一方、この一触即発の事態に乗じて一儲けを企む日本人たちがいた。
銀行家そして商社マンである彼らは、自らの負債を消却しようと躍起になっていた。
ある晩、この銀行家が娼館「春楼夢」の窓辺に立つ風玲の姿に、
心を奪われたことからこの物語は始まる。
彼の心の闇に訪れた一筋の光明。
風玲を躾ける娼婦たちが隠しもつ病んだ心。
そんな上海の町には、得体の知れない「疫病」が流行し始めた。
支配と被支配、情愛と偏愛、政治と商売…………そして疫病。
さまざまな文学的メタファーを舞台で表現するのは、俳優だけでなくバレエやコンテンポラリーのダンサー、民族舞踊家、ポールダンスやSMショーのパフォーマー、そして中国七弦琴とプログレッシブなロック・ミュージシャン。耽美で官能的な言葉と幻想的かつ前衛的演出による、今までにないシアターパフォーマンスが、今ここに蘇る!
【舞台公演日程】
◆ date ◆
2020年10月24日(土)15:30 / 19:00
2020年10月25日(日)14:30 / 18:00
◆ venue ◆
近鉄アート館(あべのハルカス 近鉄本店ウイング館8F)
〒545-8545 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
◆ admission fee ◆
前売:S席 8,000円 A席 5,000円 B席 4,000円
当日:S席 9,000円 A席 6,000円 B席 5,000円
◆ information ◆
主催団体の公式サイト【アートプロジェクト集団「鞦韆舘」(しゅうせんかんかん)】
【1】performers:登場人物の紹介 part.1
■主演は「知的な野生」「静謐な反逆女子」
栗須香練 Chris KAREN
2017年に引き続き、ヒロイン「風鈴」役。端正な顔立ちと華美な肢体で、エレガントかつエキセントリックな演技と身体表現を武器にしたパフォーマンスが特筆。その凛々しいセンスで、奴隷になるため上海に訪れたヒロインの悲哀を演じます。
■美輪明宏も絶賛の「孔雀の舞」日本初の正当継承者
遠藤智子 ENDOH, Tomoko
SMオペラは舞踊で活躍する希少なジャンルのダンサーを集めました。今まで見たことのないであろう舞踊家が結集しています。その一人がダイ舞踏の舞踏手・遠藤智子です。
ダイ舞踏の舞い手は少なく、日本で見たことがある観客も限られています。しかも、遠藤智子は少数民族ダイ族の舞踊を学ぶため、本場の雲南省にまで足を運び、湯耶碧(タンイエビ)老師に師事、正式に免許を頂いた舞踏手。現在、日本で唯一のダイ族舞踊継承者とされています。
■伝説のストリッパーよみがえる
飯干未奈 IIBOSHI, Mina
1994年より踊り子『渡辺理緒』の芸名で13年間全国ストリップ劇場を巡業。「ストリップの世界で最も格好いい踊り子の一人」と業界、客側両方から讃えられた「伝説のストリッパー」。引退後は日本舞踊・新内古典振り花村流の名取師範と、分家・栞奈派家元の資格を取得し、今もなお、舞台やキャバレーでのショーを初めとし、寺社や海外など多様なイベントにも出演しています。ストリッパーとして、官能のすべてを理解した飯干未奈の舞踊は、奇跡と表現しても大袈裟ではありません。
■美術家にして女優かつポールダンサー
せんのさくら Sen-no-Sakura
「SMオペラ」の演出と作曲を担当する佐藤香聲の舞台作品で、女優・ポールダンサーそして演出助手もこなす唯一無二の存在。今回は告知フライヤーのイラストレーションも手がけています。
せんのさくらのポールダンスはいわゆるショーダンスのそれとは少し違います。どちらかと言えばコンテンポラリーダンスに近い表現です。一般的なポールダンスではバラード調の艶っぽい曲やビートのきいた洋楽に合わせて、柔軟な身体性や女性らしい仕草や所作を見せて踊る場面を多く目にします。一方、せんのさくらの場合、実験音楽や前衛的なロック音楽を使い、キレのある身振りとダンスで、危機感や焦燥感を表現しようとしています。この点で従来のポールダンスとは一線を画していると言えます。
【2】stage work:言葉・楽音・幻燈・舞台空間
■楽曲・共同台本・舞台効果:佐藤香聲 SATOH, Kashow
在阪の大手広告代理店でのCMプランナー、在阪テレビ局での番組ディレクターを経て、現代演劇やコンテンポラリーダンスなどのパフォーミング・アーツ作品の演出家・作曲家に。1998年からの7年間、文化庁の芸術家派遣プログラムなどにより、数多くの海外公演を実施。自作の発表はもちろん、現地アーティストとのコラボレーションによる舞台作品を発表。また同時期には、関西の有名女子大、数校で「近代演劇史」や「現代パフォーミング・アーツ」などの講座を担当。現在、「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想」(2011年、メセナ大賞受賞)の推進役として活動中。
▶︎ ▶︎ ▶︎ パフォーミング・アーツ集団「銀幕遊學◉レプリカント」
1988年、音楽家・演出家の佐藤香聲により大阪で結成された演劇的コラボレーション集団。メカニカルな身体表現を基調にエレクトロニクスとアコースティック楽器によるライブ演奏やアバンギャルドなコスチューム、明滅する映像美が有機的に連関する独自の表現形式「APHALT OPERA(アスファルト・オペラ)」で、最先端アート志向のステージワークを展開している。作品を上演する空間は劇場だけではなく能舞台や美術館、寺の本堂や境内など多岐にわたり、さまざまな場のポテンシャルをいかす作品づくりを実践してきた。また香港、タイペイ、上海、シンガポール、北京といったアジアの主要都市をはじめロサンゼルスやパリなど、海外の演劇フェスティバルからの招聘公演も数多く、現地のアーティストとのコラボレーション作品やワークショップにも意欲的に取り組んでいる。
■レーゼ・ドラマ:三名刺繍 MINA, Shisyu
レトルト内閣全作品の脚本・演出・音楽を手掛ける。演劇と音楽に留まらず、映像や身体表現から影響を受け、パフォーマンス性の高いステージングを展開。耽美と笑い、詩と音楽を自在に行き来するエンターテインメント空間を築く。2013年、「眼帯のQ」にてAAF戯曲賞の最終選考に選出。作曲家としての顔も持ち、バンド「白色テロル」を主宰(2013年解散)、ライブ演劇という新ジャンルを展開した。
関西を拠点に、音楽とショーとアートを融合させた、エンターテインメントとしての舞台作品を創作する劇団。骨太のストーリーを軸に、オリジナル劇中歌やシュールな笑いを折り込む作風で、エレガンスロック演劇という独自のジャンルを切り開く。近年は歴史的事実に基づいたドラマ性の高い作品を多く創作しており、2015年に発表した「文明ノ獣」、2016年の「革命少年」は、2年続けて劇評家・広瀬泰弘氏の年間ベスト作品と評されるなど高い評価を得た。また、2017年には関西を代表する劇場・近鉄アート館の名物企画「ミュージックアート館」へ招聘。サラリーマンの立身出世を座付脚本家・三名刺繍が手がけるオリジナル曲に乗せて描き、好評を博した。
【3】programme:関西から全国へ〜「オンライン動画配信」プロジェクトとその意義
関西の舞台芸術シーンは脆弱しています。20〜30歳代を中心とする若い世代の小劇場演劇やパフォーマンス・グループはそれなりの活動をしていますが、20世紀の作品を超える斬新さは未だ見当たらず、どちらかというと80年代、90年代の先駆的かつ実験的な作品の「焼き直し」にとどまっています。
一方、「SMオペラ」の出演者またはスタッフは20〜60歳代と幅広く、表現ジャンルも演劇やダンス、ショー、音楽ライブと多岐にわたっています。関西の舞台芸術シーン、特に先駆的かつ実験的な作品の上演において、このような創作現場は「奇跡」と言えます。
また「SMオペラ」は、小さな工場をリノベーションしたアトリエ「藝術工場◉カナリヤ条約」で試演、初演を重ねてきました。その後、関西のアートな演劇の殿堂「近鉄アート館」で再演したのですが、これには理由があります。
商業的な劇場で上演することによって、日頃、実験的あるいは先駆的な舞台にふれる機会の少ない演劇ファンや、まだ舞台そのものにふれたことのない広く一般の皆さんに、私たちの活動や作品を知ってもらいたいからです。
私たちは、「分かるヒトだけに分かってもらえればいい」「たぶん、多くの人には受け入れられないだろうな」という消極的な立場にはありません。「演劇」とか「芸術」とか「官能」とか「前衛」という単語だけで、躊躇する人が多いのも知っているつもりです。しかし私たちには「こんな作品があることを知らせたい」という熱意があります。みなさんが、私たちの舞台を観てくださり、「こんな世界観があったんだ」「今まで知らなかった感覚にふれた」というささいな出来事は、少しずつ「感動」に変わると信じて止みません。
だからこそ、今回、
劇場に来られない関西圏の方々にも、「SMオペラ」をもっと知ってもらえるよう、
上演台本やDVD、関連グッズなどをご紹介します。
【舞台公演日程】
◆ date ◆
2020年10月24日(土)15:30 / 19:00
2020年10月25日(日)14:30 / 18:00
◆ venue ◆
近鉄アート館(あべのハルカス 近鉄本店ウイング館8F)
〒545-8545 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
◆ admission fee ◆
前売:S席 8,000円 A席 5,000円 B席 4,000円
当日:S席 9,000円 A席 6,000円 B席 5,000円
◆ information ◆
主催団体の公式サイト【アートプロジェクト集団「鞦韆舘」(しゅうせんかんかん)】
【4】performers:登場人物の紹介 part.2
■娼館「春楼夢」(しゅんろうむ)の舞踏手たち
劇の舞台である娼館「春楼夢」の退廃的な雰囲気をダンスで表現します。
■娼館「春楼夢」の季節の風情を表現する娼婦たち
名前を「四季」にちなんで、移ろいやすい季節の美妙な変化をイメージさせています。
■娼館「春楼夢」のコケティッシュな娼婦たち
自分の影を切り抜いて、疫病から身を守ろうとする娼婦たちを演じます。
■娼館「春楼夢」の女中頭・小間使い・下足番
それぞれの下働きで、娼婦たちの舞台を支えています。
■娼館「春楼夢」の洗濯女・掃除婦
表向きは娼婦ではないが、実は「春楼夢」の影の人気娼婦という役割。
■娼館「春楼夢」の欠けている娼婦
何かが「欠けている」からこそ「愛されるしかない存在」を踊りや歌で表現します。
■上海で暗躍する武器商人
日本で余剰した商品や武器を上海で売りさばこうとする日本人。
■祖国を守る中国人テロリスト
欧米の列強から独立するために叛乱軍を組織するが、疫病の流行のため「衛生隊」となる。
【5】statements:資金の使い道とこれからのこと
■金額が満たない場合
万が一、このクラウドファンディングにおいて資金が目標金額に達しなくても,公演に必要な経費は負担をして,公演は必ず実施いたします。
■金額が上回った場合
こういった先駆的で実験的な舞台作品では、制作者が経費を負担しながら創作しています。赤字になった場合は、主催者が補填します。それに対し、ギャランティーはほとんど払えていない状況です。大幅に上回り、経費がすべてまかなわれた場合は、各パフォーマーや関係者のギャランティーとさせていただきます。また、主催者であるアートプロジェクト集団「鞦韆舘」(しゅうせんかん)では、関西から全国に向けて発信したい計画がまだまだあります。皆さんのお名前がサポーターとして何らかのカタチで残るよう、今後の活動資金とさせていただきます。
「あなたにとって演劇とは何ですか」というボールが飛んできた時、わたしたちがどのようなボールを返すのか………。その答えが、作品だと思います。やわらかな湾曲に、コトバと音と光を乗せて。どうしても、これをやらなくてはならないのだという切迫と共に。お客さまが劇場を出た時、世界の色が変わっていたとしたら、それがアートプロジェクト集団「鞦韆舘」の届けた演劇です。
最新の活動報告
もっと見る全ステージ、好評のうちに終幕!
2020/10/26 19:48「SMオペラ」。全4ステージ、終了しました。この時節、劇場までご足労くださった方々、オンライン配信で視聴くださった方々、本当にありがとうございました。会場ロビーでも「SMオペラ」限定オリジナルグッズを販売しましたところ、完売したグッズもありましたので、ぜひこのクラファンページでお買い求めください。また台本や完全版DVDで、舞台作品の追体験もオススメします!虚構と現実が交錯するラストシーンでは、ライブ演奏も最高潮に! もっと見る
ドレスリハーサル、盤石の仕上がり!
2020/10/24 02:10昨日の舞台稽古から続いて、照明と音響、そしてプログレッシブ・ロックなバンドと冴え渡るソプラノ歌手による、迫力あるライブ演奏でドレスリハーサル!演劇にダンスやパフォーマンスを融合させただけではなく、レーゼ・ドラマの要素をいかすために、「文楽」の手法を取り入れた演出は、もはや「SMオペラ」ならではの作品構造。関西ではめずらしい先駆的で実験的な演劇作品が、いよいよ明日から二日間、幕があがります。絶対的服従を果たさなかった娼婦は残酷な罰を強いられるという「娼婦訓」ヒロインの風玲は、盲目の娼婦・惜春と不可視の現実について語る叙情的なシーン もっと見る
舞台稽古!
2020/10/22 23:47「SMオペラ」いよいよ週末、本番です。本日は舞台稽古で最終チェック。乞うご期待!娼館に連れてこられたヒロイン「風玲」に、娼婦たちか奇異の眼が。日本人の銀行家と商社マンが中国人テロリストと密約娼館「春楼夢」の窓から手を降る娼婦たち、その眼の先には疫病に犯された死体の搬送車が春楼夢のマダム・黒蜥蜴、実は日本人だった もっと見る
活動報告楽しみにしてます!裏側から作品をみれるのでレアな感じが嬉しいです(^^)