2021/01/06 00:16

新年おめでとうございます。
昨年はコロナに明け暮れ、やりたい事もままならなかった方、
様々な問題に見舞われた方も多いのではないでしょうか。
首都圏では再び「緊急事態宣言」が発出されるようですが、
お身体をお大切に、幸多き年となりますようお祈り申し上げます。

トトにご支援いただいた皆さまへのリターン品の発送、御礼のメール
の送付が完了しましたのでご報告します。
本当に気持ちばかりの御礼で申し訳ありません。万一、届いていない
方がいらっしゃいましたら、お手数ですが、ご連絡いただけますと幸いです。
また、リターンを辞退された皆さまには、お心遣い有難く御礼申し上げます。
皆さまからいただいたメッセージには必ずお返事を差し上げているのですが、
管理画面が見づらいこともあり、もし洩れがありましたらお詫びいたします。
皆さまからのメッセージに、いつも心が温められます。


※3000円のご支援を戴いた方には御礼のメールを差し上げる旨、サイトに
記載しましたが、お手紙に代えさせていただき、リターン品に同封しました。
リターンの経費合算がまだ出来ておりませんので、次回の報告でお伝えします。


<トトの様子>

経過観察37日目。再発のリスクが高いとされる投薬終了後一ケ月を
無事にクリアしました。
ときどき泡状の嘔吐をしますが、嘔吐した直後もピンピン元気で、食欲旺盛
なので、FIP由来ではなさそうです。通院する度に相談しておりますが、
数値的には良いので、大ごとには捉えられていないようです。
生後8か月齢。投薬開始時の体重が1,55kg、現在は3.1kgとなりました。
残念ながら子猫風味はなくなり、身体も♂らしくがっしりとしてきました。
軟便はなくなり、硬めの良い感じの便となりました。
フードは引き続き、ロイヤルカナン子猫用後期がメインです。
消化器サポート子猫用を与えてみましたが好みません。
免疫を高めるサプリなどは特に与えていません。
性格は穏やかですが、かなりイタズラもして、食いしん坊です。
来週11日に定期検査で通院しますので、結果をまたご報告します。


<未承認薬について>

Mutianの価格が非常に高額であることはFIPに罹患した猫の飼い主にとって
本当に悩みの種です。現在も、高額ゆえに治療をあきらめ、看取る飼い主
さんも多いでしょうし、未承認薬の情報を持たない動物病院もあるでしょう。
薬の価格が下がることは飼い主の悲願です。最近、某NPOが未承認薬の正規
輸入代行となり、薬を最安値で提供できるとSNSで発信していました。
価格に関しては、協力病院の間でもバラツキがあり、私の協力病院は
50mg 1200円。NPOが運営する不妊去勢専門病院の価格は、
50mg 1137円。(いずれも税抜き)
NPOは、飼い主のかかりつけ病院からの注文を受けて、薬の輸入代行を
するので、飼い主がかかりつけ病院で治療できるとPRしています。
これは確かに、協力病院まで距離がある飼い主にとっては朗報です。
しかも、今まで協力病院にしか下りなかった再発時の無料保証も下りる
とされています。
価格が安くなる!と拡散されましたが、単に安くなれば良いのか、疑問に
感じる点も多々あります。

私がトトに未承認薬による治療を開始した頃は、トトがウエットタイプ中期
(初期に近い)で、まだ症状が出ておらず、投薬してすぐに効果も出たため、
ある意味、FIPを軽く見ておりましたが、その後、多くの症例や再発事例を読み、
当初の考えを改め、なんと手ごわく、不明な要素の多い病気かと思うに至りました。
とくに、ドライタイプの場合は、脳を含め、各臓器に症状が現れ、
肉芽腫、ぶどう膜炎、排泄障害、ふらつきなど、未承認薬での臨床経験が豊富な
協力病院の獣医師でさえ診断に困るような症例が見られるようです。
ドライタイプは診断がつきにくく、FIPと分かった時には、
既に後期・末期というケースも少なくありません。
また、寛解後の再発や、兄弟同時発症なども報告されています。
未承認薬は厳格な投薬管理が必要で、これを怠れば、再発の可能性も高まります。
厳格に投薬管理したにもかかわらず再発した事例も報告されています。
(初期・中期の3か月後の生存率は8割~9割。
 後期の3か月後の生存率は5割以下)

獣医師は副作用や、あらゆる症状に機敏に対処しなければなりません。
こうしたことを考えると、未承認薬での治療経験の無い動物病院が
いきなり取扱い病院になると、症状によっては右往左往するかもしれません。
※上記NPOの運営病院は「注射」の取り扱いが無いため、
 FIP重症の猫はご留意ください。

残念ながら、Mutianが薬の承認を得るために要請をする予定は無いようですし、
一方で、獣医師の先生方は副作用など、様子見であり、データを出さない”中国”の
薬への不信感もあって、たやすく手を出せない状況と思われます。
以下のブログが、恐らく多くの獣医師の胸中を代弁しているのではないでしょうか。

https://www.koda-ac.jp/blog/20200401.html

私のかかりつけ病院のように、自分の所では取り扱わないけれど、
未承認薬について情報を提供してくれる動物病院は結構あるようです。

本家アメリカの製薬会社が製品化してくれれば良いのですが、
人間のコロナが終息するまでは無理だろうとのこと(かかりつけ医の話)。

では、現状、最善の策は何か。
あくまでも個人的な意見ですが、協力病院が増えることだと考えます。
実際、私がトトの治療を始めた時点で全国に8院、12月下旬には11院
となり、今後もペースを上げて増えていくと思われます。
取扱病院も増えてきています。
協力病院が遠方にある飼い主は、初回まず協力病院で診察してもらい、
その後は地元の病院と協力病院が連携して検査結果を共有する
ケースも多いです。
この方法が、未承認薬による治療に関しては
今のところベストではないかと思います。
未承認薬を個人輸入されている飼い主もいらっしゃいます。

協力病院の獣医師はFacebookでグループを作り、
獣医師の参加を募って勉強や意見交換をされています。
協力病院が利権を貪っているような批判も耳にしますが、
私にはとてもそのようには見えません。
Facebookには、《猫伝染性腹膜炎の情報共有の会》ならびに、
《猫伝染性腹膜炎 FIP CAT JAPAN》という二つのグループがあり、
協力病院の獣医師と、各々約500名のFIP猫の飼い主が参加しています。
(2021年1月現在)
症状や投薬方法など、相談を求める参加者の数は日ごとに増えています。
獣医師や治療経験者が迅速かつ的確に答えてくれ、
それらに目を通しているだけでも勉強になります。
そこでの意見などを読んでも、獣医師の先生方の、
不治の病であったFIPを治したいという熱意を感じます。

FIPは難しい、手ごわい病気です。だからこそ、
丁寧なアプローチが必要ではないでしょうか。
長くなりましたので、Mutian以外の薬についての投稿は後日に回します。